【あの一言】
専門家が読み解く・貿易摩擦・北朝鮮問題
元経済産業省貿易管理部長・中部大学特任教授・細川昌彦 基本的に非核化が進んでいるように仕立て上げながら、終戦宣言に持っていき、そこから先、在韓米軍の撤退という方向に中国は持っていきたい。さらに北朝鮮への経済制裁を緩和させるというこの2つを中国は実質的に前に進めていこうとしている。あまり中国が今のタイミングで前面に出てしまうと、米中貿易戦争での攻撃材料をトランプ大統領に与えてしまうことになるので、今は韓国をうまく前面に立てながらやっている。
2018/09/23 NHK総合[日曜討論]
慶應義塾大学教授・渡辺靖 米国は東倉里にしても寧辺にしても、相当程度役割を終えた施設にすぎず、北朝鮮の中には他の施設がたくさんあるという厳しい見方をしている。今回、韓国が軍事面と経済面で北朝鮮に譲歩したような印象があり、この点でも米国は不安を覚えている。一方で肝心のトランプ大統領は前のめりで、少しでも非核化への動きがあるのなら前進させようとしている。その背景には2020年大統領選挙に向けた思惑がある。
2018/09/23 NHK総合[日曜討論]
元外務事務次官・立命館大学客員教授・薮中三十二 問題は非核化について北朝鮮が本気でちゃんとやってくれるかどうか。これは日本が徹底的に注意して米国や韓国にも言わなければいけない。北朝鮮がどこまで核兵器を持っていて、それがどこにあるんだということをまず言わせなければいけない。ところがトランプ大統領の頭の中でこうしたことは面倒くさい話であり、「破壊するならいいじゃないか」という話になりかねない。日本がきちんと発言すべき。
2018/09/23 NHK総合[日曜討論]
元外務事務次官・立命館大学客員教授・薮中三十二 少なくとも米朝にまた繋げた。橋渡しができたということ。しかも非核化について、ある程度査察も含め、寧辺の施設もこれから米国の出方次第だが、条件付きでやると言っている。トランプ大統領はこの2か月位、ずっと金正恩委員長について評価している。その思いに応えたということがある。
2018/09/23 NHK総合[日曜討論]
中部大学特任教授・細川昌彦 米韓FTAで日本が教訓にすべき最大のポイントは、米韓FTA交渉で韓国は鉄鋼についての輸出の数量規制を強いられたということ。それを飲んでしまった韓国は今、ひどい目に遭ってしまった。いったん数量規制に追い込まれると悲惨な目に遭うという教訓。
2018/09/23 NHK総合[日曜討論]
慶應義塾大学教授・渡辺靖 日本が関税協議に応じたということで当面、トランプ大統領の有権者に対する面子が立った。あとは実際の実務者協議の時に徹底的に米国側と交戦して、安易に妥協しないことが重要。
2018/09/23 NHK総合[日曜討論]
中部大学特任教授・細川昌彦 米国が考えているのは、自動車の関税25%、追加関税を脅しにして日本側に自動車、対米輸出の数量規制を追い込むこと。さらに農産物について輸入拡大、関税引き下げを得るという2点。NAFTAの交渉を見ていると、カナダ、メキシコに対してやっていることの延長線で同じ手法が出てくるだろう。自動車については数量規制を日本は受けられない。農産物の方はTPP並の水準までならなんとか譲歩できるのかなという声も出てきている。農産物の関税だけの交渉というのはありえなくて、米国側の自動車も含めて全体を見て関税の交渉をすることになる。最終的な出口はFTAという形を取らないと、関税の引き下げが実行できないというのは事実。
2018/09/23 NHK総合[日曜討論]
早稲田大学大学院教授・リージョンウォン 対中輸出等では韓国も米中への貿易依存度が高いので影響を受けやすいトップ10に入っており、非常に懸念している。早くなんとか収束させたいというのが関係国の本音だが、特にアジアの国は韓国だけでなくマレーシア、シンガポール、香港、台湾など全て中国への依存度が高いので、相当懸念が高まっているといえる。
2018/09/23 NHK総合[日曜討論]
中部大学特任教授・細川昌彦 関税はボディーブローのように効いてくる。短期的にはすぐに表れてこない。米国の経済は非常に好調で世界経済への楽観的なムードがあるが、関税によるボディーブローは単純に数字上の問題ではなくて、企業活動にも影響してくるだろう。投資行動そのものを抑制することにもなって、ブレーキが経済活動全体にかかってきている。これから先、マイナス効果が大きく表れてくる可能性は十分ある。
2018/09/23 NHK総合[日曜討論]
中部大学特任教授・細川昌彦 日本企業だけではなくて外国企業全体に、中国を生産拠点にすることの見直しが始まっている。中長期的に中国市場への投資は急速に変化していく可能性がある。中国マーケットを狙っての投資はいいが、中国を拠点にして外に出していくということはしないという方向。
2018/09/23 NHK総合[日曜討論]
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