3回目のロックダウンを緩和し始めた英国。英国政府は、新型コロナウイルスの再流行を防ぐために迅速検査キットの普及をイングランドで推し進めている。しかし、政府高官による迅速検査キットによる偽陽性の確率の高さを懸念するメールが報道されたことで、迅速検査キットの普及に対する疑問の声が上がっている。
英政府は経済活動の再開と並行して、4月上旬からイングランド全市民対象に迅速検査キットの無料提供を始めた。30分ほどで結果が出るもので、ジョンソン首相はイングランドのすべての人に週2回検査を受けるよう呼びかけている。
しかし、英『ガーディアン』が入手した電子メールによると、保健省の戦略担当エグゼクティブ・ディレクターで、マット・ハンコック保健・社会福祉相のアドバイザーの一人であるベン・ダイソン氏は、「無症状者への検査の提供を中止する点」について「かなり緊急な決定が必要」だと強調している。...
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英政府は経済活動の再開と並行して、4月上旬からイングランド全市民対象に迅速検査キットの無料提供を始めた。30分ほどで結果が出るもので、ジョンソン首相はイングランドのすべての人に週2回検査を受けるよう呼びかけている。
しかし、英『ガーディアン』が入手した電子メールによると、保健省の戦略担当エグゼクティブ・ディレクターで、マット・ハンコック保健・社会福祉相のアドバイザーの一人であるベン・ダイソン氏は、「無症状者への検査の提供を中止する点」について「かなり緊急な決定が必要」だと強調している。ダイソン氏は、ロンドンのような感染率の低い地域では、陽性判定のうち、会場などで検査してもらった場合は25%、自宅で本人が実施した場合は2%-10%程度しか正確な結果が得られないのではないかと推定している。メールではさらに、陽性結果が間違っている可能性が高い低感染地域において、PCR検査の確認前に自己隔離を要求することが「合理的でなくなる」かどうかをすぐに決定する必要があると述べている。
『ガーディアン』は、この迅速検査キットにより、何千人もの人々が誤って自己隔離を指示され、不正確な結果のために収入を得るあるいは教育を受ける機会などを失う可能性があると伝えている。
英『スカイ・ニュース』は、英政府が、迅速検査の実施を縮小する計画があることを否定していると報じている。政府の広報担当者は、「迅速な検査は、規制が緩和される中で、ウイルスの拡散を抑制するために不可欠なツールである」と主張している。さらに、「迅速検査は感染者を迅速に検出することができるため、陽性の感染者を直ちに隔離することができる。」と説明している。
迅速検査の有効性は、英国で何ヶ月も議論されており、一部の専門家は、政府はパンデミックの初期に数十億ドルの投資を行ったため、これを支持しているだけだと主張している。
政府の「非常時科学諮問(SAGE)委員会」のメンバーである社会学教授、ロバート・ディングウォール氏は以前、『スカイ・ニュース』に対して、迅速検査キットは「かなり役に立たない」ものだと解説をしていた。「迅速検査は、初期感染者を見逃してしまうので、実際には何の解決策にもならない」。しかし、「政府が検査キットを大量に備蓄しているため、これを何とかしなければならない」と述べていた。
現在、イングランドの人々は、職場、学校、大学、または地元の検査場で、週に2回の迅速検査を受けることができる。自分で検査を行いたい場合は、薬局や図書館で検査キットを受け取ることができるほか、自宅に配送してもらうこともできる。
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