厚生労働省の11月9日公表では、新型コロナウィルス(COVID-19)感染症に伴う大幅景気後退によって、解雇や雇い止めに遭った労働者が7万人超と、前月比1万人増加したという。しかし、欧米メディアが行った企業短期経済観測調査(短観)によると、依然11月の業況判断指数(DI)はマイナスとしながらも、今年初めて悲観的見方が最も少なかったと報じている。
11月9日付
『ロイター通信』:「ロイター短観:日本の製造業の11月短観が初めて悲壮感が最低に」
『ロイター通信』が、日本の製造業及びサービス産業の業況について追跡調査したところ、11月のDIは今年初めて悲観的見方が最低となっている。
『ロイター通信』短観は、四半期ごとに日本銀行が発表する短観(注後記)を参考に更に追ったもので、それによると、製造業及びサービス産業とも、COVID-19に伴う景気後退について今後数ヵ月も依然ネガティブな状況が続くとみている。...
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11月9日付
『ロイター通信』:「ロイター短観:日本の製造業の11月短観が初めて悲壮感が最低に」
『ロイター通信』が、日本の製造業及びサービス産業の業況について追跡調査したところ、11月のDIは今年初めて悲観的見方が最低となっている。
『ロイター通信』短観は、四半期ごとに日本銀行が発表する短観(注後記)を参考に更に追ったもので、それによると、製造業及びサービス産業とも、COVID-19に伴う景気後退について今後数ヵ月も依然ネガティブな状況が続くとみている。
しかし、11月の製造業のDIは、マイナス数値が16ヵ月連続となっているものの、前月の-26から-13へと大幅アップしている。
また、サービス産業のDIも、前月の-16から-13へと、僅かではあるが改善している。
この数値が示唆するところは、今年2月以来、悲観的見方が最も少なくなったということである。
『ロイター通信』は、485社の大手及び中堅企業にアンケート調査を行い、225社から回答を得た。
ただ、回答した企業の多くは、COVID-19に伴う景気後退に喘いでいるとしており、悲観的な見通しとの回答が好転的とのコメントを上回っていた。
繊維メーカーの担当マネージャーは、“今現在、ビジネス環境はCOVID-19以前の状態まで戻っていない”と述べている。
また、機械メーカーの担当マネージャーも、“かつて盛況だった半導体メモリー(集積回路記憶装置)市場も、幾分低調気味になっている”とコメントしている。
そこで、菅義偉新首相が取り組まねばならないことは、COVID-19感染拡大を抑えながら、景気回復させるために如何にして国内需要を促進させるか、という点に尽きる。
(注)日銀短観:日本銀行が3、6、9、12月に行う上場企業や中小企業への業況調査のことで、「計数調査」と「判断調査」によって構成される。「計数調査」は売上高、雇用者数、金融機関借入金などを計数的に計るもの。一方、「判断調査」は生産、売上、在庫調査、設備投資、企業収益、雇用、企業金融、の項目に対して「良い」「さほどよくない」「悪い」の三つから選択させるもの。特に「判断調査」では好況感を覚えている企業の比率から否定的な企業の比率を引きDIという指数にして算出しており、主要企業のDIは景気判断の指標として株式市場にも影響力が強い。
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