5月18日付
『ボイス・オブ・アメリカ』:「ベトナム政府、中国の領有権争いのある海域での漁業禁止宣告を無視して自国民に漁業継続方針を通知」
ベトナム農業農村開発省は先週、地方自治政府に宛てた書簡の中で、中国が一方的に宣言した南シナ海での漁業禁止通知は“無効”だとしただけでなく、漁業民に対して“自国領海内での操業を継続すべく後押しする”よう伝えた。
これに先立つ先月末、中国は、5月1日~8月16日の間、南シナ海における漁業を禁止するとの通達を出していた。...
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5月18日付
『ボイス・オブ・アメリカ』:「ベトナム政府、中国の領有権争いのある海域での漁業禁止宣告を無視して自国民に漁業継続方針を通知」
ベトナム農業農村開発省は先週、地方自治政府に宛てた書簡の中で、中国が一方的に宣言した南シナ海での漁業禁止通知は“無効”だとしただけでなく、漁業民に対して“自国領海内での操業を継続すべく後押しする”よう伝えた。
これに先立つ先月末、中国は、5月1日~8月16日の間、南シナ海における漁業を禁止するとの通達を出していた。
水産物の大規模輸出国のベトナムとしては、主要漁場であるパラセル(西沙)諸島海域での操業停止は死活問題になるとして、ベトナム漁業協会のグエン・ビエト・タン理事長も、 “ベトナム漁師は自国領海内での操業権を有することは疑いのないこと”として、5月初めに政府に対し、厳しい対応を取るよう要請文を出状していた。
今回の対応は、かかる動きに即したものとみられるが、情報通信省傘下の公式メディア『ベトナムネット』のニュースサイトにも、“全国省・都市人民委員会(編注;58省・5主要都市)は各出先機関に対して、領海での漁業が支障なく行われるよう管理・指導を強化するよう指示を出した”と掲載された。
なお、ベトナム政府は、4月初めに自国漁船が中国海警艦によって沈められたこともあって、中国側対応に強硬に反対する意向を示しているが、親中派とされたフィリピンも、ベトナム漁船沈没事件があったこともあって、今回はベトナムを支援する対応に出ている。
また、インドネシアも、2019年には違法操業を理由として中国船を沈没させるような強硬姿勢を取ってきている。
更に、マレーシアも、南シナ海南方の自国沖の海域での石油掘削作業を中国側の横やりで妨害されたこともあって、4月から同海域に居座る中国資源探査船の退去を強く求めている。
一方、ベトナム外務省のル・ティン・トゥ・ハン報道官も同省のウェブサイト上で、“国際法(編注;1982年国連海洋法条約)に則って、ベトナムは領海に関して主権を有している”として、“中国に対して、東海(編注;ベトナムの西沙諸島海域の呼称)における状況を複雑化しないように求める”と言及している。
ただ、中国側は、ベトナムに中国による漁業禁止命令に背く権利はない、とあくまでも強硬である。
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