ベトナム政府;中国の一方的な南シナ海での漁業禁止命令を無視して、自国漁師に領海内での操業継続の檄【米メディア】(2020/05/19)
5月16日付Globali
「米軍;新型コロナウィルス問題の隙に中国による南シナ海覇権は許さじと強硬姿勢」で報じたとおり、米本国のみならず米軍内でも新型コロナウィルス(COVID-19)問題が深刻化している中、米軍が改めて南シナ海における中国監視強化に出てきている。その動きに勇気付けられたのか、この程ベトナム政府が、中国が一方的に通知してきた南シナ海における漁業禁止命令を無視して、自国漁師らに同国領海内で操業を継続するよう檄を飛ばしている。
5月18日付
『ボイス・オブ・アメリカ』:「ベトナム政府、中国の領有権争いのある海域での漁業禁止宣告を無視して自国民に漁業継続方針を通知」
ベトナム農業農村開発省は先週、地方自治政府に宛てた書簡の中で、中国が一方的に宣言した南シナ海での漁業禁止通知は“無効”だとしただけでなく、漁業民に対して“自国領海内での操業を継続すべく後押しする”よう伝えた。
これに先立つ先月末、中国は、5月1日~8月16日の間、南シナ海における漁業を禁止するとの通達を出していた。...
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5月18日付
『ボイス・オブ・アメリカ』:「ベトナム政府、中国の領有権争いのある海域での漁業禁止宣告を無視して自国民に漁業継続方針を通知」
ベトナム農業農村開発省は先週、地方自治政府に宛てた書簡の中で、中国が一方的に宣言した南シナ海での漁業禁止通知は“無効”だとしただけでなく、漁業民に対して“自国領海内での操業を継続すべく後押しする”よう伝えた。
これに先立つ先月末、中国は、5月1日~8月16日の間、南シナ海における漁業を禁止するとの通達を出していた。
水産物の大規模輸出国のベトナムとしては、主要漁場であるパラセル(西沙)諸島海域での操業停止は死活問題になるとして、ベトナム漁業協会のグエン・ビエト・タン理事長も、 “ベトナム漁師は自国領海内での操業権を有することは疑いのないこと”として、5月初めに政府に対し、厳しい対応を取るよう要請文を出状していた。
今回の対応は、かかる動きに即したものとみられるが、情報通信省傘下の公式メディア『ベトナムネット』のニュースサイトにも、“全国省・都市人民委員会(編注;58省・5主要都市)は各出先機関に対して、領海での漁業が支障なく行われるよう管理・指導を強化するよう指示を出した”と掲載された。
なお、ベトナム政府は、4月初めに自国漁船が中国海警艦によって沈められたこともあって、中国側対応に強硬に反対する意向を示しているが、親中派とされたフィリピンも、ベトナム漁船沈没事件があったこともあって、今回はベトナムを支援する対応に出ている。
また、インドネシアも、2019年には違法操業を理由として中国船を沈没させるような強硬姿勢を取ってきている。
更に、マレーシアも、南シナ海南方の自国沖の海域での石油掘削作業を中国側の横やりで妨害されたこともあって、4月から同海域に居座る中国資源探査船の退去を強く求めている。
一方、ベトナム外務省のル・ティン・トゥ・ハン報道官も同省のウェブサイト上で、“国際法(編注;1982年国連海洋法条約)に則って、ベトナムは領海に関して主権を有している”として、“中国に対して、東海(編注;ベトナムの西沙諸島海域の呼称)における状況を複雑化しないように求める”と言及している。
ただ、中国側は、ベトナムに中国による漁業禁止命令に背く権利はない、とあくまでも強硬である。
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ベトナムメディア;南シナ海でも中国に対抗するインドの存在(2016/03/29)
2月12日付
Globali「中国に対抗するインド(2)」の中で、“今やインドは、経済力でも軍事力でも中国を脅かす存在に急成長している。そこで、東・南シナ海で傍若無人な振る舞いをしている中国を苦々しく思っている日米としては、中国の海洋活動を牽制するためにも、インドを日米側に引き入れようと懸命である”と報じた。そして、インドがついに南シナ海で具体的な拠点作りに動き出している。すなわち、中国と南シナ海での領有権争いをしているフィリピンには米国という後ろ盾がいるが、同じく中国と争っているベトナムとしては、ベトナム戦争時代の敵国である米国に支援は求められないとして、インドに後ろ盾になるようアプローチを続けていた模様で、この程、そのベトナムにインドが全額出資の人工衛星センターを建設することになったとベトナムメディアが伝えた。
3月22日付
『ベトナムネット』オンラインニュースの報道記事「ベトナムに建設されるインドの人工衛星センターで南シナ海警戒」:
「・インド高官が明らかにしたところでは、インドは人工衛星を追跡し、画像を受信するセンターをベトナム南部のホーチミン市郊外に設立する計画。
・ベトナムの地球観測情報センター南部局のボー・ホン・ソン副理事は、目下建設予定地の環境調査について、天然資源・環境省の監督の下で実施中と説明。...
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3月22日付
『ベトナムネット』オンラインニュースの報道記事「ベトナムに建設されるインドの人工衛星センターで南シナ海警戒」:
「・インド高官が明らかにしたところでは、インドは人工衛星を追跡し、画像を受信するセンターをベトナム南部のホーチミン市郊外に設立する計画。
・ベトナムの地球観測情報センター南部局のボー・ホン・ソン副理事は、目下建設予定地の環境調査について、天然資源・環境省の監督の下で実施中と説明。
・同センターの目的は、インドが打ち上げる地球観測衛星からの画像情報を受信することだが、東南アジア諸国連合(ASEAN)はもとよりベトナムにとっても、東海(編注;ベトナム呼称の南シナ海)の状況が全て把握できるとのメリット。
・ベトナムの小規模人工衛星運用管理センターのヌゴ・ドユイ・タン副理事長は、インドが建設する人工衛星センターの共同運営と衛星画像の提供について、ASEAN・インド間で今後詳細につき協議予定と表明。」
なお、国連の推計では、インドの人口(現在13.1億人)は2022年までに中国を抜き14億人超になるとされ、更に、金融アナリストの試算では、インドの国内総生産(GDP、現在2.2兆ドルで世界第9位)が今後10~15年で日本を抜いて世界第3位に躍進すると予測されており、いよいよインドは世界大国の仲間入りをすることになるとみられている。
現に、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI、注後記)の調査によると、既にインドは中国などを上回り世界最大の武器輸入国になっているという。2011~2015年の武器輸入は世界の総取引の14%と、その前の5年間より倍増しているとする。米国からは、ボーイング製哨戒機P8Iを、ロシアから中古の空母を、更に、フランスからはラファール戦闘機を36機購入している。日本からも、救難飛行艇US2の導入に向けて交渉が進められている。
(注)SIPRI:1966年5月、スウェーデン議会によって設立された国際平和研究機関。記述内容の客観性、正確性から国際的にも評価が高い「軍事・軍艦年鑑」の刊行で知られる。
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