ホームレス経験者の多くが脳損傷を負った経験があるという。脳損傷という病気が原因で人並みの生活が送れなくなることでホームレスとなってしまったり、逆に家がないことや生活が不安定な貧困状態が脳損傷患者のリスクファクターと成りうると考えられている。
12月7日付英国
『ガーディアン』は「ホームレスの人たちの半数に脳損傷の可能性」との見出しで以下のように報道している。
ランセット公衆衛生ジャーナルに掲載された最新調査によると、ホームレスの約半数は、人生のある時点で脳損傷を患っている可能性があるという。ホームレスになったから又は、それが原因でホームレスになったと見られている。
脳損傷は、頭を強打したり揺らしたりすることで起きる損傷で、バイク事故や、落下、襲撃が要因となりやすく、長期的な脳への損傷となり、脳神経や精神疾患に繋がる場合もある。...
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12月7日付英国
『ガーディアン』は「ホームレスの人たちの半数に脳損傷の可能性」との見出しで以下のように報道している。
ランセット公衆衛生ジャーナルに掲載された最新調査によると、ホームレスの約半数は、人生のある時点で脳損傷を患っている可能性があるという。ホームレスになったから又は、それが原因でホームレスになったと見られている。
脳損傷は、頭を強打したり揺らしたりすることで起きる損傷で、バイク事故や、落下、襲撃が要因となりやすく、長期的な脳への損傷となり、脳神経や精神疾患に繋がる場合もある。
豪、カナダ、日本、韓国、英国、米国の6か国を対象とした大規模調査によると、ホームレスの53%に脳損傷(TBI)が見つかった。これは全人口あたりで見た場合の2~4倍にあたるという。専門家は、脳損傷がホームレスの原因なのか、その逆なのかが答えのない問いだとする。この関連性を理解し、問題を提起し、結果を改善することが必要だという。
メルボルン大のリサーチフェローは、機能的、社会経済的な因果関係、ホームレスに住所を斡旋することで脳損傷が減少するかなどを調査するよう要求している。
ロンドン大学の博士は、「英国のホームレスは、重大な健康問題を抱えているが、NHS(保健)に入っているとこれが見過ごされがちだ。公衆衛生の危機は対処法が分かっていながら対処できていない。多くのホームレス経験者が救急搬送されている。全てに人が尊厳される権利がある。ホームレス問題は社会問題を表すバロメータであり、我々が改善できるものだ。亡くなったホームレスの3人に1人が、適切なヘルスケアで防げた。高齢者の患者が安全な場所がないなら、路上には戻さないだろう、だが我々はそうしているのだ」としている。
同日付カナダ『グローバルニュース』は以下のように報道している。
ホームレスまたは住宅が不定の人の約半数が脳障害を患った経験があるという。精神的や身体的な健康問題によるものとみられる。これは、カナダを含めた高所得国6か国を調査した調査を分析したものである。
約半数のホームレスに脳障害がみられたというのに加え、4分の1が30分無意識状態やMRI画像で認められる程度の損傷を経験していたという。比較して、一般的な人では、わずか22%ほどしか脳損傷となっていない。(3%のみが重大な脳障害)。脳損傷はメンタルヘルス、薬物中毒、自殺念慮、犯罪司法システムなどの問題にも関係している。脳損傷が起きると、脳が頭蓋骨内で変化をおこす。血流の問題やむくみは更なる損傷につながる。損傷レベルにより、短期から長期に及ぶ。脳損傷はホームレスになる前にも後にも発症する可能性があると調査は指摘している。ホームレスから抜け出すのを難しくする要因にもなる。家がないことや不安定なことそれ自体が脳損傷患者のリスクファクターとなる。多くの脳損傷患者が貧困ライン以下で生活しているという。
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