2016年7月半ばに1バレル当り42ドル(約4,500円)まで急落した原油市場は、同年12月に石油輸出国機構(OPEC、注1後記)と非加盟国(注2後記)の主要産油国が2001年以来の協調減産に合意したことから、55ドル台(約5,900円)の高値圏まで回復した。当該合意は今年6月末に期限を迎えるが、この程、G-20サミット出席の機会を捉えて、非加盟国代表のロシアとOPEC盟主のサウジアラビアの両首脳が会談し、国際経済鈍化による原油価格低迷を避けるべく、協調減産をもう暫く継続することで合意した。
6月29日付米
『ロイター通信』:「プーチン大統領、サウジアラビアと原油協調減産をあと6~9ヵ月継続することで合意と発表」
ウラジーミル・プーチン大統領は6月29日、G-20サミット出席の機会を捉えてサウジアラビアのモハンマド・ビン=サルマン皇太子と会談し、現行の原油協調減産を今後6~9ヵ月継続させることで合意したと発表した。
OPEC及び非加盟国代表(OPEC+)は2016年12月、原油価格下支えのために協調減産することで合意している。...
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6月29日付米
『ロイター通信』:「プーチン大統領、サウジアラビアと原油協調減産をあと6~9ヵ月継続することで合意と発表」
ウラジーミル・プーチン大統領は6月29日、G-20サミット出席の機会を捉えてサウジアラビアのモハンマド・ビン=サルマン皇太子と会談し、現行の原油協調減産を今後6~9ヵ月継続させることで合意したと発表した。
OPEC及び非加盟国代表(OPEC+)は2016年12月、原油価格下支えのために協調減産することで合意している。
同合意は今年6月末に期限を迎えるため、OPEC+の代表が7月1~2日に集り、現行の日産120万バレルの減産(OPEC計80万バレル、非加盟国計40万バレル、世界生産の2%弱相当)を継続するかどうか協議する予定となっている。
同大統領は、OPEC盟主のサウジアラビアとともに協調減産継続方針で合意したとするも、延長期限を年末までとするか、あるいは2020年3月末までとするかは、まだ決めかねていると付言した。
なお、OPEC・ロシア間交渉を推し進めたロシア直接投資基金のキリル・ドミートリエフ理事長は、協調減産に伴う原油価格上昇のお蔭で、現在までで7兆ルーブル(1,100億ドル、約11兆7,860億円)以上の収益増をもたらしているとコメントした。
6月28日付ロシア『プライム』経済ニュース:「ロシアとサウジアラビアの両エネルギー相がOPEC+の協調減産に関し協議」
ロシアのエネルギー省発表によると、アレクサンドル・ノワク大臣が6月28日、G-20サミット出席の機会を捉えてサウジアラビアのハリド・アル=ファリフ大臣と会談し、OPEC+代表が協議する原油協調減産について協力していくことを確認したという。
アル=ファリフ大臣もツイッターで、原油協調減産継続についていくつかの選択肢について協議したと言及した。
なお、OPEC+代表は7月1~2日にウィーンで国際会議を開き、今後の協調減産取扱いについて協議する予定である。
(注1)OPEC:国際石油資本(エクソン、モービル、シェル、BP等)から石油産油国の利益を守ることを目的として、1960年9月に設立された組織。設立当初は、イラン、イラク、クウェート、サウジアラビア、ベネズエラの5ヵ国としていたものの、後にアルジェリア、アラブ首長国連邦(UAE)、リビア、ナイジェリア等を加えて、現在では12ヵ国が加盟している、世界最大のカルテル。本部はウィーン(オーストリア)。
(注2)非加盟国:米国、カナダ、メキシコ、ロシア、ブラジル、カザフスタン、インドネシア(2016年OPEC脱退)、カタール(2019年脱退)、豪州、中国、インド等19ヵ国。
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