米小売業最大手のウォルマートは、11日米国内の従業員の最低賃金引き上げやボーナス支給を発表。共和党の税制改革による法人減税を理由に挙げており、トランプ大統領もツイッターでこのニュースを歓迎した。その一方、同社が経営する会員制ストアでは多くの店舗の閉店が決まったという。
1月12日付米国
『ABC』(AP通信引用)は「ウォルマートの従業員昇給の一方、解雇も」との見出しで以下のように報道している。
ウォルマートの賃上げのニュースの日、解雇を告げられた従業員もいた。同社は木曜、米国内従業員(100万人以上。全世界での雇用230万人のうち米国内従業員は150万人。)の時給アップとボーナス支給、児童扶養補助を周知した一方、「サムズクラブ」(大型会員制の倉庫店)の660店舗のうち63店舗(テキサス、カリフォルニア、ニュージャーシー、オハイオ、インディアナ、アラスカ等)を数週間後に閉店すると発表。...
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1月12日付米国
『ABC』(AP通信引用)は「ウォルマートの従業員昇給の一方、解雇も」との見出しで以下のように報道している。
ウォルマートの賃上げのニュースの日、解雇を告げられた従業員もいた。同社は木曜、米国内従業員(100万人以上。全世界での雇用230万人のうち米国内従業員は150万人。)の時給アップとボーナス支給、児童扶養補助を周知した一方、「サムズクラブ」(大型会員制の倉庫店)の660店舗のうち63店舗(テキサス、カリフォルニア、ニュージャーシー、オハイオ、インディアナ、アラスカ等)を数週間後に閉店すると発表。数千人が解雇となる。12店舗はeコマース配送店に改装となるという。
同社は今回共和党の税制改革を理由にしており、トランプ大統領はツイッターでこのニュースを歓迎した。減税法案通過による法人減税を理由に、これまでボーナス支給などを決めた企業は、アメリカン航空、バンク・オブ・アメリカなど。
一方、閉店後eコマース店舗に替わるという点を見ても、小売り業がアマゾンなどオンラインマーケットとの競争を強いられている点が見て取れる。失業率が歴史的に過去最低となっており、求職者の売り手市場となっており従業員の待遇を浴せざる負えなくなっている。失業率の低さは、小売業が能力の高い従業員や専門職員を集められていないことを意味する。メーシーやシアーズなどの他のデパートチェーンも雇用不足に悩む。
ウォルマートは、以前の時給は一時間あたり9ドル以上だったが、今回の変更で研修後10ドルでスタートに変更。他社ではターゲット社(ディスカウント店)が昨年最低時給を11ドルにし、2020年までに15ドルを目標とするとしている。
同日付米国『ビジネス・インサイダー』は「ウォルマートが昇給・ボーナス発表、そして店舗閉鎖」との見出しで以下のように報道している。
ウォルマートは従業員へのボーナスや昇給を発表し良いムードになっていたが、この発表に続き、同社経営の会員制ストア「サムズクラブ」の63店舗の閉店が通達され険悪なムードに。多くの従業員は出勤してからこれを聞かされたという。同社CEOは、最近可決した法人税率軽減法案を昇給の理由とし、「税制改革は我々の機会と国際競争力を高め米国内の経営計画を後押しするもの」と称賛した。法案可決後多くの米国企業が従業員へのボーナス支給などを発表。
これら企業対応や労働市場や失業率に、どれほど減税の効果があるかは議会内でも議論があるところ。ブルッキングズ研究所のエコノミストは「ウォルマートは過去にも税制の影響なく同様の決定をした経緯がある」と指摘。
リサーチ会社「Retail Metrics」のパーキンス氏は閉店決定は失敗だと指摘する。「事前通達なしの閉店はウォルマートらしくないやり方」。今年減税法案で20億ドルの支出減となる。
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