韓国では北朝鮮との朝鮮戦争休戦が長引き(今年で休戦協定から64年)、徐々に戦争再開への懸念は薄らいできた。常にミサイルの脅威を感じてきた国民にとっては、ミサイルに対する不安より経済への不安が勝っているという。仮にミサイルへの対策を取るとしても、ハリケーン災害ならば具体的対策を取れるが、 “核攻撃”に関しては人々は為す術がなく思考もストップしてしまうのだという。
9月22日付
『ロイター通信』は「韓国の国民は、北朝鮮のミサイルより日常生活に不安」との見出しで以下のように報道している。
「今月初頭、北朝鮮が6回目の大規模核実験を行う一方、韓国のある30代会社員は、食料品価格の高騰などから日常生活でも不安を抱えながら生活している。彼女にはミサイルの問題は遠い話に聞こえるという。何十年も北朝鮮の脅威を常に感じながら暮らしてきた韓国の一般的市民にとっては、仕事や経済への心配の方が勝っているのが現状である。...
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9月22日付
『ロイター通信』は「韓国の国民は、北朝鮮のミサイルより日常生活に不安」との見出しで以下のように報道している。
「今月初頭、北朝鮮が6回目の大規模核実験を行う一方、韓国のある30代会社員は、食料品価格の高騰などから日常生活でも不安を抱えながら生活している。彼女にはミサイルの問題は遠い話に聞こえるという。何十年も北朝鮮の脅威を常に感じながら暮らしてきた韓国の一般的市民にとっては、仕事や経済への心配の方が勝っているのが現状である。また国民の戦争への関心も徐々に薄まっているという。
今月末の「ギャラップ韓国」の調査では、58%が「北朝鮮との戦争再開は起きないと思う」と回答。1992年の調査開始以来2番目に高い割合となった。「戦争が再開すると思う」との回答は年々減少、前回の調査ではミサイル実験があった中でも37%だった。
停戦状態が続いていると言っても若い世代は戦争を知らない。現実味がないのである。だから実感が沸かず戦争の心配より仕事の心配をしている。
韓国のハイテク・輸出主導型経済は低成長から抜け出せず、低迷傾向が長期化している。職の安定性も懸案事項で、非正規社員の割合は経済協力開発機構(OECD)の平均の約2倍、若者の失業率は2013年から4年連続上昇し続けている。
経済低迷により韓国では学歴・職歴社会が広がり、ストレスや自殺の原因として問題視されてきた。韓国の自殺率は2015年の調査でOECD諸国で最高(米国の2倍以上、英国の約4倍)となった。
「韓国自殺予防協会」によると経済問題・病気・孤独・人間関係が主なうつ病の原因で自殺につながるという。北朝鮮問題は全く関係ない。仮に韓国人が米国で起きたハリケーン「イルマ」の様な災害に見舞われたなら、きちんと避難計画を立て、避難所を回り予防策をとるだろう。しかし、“核攻撃”に関しては人々は為す術がなく途方に暮れ、実際に何が出来るのかという思考もストップしてしまうのだという。
核の脅威に対して市民が出来ることは限られている。具体的対策をとる人向けとして、発火具や笛、保存食などがセットになっている「戦時バッグ」等の緊急備品の売り上げものびた。一方、祈りに安息を求める人のため、教会のミサ回数が増加し仏教寺院で戦争が起きないよう祈る人もいる。占い館では、典型的な恋愛や結婚相談に加え、現在10人に6人は戦争が起きるかどうか聞いてくるのだという。」
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