米国によるシリア政府軍への59発のミサイル攻撃への経緯を説明する米スパイサー報道官は記者会見で、シリア政府が化学兵器や樽爆弾などの使用を続ける場合は、シリアへの追加攻撃もありうるとの見解を示した。米国のシリア攻撃にはイギリス、フランス、日本が支持や理解を示したが、中国などはアメリカの独断での攻撃だと批判、中国国営メディアは、習金平国家主席が米中会談を終え米国を後にしたのを待って、トランプ大統領個人と米国の政策を批判した。
G7外相会合でイタリアを訪問していたティラーソン国務長官は次にロシアを訪問しラブロフ外相らと会談する予定で、化学兵器の使用があったと見られるシリアやウクライナ情勢に関しどのような会談が成されるのかが注目されており、米国第一主義を主眼にしてきたトランプ政権の対外政策に注目が集まる。
4月10日付米国
『ABC』(AP通信引用)は「米国のシリア政策はどうなのか?同盟国にとり大きな疑問」との見出しで以下のように報道している。
「米国スパイザー報道官は月曜記者会見で、アサド大統領を追放するのか、シリアを今後どう保護し、次に米国はどういった行動に出るのか、はっきりしないシリア政策を世界に向かって説明した。その説明はまだ政策が「進行中」であることを露呈するものだった。「米国は先制攻撃で囲い込もうとしているのではないが、弱い者へのガス攻撃やバレル爆弾(アサドが多用)などの非人道的行為に大統領は対抗する意思がある。...
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4月10日付米国
『ABC』(AP通信引用)は「米国のシリア政策はどうなのか?同盟国にとり大きな疑問」との見出しで以下のように報道している。
「米国スパイザー報道官は月曜記者会見で、アサド大統領を追放するのか、シリアを今後どう保護し、次に米国はどういった行動に出るのか、はっきりしないシリア政策を世界に向かって説明した。その説明はまだ政策が「進行中」であることを露呈するものだった。「米国は先制攻撃で囲い込もうとしているのではないが、弱い者へのガス攻撃やバレル爆弾(アサドが多用)などの非人道的行為に大統領は対抗する意思がある。イスラム国の打倒が最優先だが、今後の対策には不透明も出ているとしている。
英国のボリス・ジョンソン外相はティラーソン米国務省とイタリアで会談後、シリアとロシア軍への制裁をほのめかし、米国の更なるシリア介入の可能性にも触れた。ナチスにより500人が襲撃された村に献花したティラーソン氏はシリア、そして世界で罪のない人々を守るためのあらゆる犯罪に対する「更なる攻撃」に言及した。一見、人道的見地での米国の積極的な対外政策が見て取れるようにも見えるが、トランプ新政権は常に「米国第一主義」を掲げ、人権や対外政策には重きを置いていなかった点が矛盾する。イタリアでのG7外相会合はシリア対策で、トルコ、サウジ、ヨルダン、アラブ首長国連邦などの米国と対イランで「利害や考えが一致している」中東諸国とも会談する予定。ティラーソンらの高官は、「シリアに内戦を逃れた人を保護する「安全地帯」を作るのが次の優先課題だ、それにはアサド政権と反政府勢力間の停戦交渉が必須だとしているがアサド大統領の合意実現と具体策は不透明である。」
4月8日付米国
『ニューヨークタイムズ』は「習主席の帰国後、中国メディアはシリア攻撃を批判」との見出しで以下のように報道している。
「習近平主席が無事に米国を後にするのを待ち、中国国営メディアはシリアへの攻撃を自由に批判した。」
『新華社』は、シリア攻撃は「筋トレが必要なひ弱な政治家の行為」で、トランプ大統領が「親ロシア派」との批判をかわす目的で、シリアの後ろ盾であるロシアと距離を置くために行った攻撃であると報道した。
中国政府は米中会談でトランプが選挙中のように反中国発言をする事を懸念していたが、予測もつかないミサイル攻撃で会談は妨害された。中国のアナリストの中には、このタイミングは図られたもので北朝鮮の核兵器開発阻止で中国に圧力をかける意図があったというものもいる。
ティラーソン米国務相は北朝鮮の脅威は「非常に深刻」な状態だとの米中間の合意があったとしたが、中国政府は、「新華社」を通じ、当該で「北朝鮮」には触れておらず、アナリストらによるとこれは意図的に触れていないのだという。シリア攻撃に関する「論説」でも北朝鮮への言及はなかったが、代わりに1986年のリビア、1998年スーダンへの米国ミサイル攻撃に触れ、米国には政治的大義がなかった「最新鋭の戦闘機や巡航ミサイルで他国を武力攻撃することで政治的メッセ―ジを伝えるのが米国のやり方」だと批判している。
中国主席は、国民や海外メディアに語ることは殆どないため、攻撃についてトランプ氏に彼の意見をどのように伝えたかは定かではない。中国のアナリストは、恐らく抵抗できない国に攻撃する事を軽蔑していたのではないかという。
首脳らは、貿易不均衡是正のため、中国が米国の雇用創出のため中国出資を発表することを期待していたが、少なくとも公けに習主席からの言及はなかった。
東アジア・スティムソンセンターの研究員は、「中国は習主席がトランプに妥協する為に米国を訪問したという印象にならないでほしいと思っている、友情関係を築くという目的は達し中国としては想定内だが、米国国民に成果を報告できないトランプの方が困っているだろう」という。」
4月11日付ロシア
『スプートニク』は「電話会談でドイツのメルケル、英国のメイがトランプ大統領のシリア攻撃を支持、米政府の声明」との見出しで次の様に報道している。
「米政府は記者会見において、ドイツのメルケル首相と英国のメイが電話会談でトランプ大統領のシリア攻撃を支持していると述べている。
木曜夜米国政府はシリアの化学兵器使用を理由に59発のトマホークミサイルを発射。シリアのワリッド・マングレーム外相は化学兵器の使用を否定、2人の民間人を含む7人が米国のミサイルで死亡したという。シリア軍の発表では合計10名が亡くなった。ロシアの国防省は、当該について国連安保理に調査を要請した。
ロシア国防省によると、攻撃で格納庫、教育機関の建物、食堂、MiG‐23戦闘機、レーダー基地が破壊されたという。」
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