【Globali】
米中首脳会談が終わって(2017/04/10)
フロリダで2日間に亘って行われたトランプ米大統領と習近平中国国家主席の初めての米中首脳会談は4月7日に終了したが、共同声明や共同記者会見もなく合意出来たのは両国間の貿易不均衡を是正することを目指す「100日計画」の策定ぐらいであった。初日の夕食会の最中に米国はシリアを攻撃したため、世界の目はシリアに向かい米中首脳会談への注目度は一気に落ちてしまった。中国は面子を大事にする国だけに習主席の心中は穏やかではなかったのではないかと想像するが、中国は今回の会談において経済問題で譲歩を迫られることもなく無事に終わったことを評価しているようである。
4月8日付
『ニューヨークタイムズ』は、「習主席米国を去り、中国のメディアシリア攻撃を非難」という見出しで、習近平主席が無事米国を離れトランプ大統領の賓客でなくなった途端、中国国営メディアは土曜日米国のシリアに対するミサイル攻撃を非難出来る立場になったと報じた。中国国営の新華社は、攻撃を肩慣らしが必要になった弱体化した政治家の行為であると非難した。また新華社は、トランプ大統領は親ロシアという自身に対する批判に反論しロシアのシリア支援から距離を置くために攻撃を命じたとも分析している。...
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4月8日付
『ニューヨークタイムズ』は、「習主席米国を去り、中国のメディアシリア攻撃を非難」という見出しで、習近平主席が無事米国を離れトランプ大統領の賓客でなくなった途端、中国国営メディアは土曜日米国のシリアに対するミサイル攻撃を非難出来る立場になったと報じた。中国国営の新華社は、攻撃を肩慣らしが必要になった弱体化した政治家の行為であると非難した。また新華社は、トランプ大統領は親ロシアという自身に対する批判に反論しロシアのシリア支援から距離を置くために攻撃を命じたとも分析している。これらの率直な批判は、中国が他国への軍事干渉に反対するという政治スタンスを示すともに、習主席が会談前トランプ大統領と付き合って行けると思っていたのに裏切られたことで大統領自身への批判でもある。
中国側は24時間に亘る米中首脳の接近中に、大統領から選挙期間中のような反中発言が噴出することを恐れていたが、結果的には予期せぬミサイル攻撃が介入することとなった。中国のアナリストはシリア攻撃が偶然の一致ではなく、トランプ大統領が中国に対し北朝鮮の核開発を抑止する努力を強めるよう要求するものであり、習主席に米国は必要な場合北朝鮮も攻撃することを辞さない考えであることを示唆するものであると分析している。ティラーソン国務長官は報道陣に対し、トランプ大統領が夕食会の終わりに習主席にシリア攻撃を告げた際、主席は子供を殺した化学兵器使用に対する罰として理解を示したと語った。しかし中国政府も一目置く中国のアナリストは、米国への反撃能力を持たないシリアを攻撃するということは軽蔑されるべきだと語り、また米国が核を持つ北朝鮮とシリアを同等に見ていることに批判的である。また中国のあるアナリストは「米国は北朝鮮を攻撃出来るかも知れないが、北朝鮮は反撃が可能であり、そうなれば大混乱に陥る」と言う。「この攻撃により米国は中東において益々窮地に陥る。シリアで泥沼に入った場合トランプ大統領の米国を再び偉大な国にすることは可能なのか。一方中国は軍事力を用いずにその地位を引き上げることが出来るのではないか」と語るアナリストもいる。
経済問題では米国は中国に対し対米投資を望んだが、習主席は少なくとも公式には約束はしなかった。その代わりに中国が進める欧亜間の「一帯一路」計画へ米国が参加するよう促した。中国は米国に譲歩すれば自分の弱さを示すことになるためそれは避けた。中国側はもともと今回の会談は両首脳がお互いを知り合うだけで十分と踏んでいた。中国から何も得ることがなかったトランプ大統領は選挙期間中の約束についてどう説明するのか。今回の会談は中国の勝ちだと中国のアナリストは分析していると報じている。
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