【Globali】
トランプ大統領、TPPから撤退を決定(2017/01/24)
トランプ米大統領は1月23日正式に環太平洋経済連携協定(TPP)からの撤退を決定した。これは選挙期間中から公約して来たものであり、それ自体目新しいものではないが正式に決定したことで、先に宣言したNAFTA再交渉と並んでトランプ大統領の保護主義的姿勢を鮮明に示したことになる。TPPが発効出来なくなったことはこれをアベノミックスの重要な政策として推進して来た安倍政権にとり大きな打撃になると思われるが、日本のみならずアジア太平洋地域の勢力図を大きく変えることにも繋がり兼ねない。米国が抜けた間隙を突いて中国が勢力を伸ばしてくるという見方も出ており、今後のアジア情勢は混とんとして来た。
1月23日付
『ニューヨークタイムズ』は、「トランプ大統領、オバマ前大統領の象徴的貿易政策である環太平洋連携協定から撤退」という見出しで、トランプ政権の高官はトランプ大統領が月曜日就任第一週にアジアからの後退と前任者の最重要貿易政策破棄を示す、環太平洋経済連携協定からの正式撤退を決定したと語ったと報じた。大統領のアジア太平洋貿易協定からの撤退は、民主共和両党の大統領が十年以上の期間に亘って取って来た貿易への障害を取り除き世界との関係を強化するという経済政策に真っ向から反する。...
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1月23日付
『ニューヨークタイムズ』は、「トランプ大統領、オバマ前大統領の象徴的貿易政策である環太平洋連携協定から撤退」という見出しで、トランプ政権の高官はトランプ大統領が月曜日就任第一週にアジアからの後退と前任者の最重要貿易政策破棄を示す、環太平洋経済連携協定からの正式撤退を決定したと語ったと報じた。大統領のアジア太平洋貿易協定からの撤退は、民主共和両党の大統領が十年以上の期間に亘って取って来た貿易への障害を取り除き世界との関係を強化するという経済政策に真っ向から反する。これは貿易協定を支持して来た議会共和党の方針に反するものでもある。ライアン下院議長はオバマ前大統領と協力して議会通過を図って来た。もっとも民主党議員の反対もあり議会通過までには至っていない。
TPPは米国とカナダ、メキシコ、日本、ベトナム、マレーシア、オーストラリアなど環太平洋の11ヶ国との協定で、世界経済の40%を占める自由貿易圏を作るものであるが、関税引き下げ、貿易紛争裁定のルール設定、特許権の設定や知的財産権の保護を目的としている。オバマ前大統領や共和党議員は協定を米国企業に成長する海外市場を開放するものと主張するが、民主党は労働者や環境を犠牲にして大企業に利益をもたらすものと反対していた。トランプ氏は後者側に立ち、伝統的には民主党寄りであるが最近数十年は製造業の後退で苦しんでいるミシガン州やウィスコンシン州でクリントン候補を破ったと報じている。
1月24日付
『ブルームバーグポリティクス』は、「トランプ大統領のアジア貿易協定からの撤退は中国が漁夫の利」という見出しで、トランプ大統領が行った、米国が長期間企画して来た環太平洋諸国との貿易協定からの撤退は、中国が望む政治経済的空白を生む。苦境にある米国の製造業中心の地域には貢献するが、同時に米国のアジアでの評価に傷をつけると報じた。トランプ政権がTPPからの撤退によりアジアから後退する間隙を突いて中国の共産主義の指導者はグローバリゼーションの進展に更に努力を傾け、自由貿易の理念のために戦っている。先週、中国の習近平主席はダボス会議で演説し、保護主義を「暗い部屋に引きこもること」になぞらえて中国はアジアにおける貿易協定の交渉を進めることを匂わせた。中国は16ヶ国が参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)という貿易協定を主導している。共和党のマケイン上院議員はトランプ大統領の決定を「米国の労働者の犠牲のもと中国に主導権を握らせるものであり、我が国が最も必要とするアジア太平洋地域から米国が離れようとしているという困ったサインを送ることになる」と批判する。ユーラシアグループのブレ―マー氏は、「長時間を使ってまとめたTPPに米国が参加しないとなると、アジアの同盟国の指導者には米国に対する不信感が生まれるのではないか。結果として彼らは中国に向かうことになるのでは」と危惧していると報じている。
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