中国の大学研究チームはこの程、開発した盲導犬ロボットを視覚障碍者に実際に街で利用してもらった。その実地試用を通じて、信号機のある交差点での横断や段差のある歩道での安定歩行等、利用者にとって概ね満足のいく結果となっている。
7月2日付
『ロイター通信』は、中国の大学研究チームが開発した盲導犬ロボットが、街で視覚障碍者による実地試用の結果が概ね良好だったと報じている。
世界の視覚障碍者は、中程度から重度の人を含めて2億5,300人いて、そのうち3,600万人が全盲である(編注;世界保健機関データ)。
ところが、特に全盲者の生活行動を手助けする盲導犬を育成し、全員に提供することは物理的に困難であることから、豪州や英国等の先進国では盲導犬ロボットの開発研究が進められている。...
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7月2日付
『ロイター通信』は、中国の大学研究チームが開発した盲導犬ロボットが、街で視覚障碍者による実地試用の結果が概ね良好だったと報じている。
世界の視覚障碍者は、中程度から重度の人を含めて2億5,300人いて、そのうち3,600万人が全盲である(編注;世界保健機関データ)。
ところが、特に全盲者の生活行動を手助けする盲導犬を育成し、全員に提供することは物理的に困難であることから、豪州や英国等の先進国では盲導犬ロボットの開発研究が進められている。
そうした中、中国においても視覚障碍者が2千万人いるのに、盲導犬は僅か400頭余りしかいない現実に対応するため、上海交通大学(1896年設立の国立大)機械工学院の研究チームがこの程、盲導犬ロボットを開発し、実証実験を行った。
同チームが開発したのは、6本足を持つロボットで、全盲者と会話ができ、また、カメラとセンサーによって信号機識別も可能であることから、従来の盲導犬よりも有能としている。
同チームを主導する高峰教授(ガオ・フェン)によると、全盲者の声を聴き分け、更に、利用者が望む行先案内も行えることから、利用者の補助が十分できるとする。
また、“6本足であることから、仮に歩行中に3本の事態が生じても、カメラの三脚のようにとても安定している”と強調している。
今回の実証実験に参加した全盲の女性(41歳)は、“これまで、仕事や病院に行くとき、更には買い物に行く際、一人での行動は不可能だったが、この盲導犬ロボットが一緒にいてくれたら、一人での外出ができるようになるため、是非商品化して欲しい”とコメントした。
中国では、ペットや介助動物についてまだ世間に広く受け入れられている訳ではなく、職場・レストランやその他の公共施設では盲導犬を連れての入室が余り歓迎されていない。
更に、視覚障碍者数に比して盲導犬の数が圧倒的に少なく、また、実際に多くの盲導犬を育成するのは物理的にも困難であることから、かかるロボットの代替活用が注目されることになる。
そこで高教授はこの問題に答えて、“我々が開発した盲導犬ロボットは車と同じように、大量生産が可能であるので、近い将来、中国国内のみならず世界の数千万人の視覚障碍者のために適正価格での提供ができると思う”と強調している。
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