フグは、特に日本では高級食材として人気が高い。しかし、フグ調理師(注後記)免許保有者が捌いた食材でないと、フグ特有の猛毒によって場合により死に至る。ところが、日本の食品加工企業大手の日清食品(1958年設立)がこの程、「フグ風味」のカップ麺を発売したと米メディアが報じている。
6月25日付
『CNNニュース』は、猛毒の悪名高い高級食材のフグが味わえるカップ麺が売り出されたと詳報している。
フグは、内臓・皮・血・骨に猛毒のテトロドトキシンを持つ魚である。
しかし、日本では珍味の贅沢品とされ、フグ調理師によって毒抜き処理をされた上、高級レストラン等で2万円(125ドル)程で提供されている。
ところが、カップ麺大手の日清食品が6月24日、「フグ風味」のカップ麺を僅か1個298円(1.9ドル)で発売開始した。...
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6月25日付
『CNNニュース』は、猛毒の悪名高い高級食材のフグが味わえるカップ麺が売り出されたと詳報している。
フグは、内臓・皮・血・骨に猛毒のテトロドトキシンを持つ魚である。
しかし、日本では珍味の贅沢品とされ、フグ調理師によって毒抜き処理をされた上、高級レストラン等で2万円(125ドル)程で提供されている。
ところが、カップ麺大手の日清食品が6月24日、「フグ風味」のカップ麺を僅か1個298円(1.9ドル)で発売開始した。
同社は、故安藤百福氏(1910~2007年)が1958年、第二次大戦後の食糧不足の中で安価な食品の必要性を痛感してチキンラーメンを開発・販売する食品加工会社として立ち上げたものである。
その後、1970年代始めに新たに開発されたカップ麺で、今や世界で著名な企業に成長している。
直近の2023年度(2024年3月末)業績は、連結売上高が7,320億円(45億9千万ドル)に上っている。
今回発売された「フグ風味」のカップ麺は、試食したCNN記者によると、魚介類のスープと、日本料理でよく使われる柚子の味がしたという。
(日清食品説明;熱湯で麺をほぐした後、付属の「特製フグ調味油」を仕上げに加えると、フグの身を炙ったような味わいが口に広がる)
なお、同社広報室は『CNNニュース』の取材に対して、日本以外で同商品を販売する予定はないとしている。
一方、フグを通常食材として嗜む場合、毒抜きが不十分であると次のように痛ましい事態が発生する。
● 蒲郡市(愛知県東部)で2018年、スーパーマーケットでフグを買った夫婦が、重篤にはならなかったものの食あたり。原因は、フグ調理師が有毒の肝臓の取り忘れ。
● フィリピンで2020年、屋台で買ったフグを食べた3人が死亡。
● マレーシアで2023年、通信販売でフグを買って食べた80代の夫婦が死亡。遺された長女が、政府に対してより厳しい規制導入を要求。
(注)フグ調理師:フグ条例等に基づき、都道府県知事が行うフグ調理師試験において免許を取得した者。有資格者以外はその業務を行えない業務独占資格だが、国家資格ではない。
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