国際人権団体によると、中国共産党による少数民族への弾圧が問題視されている西部新疆ウイグル自治区では、宗教文化的弾圧の一環として、ウイグル族など少数民族が住む村の名前が共産主義を反映する名前に変更されていたという。
6月19日付英
『Guardian』:「中国、新疆ウイグル自治区で数百の町村名を変更:報告書」:
中国当局により、新疆ウイグル自治区では、宗教や文化的意味を含む数百の町や村の名前が変更されていた。そのうち多くは共産党のイデオロギーを反映した名前に変更されていたという。
「ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)」とノルウェーの人道支援組織「ウイグル・匕ェルプ」が19日、中国政府の630のコミュニティ名変更に関する報告書を発表。...
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6月19日付英
『Guardian』:「中国、新疆ウイグル自治区で数百の町村名を変更:報告書」:
中国当局により、新疆ウイグル自治区では、宗教や文化的意味を含む数百の町や村の名前が変更されていた。そのうち多くは共産党のイデオロギーを反映した名前に変更されていたという。
「ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)」とノルウェーの人道支援組織「ウイグル・匕ェルプ」が19日、中国政府の630のコミュニティ名変更に関する報告書を発表。
2009年から2023年にかけ、新たな名前は、宗教的、歴史的、文化的な言及を取り除く穏やかな変更という形で行われている。調査を行った2団体によると、2017年から2019年の明らかな政治的変革により、3つの大きな枠組みでの変更が成されているという。
ウイグルの宗教や文化を意味する名前は消され、「スーフィー(イスラム神秘主義)」の宗教指導者を意味する「ホジャ」は、少なくとも25の村名で削除された。スーフィーの宗教建造物を意味する「ハニカ」は10の村名で、聖者廟を意味する「マザール」は41の村名で削除されていた。
当局はまた、中華人民共和国建国前のウイグルの王国、共和国や指導者らを意味する名前も変更。報告書によると、現在、新疆には「支配者」や「モスク」といった言葉を含む村は存在しないという。
新名称は主に、中国標準語でウイグルが中国指導の下にあることを肯定する響きのあるものとなっている。2018年、アクト郡の「Aq Meschit(ホワイトモスク)」村は「ユニティ」村に改名され、2022年、ウイグルの伝統的弦楽器を意味するカラカシュ郡「ドゥタール」村は、「赤旗」村に改名された。
HRWアジア部門長エレイン・ピアソン氏は、「イスラムをテロリストと同一視する中国政府の取り締まりの一環で、イスラムやアラブ風のもの全てを脅威とみなし、共産党に沿ったものに改名する」行為を批判。
地名変更行為はチベットで始まっており、2023年中国政府は公式文書で「チベット」を中国語「西蔵」の発音に当たる「シーザン」と呼んだ。また、中国は2017年以降、領土権を主張しているヒマラヤ地域のアルナチャル・プラデーシュ州で公式名称を使い始めた。
チベットと新疆では、軍事面と監視が強化され、人権侵害に関する情報が外に出にくい状況となっており、政府も情報請求に殆ど対応していない。そんな中今回の情報があるのは、強化施設から開放された女性が帰りのバスを探しても村の名前がなかったことから発覚したのだという。
同日付『AP通信』:「中国新疆の村名から宗教や文化的要素が削除される」:
ヒューマン・ライツ・ウォッチが19日公表した報告書によると、中国西部の新疆自治区で、文化的アイデンティティ弾圧の一環として、ウイグル族など少数民族が住む村の名前を、共産主義を反映するよう組織的に変更していたという。
2009年から2023年、中国国家統計局のリストをもとに25000の村の名前が調査された。約630の村でウイグルの文化や歴史に言及している名前が削除されていた。ウイグルの伝統弦楽器名や神社仏閣の名前が、共産党政策資料にみられる総称である「幸福」、「統一」、「融合」といった名前に置き換わっていた。
新疆は大部分がカザフスタンと国境を接し、ウイグル人などの少数民族約1100万人が住んでいる。2017年中国政府は、強制収容、政治再教育、家族の引き離し、強制労働が疑われる同化政策を開始。ヒューマン・ライツ・ウォッチは2022年、新疆自治区で深刻な人権侵害が行われている可能性を指摘していた。
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