中国当局関係者が飛ばしたとされる偵察気球が今年2月、米本土上空を飛翔し、それを米軍が撃墜したこともあって双方が睨み合う結果となっていた。そうした中、今度は中国軍が飛ばした偵察気球が台湾海峡を飛翔したことから、来年1月に総統選を迎える台湾国民にとって新たな神経戦を強いられることになるとみられる。
12月8日付米
『AP通信』、フランス
『AFP通信』等は、中国軍が飛ばした偵察気球が台湾海峡上空を飛翔しているとする台湾国防部(省に相当)の発表を一斉に報道している。
台湾国防部は12月8日、多数の中国軍戦闘機・軍艦に加えて、偵察気球が12月7日晩、台湾海峡に進入してきた旨発表した。
同部によると、当該偵察気球は台湾北端の港湾都市の基隆(キールン)南西部を飛翔して東方に向かい太平洋上でレーダーから消えたという。...
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12月8日付米
『AP通信』、フランス
『AFP通信』等は、中国軍が飛ばした偵察気球が台湾海峡上空を飛翔しているとする台湾国防部(省に相当)の発表を一斉に報道している。
台湾国防部は12月8日、多数の中国軍戦闘機・軍艦に加えて、偵察気球が12月7日晩、台湾海峡に進入してきた旨発表した。
同部によると、当該偵察気球は台湾北端の港湾都市の基隆(キールン)南西部を飛翔して東方に向かい太平洋上でレーダーから消えたという。
また、12月8日午前6時までの約24時間、中国軍戦闘機26機と軍艦10隻が台湾海峡に現われ、うち15機が台湾の主張する海峡中央線を越えたばかりか、更に数機が台湾の防空識別圏(ADIZ、注後記)にも進入してきたとする。
更に同部によると、台湾軍は戦闘機、海軍艦艇、地上配備型ミサイルシステムで常に監視しているが、今回の事態は、来年1月に行われる総統選挙と立法委員(国会議員)選挙に関し、中国がその選挙に影響を与えようとしている可能性があるとしている。
何故なら、かかる威嚇行為は、中国が自国の領土とみなす台湾を武力によって併合しようとする中国の脅威を大っぴらに喧伝し、かつ台湾の軍事力を消耗させ、同軍と国民の士気に影響を与える手段として定期的に行われているからである。
なお、中国軍の度重なる威嚇行為によって、中国と対峙する米国における台湾支援が反って醸成され、米国製戦闘機の提供や潜水艦製造への支援強化という事態を引き起こしている。
(注)ADIZ:各国が国土防空上の必要性から領空とは別に設定した空域のこと。同圏内では常時防空監視が行われ、予め飛行計画を提出せず、ここに進入する航空機には識別と証明を求める。更に、領空侵犯の危険がある航空機に対しては、軍事的予防措置などを行使することもある。
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