10月22日付米
『AP通信』、欧米
『ロイター通信』、豪州
『Skyニュース豪州』等は、2022年に政権を奪取した豪州労働党の首相が、前保守連立政権より政策転換して中国寄りの外交を展開するとの思惑どおり、7年振りに訪中することになったと報じている。
アンソニー・アルバニージー首相(60歳、2022年就任)は10月22日、11月4~7日に中国を公式訪問し、習近平国家主席(シー・チンピン、70歳、2012年就任)及び李強首相(リー・チャン、64歳、2023年就任)と会談すると発表した。
同国首相の訪中は、前保守連立政権の首相が2016年に訪問して以来となるが、今回の同首相訪問は、主に中国向け主要輸出産品である豪州ワインへの不当関税賦課問題是正にあるとする。
同首相は、前政権が推進していた、中国対峙を念頭のインド太平洋地域における安全保障強化についてジョー・バイデン大統領(80歳、2021年就任)と協議するため、10月22日から訪米することになっている。
同首相としては、同盟関係にある米国とは、政権が替わったからと言って、AUKUS(2021年発足の豪州・米国・英国の軍事同盟)等を反故にしたりせず、連携維持・強化が必要と明確に考えているものの、米国による対中経済制裁に与することは避けたい意向とみられる。
すなわち、同首相は、中国側が10月21日、“ワイン関税に関する中国の政策を今後5ヵ月間で見直すことに合意”したことを評価し、今回の訪中に繋がったとしている。
同首相は、“豪州の主要輸出産品であるワインが、最大の市場である中国向けに復活できるとの確信が高まった”とし、“ワイン産業に10億豪州ドル(6億3,100万ドル、約947億円)以上の売り上げをもたらすことになろう”と強調している。
かかる中豪関係の改善の背景には、2022年12月のペニー・ウォン外相(54歳、2022年就任)による豪州外相としての4年振りの公式訪問、更には、今年10月初めに3年間勾留されていた中国系豪州人ジャーナリスト成蕾氏(チェン・レイ、48歳、2012~2020年に中国国営英語ニュースチャンネルCGTNキャスターだった際、中国国家転覆罪等の容疑で逮捕)の解放があったとみられる。
なお、同首相は中国首脳と会談後、上海で開催される第6回中国国際輸入博覧会(注後記)を視察する予定である。
一方、同首相は訪中後、すぐさま米国にとんぼ返りして、11月15~17日にサンフランシスコで開催される環太平洋経済連携会議(APEC、1989年設立)に出席する。
(注)中国国際輸入博覧会:中国政府が輸入拡大に向けて行われる、輸入をテーマとする展示会。会場は、上海市青浦区にある国家会展中心。2017年5月、習近平国家主席が、一帯一路国際協力サミットフォーラムにて開催を提唱したもので、第6回博覧会は11月5~10日の間に開催される。
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