南極では、海氷が急速に溶けており、今年皇帝ペンギンのひなの繁殖が全滅していた地域もあるという。80年後には世界の皇帝ペンギンの9割が絶滅の危機にあるとする研究も発表されている。
8月24日付米
『CNN』:「甚大な被害:南極の海氷解凍で、昨年一部の皇帝ペンギン集団のひな全滅」
地球温暖化が急速に進む中、南極の海氷はこれまでになく薄くなっており、南極を代表する皇帝ペンギンにも危機が迫っている。
24日「Communications Earth & Environment」で発表された研究では、南極半島の西方ベリングスハウゼン海に住む5つのペンギン集団のうち4つの集団を調べたところ、この地域では広範囲に渡り海氷が溶けたことから、昨年にはひなが全く育たず全滅していたという。...
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8月24日付米
『CNN』:「甚大な被害:南極の海氷解凍で、昨年一部の皇帝ペンギン集団のひな全滅」
地球温暖化が急速に進む中、南極の海氷はこれまでになく薄くなっており、南極を代表する皇帝ペンギンにも危機が迫っている。
24日「Communications Earth & Environment」で発表された研究では、南極半島の西方ベリングスハウゼン海に住む5つのペンギン集団のうち4つの集団を調べたところ、この地域では広範囲に渡り海氷が溶けたことから、昨年にはひなが全く育たず全滅していたという。1つのペンギンの集団は、630~3500頭から形成されている。衛星画像を利用し、2018年~2022年の繁殖期の個体数を観測。2022年にはひなが全く育たず、繁殖は完全に失敗していたという。
この研究は、「この繁殖失敗はこれまでにない規模で起き、温暖化が進むにつれ、2100年までには皇帝ペンギンの9割以上が絶滅するだろう」との深刻な予測を提示している。
皇帝ペンギンの繁殖には、陸続きの安定した海氷が必要で、5~6月にかけ卵を産み、孵化後のひなは12月と1月に成長を終える。だが2022年には海氷が早期に溶け、11月までに同地域で完全に全滅していた。解凍が早いと、ひなは水中に落ちて溺れてしまう。
このような繁殖失敗は各地で散見され、温暖化に警鐘を鳴らすものであると指摘されている。過去数年間、専門家は南極の海氷の急激な減少に警鐘を唱えてきた。
南極の海氷は1945年の統計開始以来、今年最低レベルに達し、1981年~2010年の平均を下回りアルゼンチンの面積と同じ大きさとなった。現在も研究が進められているが、人間の経済活動による気候危機が主な原因であるとの考えが主流となっている。
昨年の研究では、南極古来の生物の65%が今世紀末までに絶滅するとの試算が出ている。最悪の場合、皇帝ペンギンが2100年までに完全に絶滅するとされる。
南極の海氷は太陽のエネルギーを宇宙に反射することで、地球の温度調整にも関係している。海氷が溶けると、太陽エネルギーを吸収できなくなり、海が太陽に晒されることで温暖化に繋がっている。
同日付英『デイリー・メール』:「現在のペースで南極の氷が溶け続けると、わずか80年で世界の皇帝ペンギンの9割が絶滅の危機」:
海氷が急速に溶けており、南極の皇帝ペンギンが絶滅の危機にあるとする研究が発表されている。
英国南極調査(BAS)によると、現在の地球温暖化の傾向に従うと、皇帝ペンギンの90%が今世紀末までに絶滅するとしている。2022年の衛星画像を解析したところ、ベリングスハウゼン海の中央と東部で、5つのグループのうち4つで繁殖が全く成功していなかったことが分かった。この地域で繁殖が全く成功しないのは前例がなく、近年状況が悪化の一途を辿っているという。
皇帝ペンギンは特に気候変動に敏感な生き物として知られている。現在の科学エビデンスによると、海氷の喪失は更に頻度を増し、広範囲に広がるとされ、過去4年間でも南極の約30%の皇帝ペンギンが海氷喪失の影響を継続的に受けている。
ペンギンは毎年5月から7月の厳冬期に卵を安定した海氷に産み、孵化後も羽が耐水ではないため、ひなは海氷に留まらねばならない。通常この羽が完成するのは12月か1月となる。
しかし、南極の海氷は昨年12月、前年に続いて史上最小となっており、ベリングスハウゼン海が最もこの影響をうけていた。影響を受ける他の種としては、カニクイアザラシ、ウェッデルアザラシ、ミンククジラ、海鳥のなかま、そして海氷下で育つ南極オキアミが挙げられている。
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