5月22日付米
『CNNニュース』、欧米
『ロイター通信』は、米国がPNGと新たに「防衛協力協定」を締結し、中国による南太平洋地域での影響力拡大を阻もうとしていると報じている。
米国とPNGは5月22日、経済・安全保障分野での協力を強化すべく、新たに「防衛協力協定」を締結した。
ジョー・バイデン大統領(80歳、2021年就任)の名代として派遣されたアントニー・ブリンケン国務長官(59歳、2021年就任)と、PNGのジェームズ・マラペ首相(52歳、2019年就任)が署名したもので、米国としては、南太平洋地域で影響力を拡大しようとしている中国を牽制するために、太平洋諸国フォーラム(PIF、注2後記)の今年の議長国であるPNGを味方につけたとみられる。...
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5月22日付米
『CNNニュース』、欧米
『ロイター通信』は、米国がPNGと新たに「防衛協力協定」を締結し、中国による南太平洋地域での影響力拡大を阻もうとしていると報じている。
米国とPNGは5月22日、経済・安全保障分野での協力を強化すべく、新たに「防衛協力協定」を締結した。
ジョー・バイデン大統領(80歳、2021年就任)の名代として派遣されたアントニー・ブリンケン国務長官(59歳、2021年就任)と、PNGのジェームズ・マラペ首相(52歳、2019年就任)が署名したもので、米国としては、南太平洋地域で影響力を拡大しようとしている中国を牽制するために、太平洋諸国フォーラム(PIF、注2後記)の今年の議長国であるPNGを味方につけたとみられる。
南太平洋地域は長らく米国の影響下にあったが、欧州や中東等はもとより国内問題で掛かりきりになっている隙を突いたようにして、中国が資金援助や貿易拡大を梃に影響力を徐々に拡大してきている。
そして中国は昨年4月、ソロモン諸島(1978年英国より独立)との間で安全保障協定を締結していて、その勢いで同年5月にPIF加盟国との包括協定締結を目指したが、一部の国の懸念表明でこれは失敗に終わっていた。
豪州シンクタンクのロウィ・インスティテュート(2003年設立)のマホロパ・ラベイル研究員は、“太平洋島嶼国の中で最大のPNGが米国と防衛協力協定を締結したことで、米国の思惑通り、他の島嶼国へ西側諸国との連携をアピールとなる”とコメントした。
また同研究員は、“PNGに続いて経済規模の大きいフィジー(1970年英国より独立)の新政権が今年初め、昨年中国と締結した警察活動協力協定を停止すると決定したことと相俟って、米国にとって南太平洋地域での中国の影響力拡大阻止戦略の追い風になる”とした上で、“但し、PNGとしては、中国からの脅威を盾に、米国から更なる開発援助を求めることになろう”と付言している。
一方、PNG大(1965年設立の公立大)国際関係専門のパトリック・カイク講師は、“米国・PNG間協定締結によって、南太平洋島嶼国の中で分断が極まる恐れがある”とし、“これら島嶼国としてはこれまで、米国ともまた中国とも等距離外交を切望しているとみられていたことから、それらの国の主権問題にも発展しかねない事態もはらむ”と懸念を表明している。
(注1)防衛協力協定:米国がPNGと5月22日に締結した協定で、米軍がPNG国内の施設を使用可能とする他、軍の防護装備、気候変動の緩和、国際犯罪やエイズウィルスへの対処等まで幅広い分野での協力につき合意。なお、米国の海洋巡視艇にPNG当局者が同乗できる乗船協定の締結も目指す意向。
(注2)PIF:米・英国・フランス等の旧宗主国主導の南太平洋委員会(1947年設立された地域協力機構)に対抗して、島嶼国の主体性を堅持し、結束を図ることを目的として1971年創設。加盟国は、今年議長国のPNGの他、フィジー・ソロモン諸島・バヌアツ・サモア等16ヵ国に援助供与国の豪州・NZを加えた18ヵ国。
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