8月1日付
『AP通信』は、「アリゾナ州高官、2020年大統領選投票結果見直し報告上で282人の死亡者名義の投票があったとの記載内容に疑義ありと公表」と題して、トランプ派が主導して実施した同州投票結果見直し調査において、282人の死亡者名義の投票があったとの記載は誤りで、僅か1人のみであったとの調査結果が公表されたと報じている。
アリゾナ州のマーク・ブルノビッチ司法長官(56歳、2015年就任、共和党)は8月1日、2020年大統領選投票結果見直し報告について再調査したところ、282人の死亡者名義の投票があったとの報告は間違いで、死亡者名義の投票は僅か1票にしか過ぎなかったことが判明した旨公表した。...
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8月1日付
『AP通信』は、「アリゾナ州高官、2020年大統領選投票結果見直し報告上で282人の死亡者名義の投票があったとの記載内容に疑義ありと公表」と題して、トランプ派が主導して実施した同州投票結果見直し調査において、282人の死亡者名義の投票があったとの記載は誤りで、僅か1人のみであったとの調査結果が公表されたと報じている。
アリゾナ州のマーク・ブルノビッチ司法長官(56歳、2015年就任、共和党)は8月1日、2020年大統領選投票結果見直し報告について再調査したところ、282人の死亡者名義の投票があったとの報告は間違いで、死亡者名義の投票は僅か1票にしか過ぎなかったことが判明した旨公表した。
同長官は、今秋実施される連邦上院議員選挙に当たって、同州の共和党予備選候補者として立候補している。
同州の投票結果見直し報告は、選挙は盗まれたと虚偽の主張を繰り返したドナルド・トランプ前大統領(現76歳)の支持者が主導して、サイバー・セキュリティサービス提供のサイバー・ニンジャ(CN、2014年設立、2022年廃業)に委託して実施されていた。
同長官は、投票結果見直しの“監査”をCNに命じた同州上院のカレン・ファン議長(67歳、2019年就任)に宛てた書簡の中で、“CNが死亡者名義の投票があったと報告された人々全員に当たったところ、多くの人が死者扱いされて非常に驚いていた”と言及している。
同長官事務所のライアン・アンダーソン報道官は、“再調査の結果判明した事実から、(不正選挙だとする)起訴に根拠がないことが判明した”と表明した。
更に、死者名義の1票は集計されていないとし、また、司法長官が現在起訴している3件の選挙違反事件は、CNの調査結果に関係したものではない、とも言及した。
本件に関し、同長官は『AP通信』の照会に回答してきていないが、同長官のファン上院議長宛の書簡によると、“CN報告にあった死亡者とされた人々は(実際死亡している1人を除いて)全て有効票として集計されている”としている。
一方、同長官は当初、2020年11月に同州におけるジョー・バイデン候補(現79歳)の勝利を宣言していたが、後に連邦上院議員選挙予備選でトランプの支持を取り付けたいために、CNの調査結果を調べ直すと公表していた。
しかし、トランプは、自身が主張する不正選挙を証明するのに役立つ仕事をブルノビッチが行っていないと酷評した上で、代わって実業家のブレイク・マスターズ(35歳、ドイツ系富豪ピーター・ティールが2005年に立ち上げたベンチャーキャピタル(VC、注後記)「ティール財団」の代表)を推薦すると表明している。
なお、CNは同州最大選挙区のマリコパ郡(郡庁所在地フェニックス)の投票用紙や集計機械等を調査した上で、間違い・偏り・集計欠陥が多く見つかったとの報告書を出したが、それでも結果としては、バイデン候補の得票数が360票上積みされた、となっているとしていた(編注;CN調査の結果、マリコパ郡ではバイデン候補が4万5千票(2%以上)上回っており、全州でも1万457票の差があったとなっていた)。
(注)VC:ハイリターンを狙ったアグレッシブな投資を行う投資会社(投資ファンド)。主に高い成長率を有する未上場企業に対して投資を行い、資金を投下する。経営コンサルティングなどを提供し、投資先企業の価値向上を図る企業も存在する。担当者が取締役会等にも参加し、経営陣に対して監視・コントロール・指導を行うこともある。
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