1月31日付GLOBALi「豪州政府、2月にクワッド対話/外相会議を主催すると発表」で触れたとおり、クワッド対話(注後記)メンバー国である米国は、目下、欧州のウクライナ問題でロシアと対峙する状況になっているが、豪州政府がホスト国となって招集する同対話/外相会議に国務長官が参加するとしている。そしていよいよ2月7日、アントニー・ブリンケン長官(59歳)が、覇権主義的な行動を取る中国を牽制すべく、アジア重視政策の一環で豪州他アジア太平洋地域への外遊に出発する。
2月6日付
『ブルームバーグ』オンラインニュース:「米国務長官、クワッド対話強化のため訪豪」
アントニー・ブリンケン国務長官は2月7日、豪州・メルボルンで今週開催されるクワッド対話/外相会議出席のため訪豪する。
ダニエル・クリテンブリンク国次官補が2月4日、同長官は外相会議において、クワッド対話の枠組み強化・組織化を求めていくことになると発表した。
同次官補によると、米国務長官として1980年代以来となるフィジー(1970年英国より独立)も訪問するという。...
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2月6日付
『ブルームバーグ』オンラインニュース:「米国務長官、クワッド対話強化のため訪豪」
アントニー・ブリンケン国務長官は2月7日、豪州・メルボルンで今週開催されるクワッド対話/外相会議出席のため訪豪する。
ダニエル・クリテンブリンク国次官補が2月4日、同長官は外相会議において、クワッド対話の枠組み強化・組織化を求めていくことになると発表した。
同次官補によると、米国務長官として1980年代以来となるフィジー(1970年英国より独立)も訪問するという。
また、今週末にハワイで開催される日本・韓国外相との3ヵ国外相会議に出席して、直近で相次ぐ北朝鮮のミサイル発射問題等について協議するという。
2月7日付『ロイター通信』:「ブリンケン長官、アジア重視政策の一環で太平洋地域訪問」
ブリンケン国務長官は今週、ウクライナ問題でロシアとの緊張が増す中、アジア重点政策を内外に示す一環で、太平洋地域を訪問する。
同長官は2月7日に出発して、豪州、フィジー、ハワイを訪問し、それぞれの場所で米国にとって重要な同盟国と会談する。
同長官は、それぞれの会談を通じて、アジア太平洋地域で経済力及び軍事力の“勢力拡大”を試みている中国と対峙していく方針であることを再確認する意向である。
同長官は豪州で開かれるクワッド対話/外相会議において、北朝鮮の軍事挑発問題の他、中国が太平洋島嶼国に新たな軍事拠点を築こうとしている懸念について、対応策を協議するとみられる。
一方、同長官の外遊直前、中国とロシアの首脳が、北京冬季大会開催を機会に会談を持ち、“無制限に”戦略的パートナーシップを継続していくと宣言している。
両国首脳は、米国に対抗して共闘していくとし、人権及び民主主義について、両国の基準に則った新たな国際社会の秩序を築いていくとも強調している。
これに関し、クリテンブリンク国務次官補(東アジア・太平洋地域担当)は2月4日の記者会見の場において、両国首脳はウクライナ問題での緊張緩和について協議すべきであったにも拘らず、習近平国家主席(シー・チンピン、68歳)は逆に火に油を注ぐ行動を取ったとして非難した。
なお、米シンクタンク・戦略国際問題研究所(1962年設立)のアジア・豪州問題専門家のチャールズ・エデル上級顧問は、“ウクライナ問題の緊張が高まる中、ブリンケン長官がアジア太平洋地域を訪問するということは、如何に米国がインド太平洋地域に重点を置いているかについて強調する意味を持つ”と分析している。
メルボルンで開催されるクワッド対話/外相会議においては、日本で5月に開催されることが予定されている同対話/首脳会議に先駆けて、同対話の枠組み強化、気候変動問題、また新型コロナウィルス(COVID-19)ワクチンの東南アジア諸国への迅速な提供等が協議されるとみられる。
更に、同長官はフィジーにおいて、同国首相に加えて他の太平洋島嶼国首脳と会談し、気候変動問題の他、同地域における安全保障問題について討議するものとみられる。
これに関し、オバマ政権下で国務次官補(東アジア・太平洋担当)を務め、現在は米シンクタンク・アジア協会政策研究所(1956年設立)の上級研究員であるダニエル・ラッセル氏(68歳)は、“中国の太平洋島嶼国への進出が余りに早く広範にわたることが判明し、米国の尻に火が点いたものとみられる”と分析している。
(注)クワッド対話:非公式な戦略的同盟を組んでいる日・米・豪・印の4ヵ国における対話で、2ヵ国同盟によって維持。対話は2007年当時、安倍晋三首相(当時53歳)によって提唱され、その後ディック・チェイニー副大統領(同67歳)の支援を得て、ジョン・ハワード首相(同68歳)とマンモハン・シン首相(同75歳)が参加して開催。対話は、インド南西端で毎年開催されるマラバール演習(当初米・印2ヵ国)の4ヵ国合同演習実施に繋がった。なお、2021年9月、ジョー・バイデン大統領(79歳)がホストとなって、クワッド対話/首脳会議が開催されている。
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