中国はこれまで、友好国や関係国の協力の下、海外に逃れた反体制活動家や汚職容疑者等の捕縛・本国送還に注力してきている。そしてこの程、中国反体制派とそのパートナーが、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイに中国の海外秘密拘置施設(ブラックサイト)があると証言した。実際に拘置されていた彼らは、同時期に複数のウィグル族も拘置されていたとも言及している。
8月16日付
『AP通信』:「実際に拘置されていた中国人が、中国のブラックサイトがドバイにあり、ウィグル族も拘置されていたと証言」
武圜(ウー・ユアン)という26歳の中国人女性(漢族)がこの程、『AP通信』のインタビューに答えて、6月初めにUAEのドバイにある中国のブラックサイトに8日間拘置されていたと証言した。
彼女によると、少なくとも2人のウィグル族も拘置されていたという。...
全部読む
8月16日付
『AP通信』:「実際に拘置されていた中国人が、中国のブラックサイトがドバイにあり、ウィグル族も拘置されていたと証言」
武圜(ウー・ユアン)という26歳の中国人女性(漢族)がこの程、『AP通信』のインタビューに答えて、6月初めにUAEのドバイにある中国のブラックサイトに8日間拘置されていたと証言した。
彼女によると、少なくとも2人のウィグル族も拘置されていたという。
彼女は、反体制活動家の婚約者の王景瑜(ワン・ジンユー、19歳、同じく漢族)と逃亡中であったが、ドバイのホテルに滞在中に中国官吏によって強引に連行され、マンションをブラックサイトに転用した場所に拘置されたとする。
彼女は、拘置されている最中、王氏を犯罪者に仕立て上げるため、同氏に暴力を振るわれているとの告発状に署名するよう強要されたという。
彼女は最終的に6月8日に解放され、今はオランダに逃れて亡命申請をしていて、その機会にインタビューに答えたものである。
『AP通信』は、彼女の証言の信ぴょう性を別途確認することができておらず、また、彼女自身も当該ブラックサイトの正確な場所を特定できていないが、インタビューアーは、彼女の所持するパスポートのスタンプ、中国官吏が彼女とやり取りした音声、更に、拘置所から解放するよう牧師に助けを求めた通信記録等、彼女の証言を裏付ける証拠の類を確認している。
中国がブラックサイトを海外に所有しているとの話は以前からあったが、実際にドバイにあることが、武氏の証言で初めて明らかになったものである。
中国はこれまで、海外に逃れた反体制派活動家、汚職容疑者、またウィグル族のような少数民族の人たちを本国に送還すべく、中国が国際的な影響力を発揮できる国に協力を求めて、彼らの捕縛に努めてきている。
一方、ドバイは長らく、中国から逃れてきたウィグル族を捕縛して中国に送還する取り組みを行ってきた場所と言われてきている。
実際、刑事司法団体「ドバイの拘束者の代理グループ」(2008年設立)創設者であるラダ・スターリング氏(43歳、豪州出身弁護士)はこれまで、UAEのマンションに拘束されていたカナダ人、インド人、ヨルダン人ら十数名の解放に尽力してきたと語っている。
彼女は、“確かにUAEは、同盟国や友好国の政府の依頼によって、これらの国の出身者を拘束してきている”と強調した。
彼女自身、ウィグル族の解放に直接関わったことはないとしているが、非営利団体「ウィグル族人権擁護プロジェクト」(2004年設立)の調査報告によると、1997~2007年の間、9ヵ国において89人のウィグル族が拘束されたり、本国に送還されたりしたという。
この数値は年々増えていて、2014~2021年にかけては、20ヵ国において1,327人が拘束・送還されているとする。
一方、中国外交部(省に相当)の華春瑩報道官(ホァ・チュンイン、51歳)は8月16日、“中国人が発言したとする内容は全く事実と異なる、としか言いようがない”とコメントしている。
なお、在ドバイ中国総領事館も、また、ドバイ警察、ドバイ・メディア事務所、UAE外務省、いずれもコメント要請に対して何ら音沙汰がない。
更に、米国務省も、武氏の証言や、中国のドバイ・ブラックサイトの件について、目下コメントしようがないとしている。
閉じる