東京都は再々度の緊急事態宣言下となっていて、東京オリンピックを予定どおり開催することに反対する日本人が更に増えている。従って、あくまで開催に固執する国際オリンピック委員会(IOC、1894年設立)に対しても、風当たりが強くなっている。そうした中、来日中のトーマス・バッハ会長(67歳、ドイツ人弁護士、元フェンシング選手)が、報道陣を前にした挨拶の中で、よりによって“日本人”とすべきところを“中国人”と言い間違えてしまった。来冬には北京オリンピックを控えていることもあろうが、英語を母国語としない会長とは言え、如何にも軽率ということで、米メディアが、日本メディアの速報を基にソーシャルメディア上で反発を招いていると報じている。
7月13日付
『AP通信』:「IOC会長、東京オリンピック開催に当たっての挨拶の中での言い間違いを即座に訂正」
IOCのトーマス・バッハ会長は7月13日、東京オリンピック開会式が10日後に迫ったこともあって、先週来日後に初めて報道陣の前で挨拶した。
自主隔離を終えて同会長が現れたのは、主要競技場のほとんどで無観客を強いられるという窮地に立たされている、東京大会を運営する大会組織委員会であった。...
全部読む
7月13日付
『AP通信』:「IOC会長、東京オリンピック開催に当たっての挨拶の中での言い間違いを即座に訂正」
IOCのトーマス・バッハ会長は7月13日、東京オリンピック開会式が10日後に迫ったこともあって、先週来日後に初めて報道陣の前で挨拶した。
自主隔離を終えて同会長が現れたのは、主要競技場のほとんどで無観客を強いられるという窮地に立たされている、東京大会を運営する大会組織委員会であった。
この直前の先週末、大会組織委員会とIOCは、東京都に緊急事態宣言が再発出されたことを受けて、主要競技場を無観客とする決定を余儀なくされている。
かかる状況下、バッハ会長は橋本聖子大会組織委員会会長(56歳)及び武藤敏郎事務総長(77歳)に向かって、“ここまで準備の整った大会はない”とし、“困難な状況下、素晴らしい作業を成し遂げている”と労った。
ただ、同会長は、“今回の大会を開催するに当たって、選手はもとより、海外からの関係者にとって安心・安全な大会とする必要がある”との発言に続いて、“もちろん「中国国民にとっても」安心・安全であることが肝要”と言い間違えてしまい、即座に「日本国民」と訂正した。
同会長は英語で述べていて、日本語の通訳は同会長の言い間違えた部分を訳さなかったが、日本メディアが即座に報じたことから、ソーシャルメディア上で言い間違いの軽率さを非難する声が上がっている。
なお、同会長は7月16日、世界平和促進に励んでいる被爆地広島を訪問予定であるが、『共同通信』は、地元のグループが同会長の広島訪問を反対していると報じている。
また、7月10日には同会長が自主隔離のために宿泊していたホテル前でも、小グループが東京は会長の訪問を歓迎していない、とプラカードを持って抗議していた。
ともかく、緊急事態宣言下にも拘らず、東京オリンピックを強行開催しようとしているバッハ会長及びIOCに対する反発は強く、日本の世論は、質問内容によってばらつくがいずれにしても50~80%が開催反対を表明している。
ただ、IOCとしては、放映権収入が全収益の75%を占めることから、大会中止に伴う損失金30~40億ドル(約3,300~4,400億円)を是非とも避けたいと考えている。
閉じる