最近敢行された米国海軍駆逐艦による南シナ海での監視航行については、欧州のメディアも詳細な報道をしている。最近の中国習近平主席の英国訪問で明らかなとおり欧州諸国の中国政策は経済優先の色が濃く、米国の政策とは一線を画している。今後ドイツのメルケル首相とフランスのオランド大統領が相次いで中国を訪問する予定であり、南シナ海での中国の活動に対する欧州諸国の対応が注目される。
10月27日付英国
『Telegraph』紙は、「米国は中国により建設された島嶼付近航行を再度予定」という見出しで、米国政府高官の火曜日の同趣旨の発言を伝えた。同紙は、カーター米国防長官の上院軍事委員会での「人工島12カイリ内で更に行動を行う用意がある。」との証言に加え、米国側のこの問題に対する主張を伝えている。
10月27日付英国
『Guardian』紙は、「米国は、中国の激しい反発に更なる海上侵攻で威嚇」という刺激的な見出しで、本件に対する中国側の反応とオバマ大統領が今回の決断に至った背景を詳細に伝えている。...
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10月27日付英国
『Telegraph』紙は、「米国は中国により建設された島嶼付近航行を再度予定」という見出しで、米国政府高官の火曜日の同趣旨の発言を伝えた。同紙は、カーター米国防長官の上院軍事委員会での「人工島12カイリ内で更に行動を行う用意がある。」との証言に加え、米国側のこの問題に対する主張を伝えている。
10月27日付英国
『Guardian』紙は、「米国は、中国の激しい反発に更なる海上侵攻で威嚇」という刺激的な見出しで、本件に対する中国側の反応とオバマ大統領が今回の決断に至った背景を詳細に伝えている。
中国の張業遂外交部副部長が米国のマックス・ボーカス中国駐在大使との会談で今回の行動は「極めて無責任」との烙印を押したと「中国国営テレビ」局が報道したこと、中国外務省の陸慷報道官が記者会見で、米国の行動に強い不満の意を表明し、中国の主権に対する脅威であると断じたことが報じられている。一方米国側では、太平洋軍、国防省、国務省、ホワイトハウスの中で早期に中国に対し何らかの行動を起こすべきという意見が増大していたが、オバマ大統領は中国との関係悪化を懸念して決断を先延ばしにして来た。しかも最終的に決断する際も、習近平主席の米国訪問後で11月末にパリで開催される環境変動会議(COP21)に悪影響を及ぼさないくらい離れた時期を選んだとされている。記事中、マイケル・グリーン米国戦略国際問題研究所副理事長で前国家安全保障会議上級アジア部長は大統領の決断の遅れを批判している。
10月28日付ロシアの
『RT(ANO TV-Novosti)』通信は、「中国は米国との戦争も辞さず-南沙諸島駆逐艦事件後の中国メディア」との見出しで、主に中国側の反応を伝えている。中国共産党の機関紙人民日報の国際版である「環球時報」の「芝居は終わった。米国駆逐艦は出て行く時」と題した記事から引用し、「我々は冷静さを保つべきだ。屈辱を感じて怒りをぶつけるほど我々を苛立たせるという米国の目的達成に資することになる。」「中国は、その望むところではないが、現地で戦闘が発生することも辞さない。また、国家の利益と尊厳を守る決意である。」という文章を掲載している。
10月28日付ロシアの
『Sputnik International』は、「ワシントン-北京の対立の最中に仏フリゲート艦が南シナ海へ」との見出しで、来週のフランスのオランド大統領の中国訪問に先立ち、フランスの軍艦が中国を友好訪問中であり現在広東省の港に停泊中で、今後中国艦隊と共同演習を行う予定であるという中国の人民解放軍機関紙「解放軍報」の記事を伝えている。
米中が緊張関係にある中で、フランスの独自路線が注目される。
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