フランスと米国でオリンピックやスポーツ大会の視聴者数が年々低下
フランスと米国では、東京オリンピックの開会式を見た人が、同時間帯に開催された過去のオリンピックに比べて減少した。オリンピックにとどまらず、スポーツイベント全般の視聴者数が減少傾向にあるという。
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『ラ・プロヴァンス』紙は、仏テレビ局「フランス2」での東京オリンピックの開会式の生中継は、高視聴率を得ることが出来たと伝えている。393万人の視聴者と37.7%の視聴率を獲得した。視聴者数は終日増加し、「フランス 2」の全体的な視聴率はライバル局「TF1」を上回った。20.3%の「TF1」に対して「フランス2」は21.9%を記録した。
しかし、仏『レゼコー』紙は、テレビで今も最も人気のある番組の一つであるスポーツ大会の視聴者数は、数年前の水準に戻る気配がないと伝えている。...
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『ラ・プロヴァンス』紙は、仏テレビ局「フランス2」での東京オリンピックの開会式の生中継は、高視聴率を得ることが出来たと伝えている。393万人の視聴者と37.7%の視聴率を獲得した。視聴者数は終日増加し、「フランス 2」の全体的な視聴率はライバル局「TF1」を上回った。20.3%の「TF1」に対して「フランス2」は21.9%を記録した。
しかし、仏『レゼコー』紙は、テレビで今も最も人気のある番組の一つであるスポーツ大会の視聴者数は、数年前の水準に戻る気配がないと伝えている。特にアメリカでは、オリンピックの視聴率も減少しているという。
フランスでは、東京オリンピックで高視聴率が取れているものの、夏季オリンピックの視聴者数はこれまでと比較すると減少している。東京オリンピックの最初の3日間で、仏テレビ局で放送された開会式を除く平均視聴者数は76万9千人、視聴率は全種目、全時間帯の平均で13.3%だった。2016年のリオ大会の時は、今回と時差が異なっていたものの、同じく3日間平均で、視聴者数93万2千人、視聴率10.1%だった。
さらにさかのぼると、フランスとの時差がわずか1時間のロンドンオリンピックでは、3日間で約300万人の視聴者を集め、約24%の視聴率を獲得した。また、2008年に開催された時差6時間の北京オリンピックでも、当初100万人以上のフランス人が視聴し、視聴率は18%を記録した。この傾向は開会式にも反映されている。東京大会の開会式の視聴者数は約390万人、視聴率は37.7%であったが、10年あまり前の同時期の北京大会での視聴者数約500万人、視聴率48.2%には及ばなかった。
広告大手IPG メディアブランズ社のリサーチ・ディレクターであるエレーヌ・ブション氏は、「この前のユーロ大会でも見られたように、一般的にスポーツの視聴者数は以前に比べてやや減少している。しかし、25日午後に「フランス 2」で350万人の視聴者を獲得した素晴らしい数字を見ると、今後の競技に期待が持てる。リオや北京では、大会初日にこれほどの視聴者数は見られなかった。また、代表選手の活躍も影響してくると思う」と述べている。
一方、米国では、視聴者数の減少傾向が確実に進んでいる。米「NBC」によると、東京オリンピックの開会式の米視聴者数はわずか1700万人。この30年間で最も低い。アメリカ東海岸と日本の間にある13時間の時差の影響が考えられるものの、1988年のソウル大会の開会式は、2270万人が視聴していた。
IPG メディアブランズ傘下の調査部門マグナグローバルのグローバル・フォーキャスト・ディレクターであるヴィンセント・リタン氏は、「スポーツは、他のテレビ番組よりも長い間、視聴者の減少に耐えてきた。しかし、この3~4年、アメリカでは毎年スポーツイベントの視聴者数が減少しており、開会式のような長いイベントはなおさらだ。アメリカの視聴者は、ハイライト版を見ることに慣れてきてしまっている」と語っている。アメリカンフットボール選手権の決勝戦である今年のスーパーボウルも、2006年以来の低い数となる9200万人しか視聴しなかった。
しかし仏『リベラシオン』紙によると、開催地東京では、予想に反して高い視聴率が取れたという。新型コロナウイルス感染症の影響で日本の世論はオリンピックに対して否定的であったにもかかわらず、首都圏の56%以上の世帯が開会式をテレビで視聴したことが判明した。これは、オリンピックの開会式の視聴者数としては、1964年の東京オリンピックに次いで2番目に多い。
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フランス、教師殺害に関するソーシャルメディアの責任を追及
フランスの公立中学校の教師が、イスラム教原理主義の若者に殺害された事件で、殺害のきっかけが保護者の投稿した動画とヘイトスピーチであったことから、警察はFacebook、Twitter、Youtube、Whatsappなどのソーシャルメディアの役割についても調査を進め始めた。
『フランスアンフォ』によると、殺害された教授はネット上で「ファトワー」の対象になっていたという。ファトワーとは、イスラム教では、宗教、教育、消費、金融、健康など、生活のあらゆる側面に関わる様々な事柄について、宗教的権威者によって与えられる法的意見のことを指している。
ダルマナン内相は「ヨーロッパ1」のインタビューで、殺害された教師が教えていた中学校の生徒の父親が、イスラム原理主義活動家であるアブデルハキム・セフリウイ氏 と共に、ネット上で教師に対する「ファトワー」を発令し、SNSを活用して糾弾運動をすすめていたと述べた。...
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『フランスアンフォ』によると、殺害された教授はネット上で「ファトワー」の対象になっていたという。ファトワーとは、イスラム教では、宗教、教育、消費、金融、健康など、生活のあらゆる側面に関わる様々な事柄について、宗教的権威者によって与えられる法的意見のことを指している。
ダルマナン内相は「ヨーロッパ1」のインタビューで、殺害された教師が教えていた中学校の生徒の父親が、イスラム原理主義活動家であるアブデルハキム・セフリウイ氏 と共に、ネット上で教師に対する「ファトワー」を発令し、SNSを活用して糾弾運動をすすめていたと述べた。両氏は、教師が授業でイスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を生徒に見せたことで、処罰を求めていた。
『ロシアトゥデイ』によると、両氏は教師に会うことを拒否し、その代わりに中学校の校長に対し、事件を世間に公表し、学校の前でデモをする計画を立てていると警告していたという。ダルマナン内相は、数十人のイスラム教徒が警察の捜査対象となっており、80件のネット上のヘイトスピーチに関する捜査がすすめられていると発表した。
『LCI』によると、生徒の父親とアブデルハキム・セフリウイ氏は、教師を糾弾する動画を作成してSNSで拡散させていた。両氏は警察に身柄を拘束されたものの、殺害事件の責任を否認している。
しかし、多くの捜査官、警察、判事は、ソーシャルネットワーク上で組織された中傷キャンペーンがなければ、このようなことは起こらなかったと確信しているという。当初WhatsAppで拡散された教師に対する抗議の動画は、回りまわって10月9日、95,300人以上のフォロワーを持つパリにあるモスクのFacebookページに投稿された。多くの人が動画を閲覧できるようになり、400以上のコメントや反応を誘発した。拡散が拡がる中、動画は教師を殺害した容疑者の目にも留まり、その後犯行に及んだことが判明している。
ある中学生は仏テレビ局「TF1」のインタビューに対し、生徒の父親は「なぜソーシャルネットワークでそのことを話したのか?」と問いかけている。学校内でおさまるはずの話が、ソーシャルメディア上で拡散される中で、どんどん変えられていった。預言者の風刺画は「裸の人の写真」となり、市民と道徳を扱う授業は「ポルノ画像の流布」に変わり、表現の自由を尊重する教師は「イスラム嫌悪」と評されるようになり、結果的に悲劇を招いてしまった。中学生は「こうした表現が人に本当に恐ろしい欲望を引き起こしてしまった」と語っている。
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