高齢化が進行している中、年金受給開始年齢の段階的引き上げが計画されているが、最新の報告書では、平均余命の伸長が以前予測された水準には達していないため、受給開始年齢の引き上げは時代遅れだと指摘されている。
12月19日付英国
『BBC』:「年金受給年齢引き上げに慎重論」:
最新の報告書は、寿命の延びが当初の予想ほどではないため、年金受給開始年齢の引き上げは今の66歳のまま据え置くべきだとしている。政府の現行の計画だと、2028年までに受給開始年齢を67歳に、その後も68歳に引き上げる計画となっている。コンサルタントLCPは、寿命が横ばいの今、30年間は変更すべきではないと指摘している。
政府の年金年齢に関する最新調査によると、2016年以降の受給額は週当たり179.60ポンドで受給開始年齢は昨年10月まで段階的に引き上げられ、今後は10年をめどに67歳へ、その後2039年以降68歳へ引き上げる予定だ。...
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12月19日付英国
『BBC』:「年金受給年齢引き上げに慎重論」:
最新の報告書は、寿命の延びが当初の予想ほどではないため、年金受給開始年齢の引き上げは今の66歳のまま据え置くべきだとしている。政府の現行の計画だと、2028年までに受給開始年齢を67歳に、その後も68歳に引き上げる計画となっている。コンサルタントLCPは、寿命が横ばいの今、30年間は変更すべきではないと指摘している。
政府の年金年齢に関する最新調査によると、2016年以降の受給額は週当たり179.60ポンドで受給開始年齢は昨年10月まで段階的に引き上げられ、今後は10年をめどに67歳へ、その後2039年以降68歳へ引き上げる予定だ。これは老後期間が成人期間の3分の1を超えないとの想定で計算されていた。しかし、計画策定後に寿命の公式統計はパンデミック前から下方修正されている。
その結果をふまえ、LCPは、2051年までの67歳引き上げは取りやめ、2060年代半ばまでは68歳への引き上げもすべきでないと主張、このような案は1960、70年代、80年代初頭の2千万人には恩恵のあるプランだったが早急に変更されるべきだとする。
今月、労働年金省(DWP) は年金受給開始年齢の再調査を開始したと発表。透明性のある財源管理、高齢化を踏まえた老後プランと財政保障の基礎を提供していくとしている。
年金の専門家は、受給年齢計算の検討を求めてきた。受給年齢の引き上げは、それまで待つことのできる健康な富裕層へは恩恵あるものだが、不健康で個人的蓄えのない人にとっては、減額率付きであっても早く貰うことが出来なくなる。「多くの人は65歳で引退するような勤労人生を送ったときに受給できないことに失望する。若い世代が年金制度に期待しないのは当然の結果だ」としている。
12月20日付英国『Money Marketing』:「年金受給年齢引き上げは計画倒れ、LCP」:
LCPによると、年金受給開始年齢を2028年までに67歳へ、2039年までに68歳へ引き上げる政府の計画は、期待されていたような寿命の延びが見込めないとの予想から時代遅れだという。寿命に合わせた年金受給年齢引き上げ政策にこだわった場合、67歳への引き上げは2051年まで出来そうにないとする。
2014年時点の国家統計局(ONS)の人口予想を用いた資料では、今後数十年で寿命は延び続けると予想されていた。これに基づき、政府アクチャリティ部門は、リタイア期間が成人期間の3分の1を超えないと想定し、2041年までに年金受給年齢を68歳まで引き上げる必要があると試算。この報告書を受け、労働年金省(DWP)は2039年までに68歳まで引き上げるという現在法より7年前倒しとなるタイトな計画を示した。
その後ONS が発表した2016年と2018年基準の人口予想では寿命がより短くなっている。例えば2014年を基準とすると、66歳女性は平均89歳まで生きると仮定されるが、2018年を基準とすると、同じ人の寿命が87歳と短くなる。
LCPのパートナーSteve Webb氏は、「コロナ禍前から、過去100年の寿命の延びはほぼなかったのに、引き上げ計画だけが独り歩きしていた。66歳に引き上げられたのは昨年。次の引き上げはしばらくないだろう。」としている。
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