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【Globali】
JPモルガン予測:電気自動車時代の負け組と勝ち組産業(2017/08/23)
8月22日の 『CNBC』はJPモルガンによる、電気自動車(EV)の普及によって生ずる多くの負け組み産業と少数の勝ち組産業のアナリスト予想を紹介し、負け組には自動車ディーラー、自動車部品産業、自動車ローン会社、石油会社、勝ち組には半導体産業、消費者がなる可能性がある。ある予測ではEVは2025年までに世界市場の35%、2030年までに48%のシェアを獲得すると見込まれている。
JPモルガンによればコスト問題等の転換点を超えれば、EVの普及は一気に加速するとしている。既存の内燃機関による自動車(ICV)とEVの車両の価格差は電池の価格の下落に伴って既に小さくなっているが、普及を加速させるために車両の価格を大幅に下げる必要はないと指摘している。これはICVの中古車価格が下落するのではないかとの不安から、ICVとEVの車両の価格差が無くなる前でも消費者をEVの購入に駆り立てるからだ。...
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JPモルガンによればコスト問題等の転換点を超えれば、EVの普及は一気に加速するとしている。既存の内燃機関による自動車(ICV)とEVの車両の価格差は電池の価格の下落に伴って既に小さくなっているが、普及を加速させるために車両の価格を大幅に下げる必要はないと指摘している。これはICVの中古車価格が下落するのではないかとの不安から、ICVとEVの車両の価格差が無くなる前でも消費者をEVの購入に駆り立てるからだ。
EVの普及は既存のICVの関連産業に大きな影響を与えると予想される。第一にEVは維持費を大幅に減少させる。これはICVの2000に対してEVの可動部品は20しかないため、EVの維持費はICVの約10%に過ぎない為だ。このことは、収益をアフターサービスに依存している自動車ディーラーにとって打撃となる。第二に、EVは設計や組み立てが比較的簡単で可動部品が少ないので自動車業界の設備投資支出が減少し、自動車部品業界には打撃となる。第三に、自動車ローン会社に打撃となる。これはICVの中古車としての価値が下がる為ICVを自動車ローン会社が回収し再販する場合に受取額減少だけでなく、EVの製品寿命が伸びればローンの件数が減少するからだ。第四に石油会社に打撃となる。乗用車は世界の石油需要の20%を占めている。2025年以降電気自動車に大きく普及すると石油需要は2035年までに約15%減少すると見込まれる。
一方でEVはICVに比べて半導体を2~3倍使用し、充電ステーションでも使用するので半導体産業が勝ち組になる。また西欧諸国ではガソリン代が消費支出の約8~10%を占めているためこれが無くなることで、消費者も勝ち組となる。
これに対し8月14日の『Clean Technica』は、EVの普及はそんなに近くないとの自動車業界関係者やアナリストの懐疑的な声を報じている。複数の米大手自動車部品製造会社の経営者は2025年のEVの普及率は5~6%、ハイブリッド車は30%とし、EVの普及には数十年かかるとしており、アナリストもこれを支持している。
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