世界に衝撃を与えた中国主導のアジアインフラ投資銀行（ＡＩＩＢ）について、創設メンバー国の受付けが終了したが、その国際社会への影響が出てくるのは、まだまだこれからが本番だろう。不参加を決めた日米は、ＡＩＩＢのガバナンスの不透明さを指摘しているが、中国側は、ＡＩＩＢを西欧式のやり方で進めていくことはないとしていることから、大枠では中国が自らの影響力を高めるツールに利用していくことはほぼ間違いなさそうだ。中国は各国にＡＩＩＢへのドアはオープンだとして参加を呼びかけてきたが、西欧諸国の中からは、中国からいじめを受けないために参加を決めたとの声も聞かれる。その一方で、北朝鮮の加盟申請を中国が拒否していたことが判明、中国は一体どのようなルールに基づいてこの新銀行を運営していこうとしているのか、ＡＩＩＢについてこれからより深く注視していく必要がありそうだ。各国は、ＡＩＩＢをめぐる攻防について以下のように報じた。

4月1日付『ＡＦＰ通信』（フランス）は、「中国は米国の同盟国をはじめとする５０近くの国々をそそのかして、ＡＩＩＢに加盟させるという外交的クーデターを成功させたものの、多くの国を束ねて運営していくという気の遠くなる現実に直面している」と報じた。
3月31日付『ＵＰＩ通信』（米国）は、「中国が北朝鮮のＡＩＩＢ加盟申請を拒否」との見出しで、英国パブリケーションエマージングマーケッツＷＥＢ版の記事を引用し、「２月に北朝鮮は外交ルートを通じてＡＩＩＢへの加盟申請を行っていたが、金融経済体制が国際基準に達していないとの理由で、これを中国が拒否していたことがわかり、北朝鮮に衝撃が広がっている」と報じた。...

4月1日付『ＡＦＰ通信』（フランス）は、「中国は米国の同盟国をはじめとする５０近くの国々をそそのかして、ＡＩＩＢに加盟させるという外交的クーデターを成功させたものの、多くの国を束ねて運営していくという気の遠くなる現実に直面している」と報じた。
3月31日付『ＵＰＩ通信』（米国）は、「中国が北朝鮮のＡＩＩＢ加盟申請を拒否」との見出しで、英国パブリケーションエマージングマーケッツＷＥＢ版の記事を引用し、「２月に北朝鮮は外交ルートを通じてＡＩＩＢへの加盟申請を行っていたが、金融経済体制が国際基準に達していないとの理由で、これを中国が拒否していたことがわかり、北朝鮮に衝撃が広がっている」と報じた。また中国が北朝鮮の加盟を拒否した理由について「北朝鮮を加盟させた場合、ＡＩＩＢのガバナンスに対する米国の懸念を高めてしまいかねず、中国としては拒否せざるを得なかった。今回のケースは、北朝鮮が１９９７年にＩＭＦに加盟申請して拒否されたケースによく似ている」、との米国の保守系シンクタンクＡＥＩの政治経済部長ニコラスエバースタット氏の分析を紹介した。
また3月31日付『コリアタイムズ』（韓国）も中国が北朝鮮のＡＩＩＢ加盟を拒否したことを伝え、その理由として「ＡＩＩＢとして主権国家に貸しつけを行うとき、最終的に返済される必要があるが、北朝鮮は情報開示が十分でなくその基準を満たしていない」、とのアジア開発銀行研究所の元所長だった河合正弘氏の分析を紹介した。
一方、3月31日付『ニューヨークタイムズ』（米国）は、「日本もＡＩＩＢに加盟しないという米国の方針に付き合った」と報じた上で、「中国は日本にとっての上位の貿易相手国だが、日本と中国には東シナ海の無人島の領有権をめぐる対立があり、米国に付き合うだけの安全保障上の理由があった」と伝えた。