『レゼコー紙』は、「日経新聞は影響力拡大の必要性を感じている」と見出しをつけて、日経新聞側の理由を説明する。日経新聞は「利益率が高く」、購読者数380万の
『ウォールストリートジャーナル』に次いで世界第二の購読者数(約300万)を抱え、「日本の経済政策立案者や政界全体に読者層を持つ」にも関わらず、「傲慢さが殆どない」と、フランスの日経新聞にあたるレゼコー紙は日経新聞を、高品質と商業的成功の両方を有する優良メディア企業と認識する。その日経新聞がファイナンシャル・タイムズに求めたのは「欠如している国際的認知度」と伝える。アジア最大のメディアグループ日経の欧米での認知度が、世界第二の購読者数に比例しない理由の一つは、「日経のデジタル化の遅れ」と
『ルモンド紙』は指摘する。
またレゼコー紙は「デジタル化の遅れは国内の読者の必然的浸食を呼ぶ」と評し、「月額4300円の高い購読料を納得している日本国内の購読者は高齢化している」一方で、「ネットで情報を収集する事になれている若手世代の中でも、若手サラリーマンに価値を認めさせる事に日経新聞は苦心している」事に触れる。「デジタル戦略のパイオニアとして、世界に先駆けてデジタル化を進めたファイナンシャル・タイムズ紙との提携は日経にとって必要不可欠」と
『ルモンド紙』は報じる。
『日経アジアレビュー』、イギリス
『モノクル』との業務提携など、ここ数年日経グループは新たな成長市場開拓と海外での認知度向上への投資を続けており、ファイナンシャル・タイムズ買収はその仕上げのようだ。「日経新聞の認知度と国際的な影響力の増加」が見込めるとレゼコー紙は認識している。「日経新聞が同意した買収額が、アマゾンのCEOがワシントンポスト買収時に支払った額の5倍にあたる」(ルモンド紙)ことからも、日経新聞のデジタル化の遅れへの危機感の強さが伺える。それが「本来の事業である教育関連出版と教育サービスに業務を集中させたい」ピアソンの利害と一致した。
また「新聞とメディア業界のグローバル化の動きは、ピアソングループの日経へのファイナンシャル・タイムズ売却で劇的に進んだ」とルモンド紙が評する通り、単なる一メディア企業の買収劇ではなく、現在の新聞とメディア業界全体を象徴する国際的な傾向である事を改めて示した。
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