電子タバコ(注1後記)は近年、禁煙あるいは減煙用の補助具として発達した。日本でも2007年頃から流通している。しかし、この程、米・英国の保健機関が、電子タバコ吸引が原因とみられる肺疾患による死亡事故、あるいは重篤患者の急増を理由に、安易な使用を控えるよう警告を発した。特に英国では、形がUSBメモリーに似ていて、リンゴやイチゴの香りがする電子タバコが十代の生徒の間で流行していることから、教師側から両親に対して注意喚起する声が上がっている。
9月7日付米
『ライフゼット』オンラインニュース:「米疾病予防管理センター、電子タバコが原因で5人死亡、450人重篤と警告」
米疾病予防管理センター(CDC、注2後記)は9月6日、33の州において、電子タバコが原因とみられる肺疾患で、5人が死亡、450人が重篤となっていると発表した。
そして同センターは、詳細な調査・分析が終了するまで、電子タバコの使用を控えるよう注意喚起している。...
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9月7日付米
『ライフゼット』オンラインニュース:「米疾病予防管理センター、電子タバコが原因で5人死亡、450人重篤と警告」
米疾病予防管理センター(CDC、注2後記)は9月6日、33の州において、電子タバコが原因とみられる肺疾患で、5人が死亡、450人が重篤となっていると発表した。
そして同センターは、詳細な調査・分析が終了するまで、電子タバコの使用を控えるよう注意喚起している。
米食品医薬品局(FDA)によれば、大麻(*)を含むカートリッジの中に“ビタミンE石油派生物”が認められ、これが肺疾患の原因だとみられるとしている。
すなわち、この油脂が肺の中に入り、本来空気を取り込むべき微小の嚢胞を損傷させたと考えられるとする。
(*)米国では、医療用として25州(カリフォルニア、ワシントン、NY、ハワイ等)が、また、嗜好用として8州(カリフォルニア、ワシントン、ワシントン特別区、オレゴン等)が、大麻の使用を合法化している。
9月9日付英国『ザ・サン』紙:「教師陣、米国での電子タバコによる肺疾患の報告例を挙げて、両親が子供たちの使用を控えさせるよう注意喚起」
米国のCDCが、電子タバコ吸引が原因で5人の若者が死亡したと発表した。
このニュースを受けて、英国中の学校の教師らが、生徒の電子タバコの使用を控えさせるよう、両親に注意喚起し始めた。
特に、欧米で高いシェアを誇る“ジュール”と呼ばれる電子タバコは、手のひらに収まるサイズで、子供に人気のリンゴやイチゴの香り等多くのフレーバーがあり、しかも、USBメモリーのように充電可能で何度でも使用できる。
従って、校内で使用制限するには限度があり、かつ、SNS等を通じて簡単に手に入ることから、学校側では、各家庭で子供たちに注意するよう呼び掛けている。
英国公衆衛生庁(PHE、注3後記)によると、2018年において、英国の11~18歳のうち16%が電子タバコを吸っているとし、2014年比倍増しているという。
なお、“ジュール”販売会社の広報担当は、同社製品はあくまで禁煙しようとする大人用に開発したため、未成年者や喫煙経験のない人たちは“断固として”使用を控えて欲しいと強調している。
(注1)電子タバコ:タバコ型の吸入器によってタバコやミント、フルーツなどの味・香りをつけた水蒸気を吸引するもの。吸入器は、カートリッジに入った液体をバッテリーによって加熱、変霧器という部分で霧状にするしくみになっている。吸入感覚がタバコに非常に近いと言われ、タバコの代替品、禁煙あるいは減煙用の補助具として近年発達した。しかし、2008年に世界保健機関(WHO)が、電子タバコの安全性に対して疑問を呈する発表を行った。更に、2009年には米食品医薬品局(FDA)が、ニコチンを含まないと表示のある商品からニコチンが検出されたり、経口摂取すると毒性のあるジエチレングリコールが検出されたりする例があったとする調査結果を公表している。
(注2)CDC:米保健福祉省所管の感染症対策の総合研究所。1946年設立。
(注3)PHE:英国保健省の執行機関のひとつ。英国健康保護局など70を超す公衆衛生関連組織を統合して2013年に発足。
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