仏、大学教育の地域格差の解消と地域活性化に向けた取り組み(2019/11/22)
主要都市から遠く離れた若者達の進学をどのように支援することができるのか。日本だけでなく海外でも同様の課題を抱えている国が多い。フランスでは、地域格差の障害を取り除き、地方の若者にも高等教育の道が開かれるよう、「コネクティッドキャンパス(接続された大学)」という新しい試みが今年の新学期(9月)からスタートした。
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『ラ クロワ』によると、今年行われた調査の結果、パリ首都圏の若者達の67%が高等教育に就学することを希望するものの、人口2万人未満の都市に住んでいる若者達は、その数字が48%に留まることが判明した。主な理由は、住み慣れた地域を離れることに抵抗を感じること、そして、大学に通うために都会で住むためには生活費が負担になってしまうことだという。
仏『フランス アンフォ』によると、複数の大学が国内の農村地域と提携し、2019年の新学期(9月)より、13の遠隔教育施設を開設した。...
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『ラ クロワ』によると、今年行われた調査の結果、パリ首都圏の若者達の67%が高等教育に就学することを希望するものの、人口2万人未満の都市に住んでいる若者達は、その数字が48%に留まることが判明した。主な理由は、住み慣れた地域を離れることに抵抗を感じること、そして、大学に通うために都会で住むためには生活費が負担になってしまうことだという。
仏『フランス アンフォ』によると、複数の大学が国内の農村地域と提携し、2019年の新学期(9月)より、13の遠隔教育施設を開設した。家の近くにある「コネクティッドキャンパス」のクラスに出向いて、遠くの高等教育機関の授業を受けられるシステムである。
コネクティッドキャンパスでは、市が提供しているオープンスペースで10名前後の学生のために一人につき1台のパソコンと勉強机が用意されており、各学生が自分の大学のカリキュラムの遠隔講義を受けることができる施設となっている。
また、各キャンパスには指導員が1名配置されており、各学生の必要に応じてコーチングをしてもらえる。例えば論文の書き方に自信がない学生には論文の書き方の学習のための練習課題などを提供、勉強方法や進め方など全般的なこともアドバイスをしてくれる。
学生は、自宅に近いこうしたコネクティッドキャンパスに毎日通うことで、都会に出ていく負担を回避できるだけでなく、他の学生や指導員がいる環境の中で、学習意欲を保ちながら受講を続けることが出来るというメリットがある。
仏『フランス3』によると、13あるコネクティッドキャンパスの1校を提供しているオータン市の市長は、開設したばかりのこの試みに満足しているという。同市長は農村地域は「若者が地元にとどまり、地元で教育を受け、地元で就職先を見つける、あるいはビジネスを始めてくれる」ことを期待しており「オータン市の問題は失業ではなく、地元企業が有能な人材を採用することに苦労していることだ」と訴えた。
農村部から離れて教育を受けに行く若者は戻ってこない傾向があり、地元で教育を受け続けることでそのまま地元に留まる可能性が高くなることが期待されている。コネクティッドキャンパスは、農村地域の開発と活性化の機会になりうるというのだ。
仏政府は2022年までに国内全土に100のコネクティッドキャンパスを開設することを目標としている。コネクティッドキャンパスに参加する大学には仏政府から毎年10万ユーロ(約1200万円)の補助金が支払われる。
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欧州連合、サマータイム廃止の実現は不透明のまま(2019/10/29)
先週末、欧州連合(EU)ではサマータイム(夏時間)から標準時間(冬時間)に時計が戻された。このサマータイム制度は欧州連合に加盟しているすべての国で、3月末に時計を1時間進めて夏時間とし、10月末に標準時間へ戻すというもの。昨年の夏、欧州委員会がEU市民を対象に実施した調査では8割以上の回答者がこの制度に反対を表明し、欧州委は制度廃止を提案、今年3月には2021年に廃止される案が承認されている。しかしフランスメディアは、廃止するまでには実際にはまだ長い道のりがあると報じている。
『フランス3』によると、昨年7月から8月にかけて欧州委が行った調査では460万人の回答者のうち、84%がサマータイムに反対を表明した。今年3月、欧州議会では2021年にこの制度が配されることに賛成410票、反対192票で可決された。
欧州委は、当初2019年の廃止を提案していたが、廃止期限が短すぎるとし、2年延長された。そして廃止後に夏時間を維持したいEU加盟国は、2021年3月に最後の夏時間への移行を行うこと、冬時間を維持したい国は2021年10月に最後の冬時間への移行を行うことが決定された。...
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『フランス3』によると、昨年7月から8月にかけて欧州委が行った調査では460万人の回答者のうち、84%がサマータイムに反対を表明した。今年3月、欧州議会では2021年にこの制度が配されることに賛成410票、反対192票で可決された。
欧州委は、当初2019年の廃止を提案していたが、廃止期限が短すぎるとし、2年延長された。そして廃止後に夏時間を維持したいEU加盟国は、2021年3月に最後の夏時間への移行を行うこと、冬時間を維持したい国は2021年10月に最後の冬時間への移行を行うことが決定された。
しかし最終的にこの廃止案が批准されるためには、28の加盟国全ての承認が必要となる。
『フランス アンフォ』によると、加盟国によってはサマータイムの廃止は、色々な問題を解決するよりも、より多くの問題を起こすだろうと考えている国や、廃止がもたらす影響についてきちんとした研究がされていないと考えている国もあるという。そのため、廃止案は立ち往生してしまっている。
なおフランス、スペインやポルトガルは夏時間を、より北に位置するフィンランド、デンマーク、オランダやベルギーは冬時間を選択しようとしている。そうなると欧州連合内で夏時間と冬時間が入り交ざってしまうことになり、かなりの混乱が生じてしまう。
こうした点で加盟国内で合意に達することができていないため、この廃止案は2021年になってもまだ宙に浮いたままになっている可能性が高いと見られている。
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