アメリカ、ニューヨーク州のクオモ知事は23日、新型コロナウイルスの抗体検査を3,000人に実施したところ、約14%に抗体が確認されたと発表した。今後更に検査を拡充し、ロックダウンの解除と経済活動の再開を判断するうえで結果を参考にする予定だという。
『ニューヨーク タイムズ』によると、今回の抗体検査は、19の郡で計40ヵ所の食料品店や大規模小売店で実施された。無作為に選ばれたニューヨーク市の約1,300人を含む合計3,000人に、20日から2日間に渡り血液採取が行われた。
陽性反応が出たのはロングアイランドで約17%、ウェストチェスターとロックランド郡でほぼ12%、同州の他地域では4%未満だったという。しかし、ニューヨーク市に限ると、21%に陽性反応が確認された。...
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『ニューヨーク タイムズ』によると、今回の抗体検査は、19の郡で計40ヵ所の食料品店や大規模小売店で実施された。無作為に選ばれたニューヨーク市の約1,300人を含む合計3,000人に、20日から2日間に渡り血液採取が行われた。
陽性反応が出たのはロングアイランドで約17%、ウェストチェスターとロックランド郡でほぼ12%、同州の他地域では4%未満だったという。しかし、ニューヨーク市に限ると、21%に陽性反応が確認された。これはニューヨーク市の住民は5人に1人がコロナウイルスに対する抗体を保持していることが考えられ、想定されていた以上にウイルスが拡がっている可能性があることが見えてきた。
なお初期の抗体検査は、検査結果の信頼性が疑問視されていたが、ニューヨークの研究者たちは連邦政府承認のもと、数週間かけて、独自の抗体検査の開発と検証に取り組んできたという。州当局は、信頼できる抗体検査は、いつどのようにして経済を再開し人々を職場に送り返すかを決定するための重要な判断材料になると見ている。
しかし、ニューヨーク大学公衆衛生学のオンパッド准教授は、採血された対象が「症状がなく、家族のために買い物に来た人々である場合」と「医療従事者である場合」とでは結果が大きく異なってくると『マーケットウォッチ』で指摘している。
そして「どのような人達が抗体検査を受けたのかが分からない限り、ニューヨーク州全体で住民の14%が抗体保持者であると発言することには注意すべきだと述べている。
また、ニューヨーク市衛生局のダスカラキス博士は、抗体検査で陽性反応が出た場合でも、免疫力を持っていることを証明しているわけではないと警告している。
そして同博士は「急性新型コロナウイルス感染の診断、あるいは感染しているかどうかを事前に判断するために血清検査を使用すべきではない。ウイルスに対する免疫状態を判断するためにも使用すべきではない」と述べている。 「抗体検査は偽陰性または偽陽性の結果をもたらす場合があり、結果的に、人との物理的な距離の取り方や感染予防の方法について、間違った指導をしてしまう可能性が出てくる。」と説明している。
ニューヨーク州では23日時点で、コロナウイルスの確定感染者数263,460人、死亡者15,740人、そのうち21日火曜日だけで438人が死亡している。
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