欧州議会議員、「欧州の民主主義に干渉する」中国の取り組みに警鐘を鳴らす(2021/11/11)
ラトビアの欧州議会議員サンドラ・カルニェテ氏は9日、欧州議会に昨年設置された「外国からの干渉に関する特別委員会」に報告書の草案を提出し、外国からの脅威に対抗するために、特に「中国から来る干渉を監視する」ための特別なタスクフォースの設置を要求した。
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『エポックタイムズ』 によると、この報告書は、昨年9月以降に委員会が実施した、少なくとも100人の専門家へのヒアリングに基づいている。ロシアの影響力の問題も取り上げられているものの、最大の関心事は中国共産党(CCP)の活動となっている。
報告書は、中国が影響力を及ぼす方法の1つとして、エリートの取り込みだと指摘している。フランスのジャン=ピエール・ラファラン元首相が「フランスでの中国の利益促進に積極的に関与していた」ことや、チェコのステファン・フューレ元欧州委員が「中国華信能源のために働いていた」ことなどが挙げられている。...
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『エポックタイムズ』 によると、この報告書は、昨年9月以降に委員会が実施した、少なくとも100人の専門家へのヒアリングに基づいている。ロシアの影響力の問題も取り上げられているものの、最大の関心事は中国共産党(CCP)の活動となっている。
報告書は、中国が影響力を及ぼす方法の1つとして、エリートの取り込みだと指摘している。フランスのジャン=ピエール・ラファラン元首相が「フランスでの中国の利益促進に積極的に関与していた」ことや、チェコのステファン・フューレ元欧州委員が「中国華信能源のために働いていた」ことなどが挙げられている。中国華信能源(CEFC China Energy)は、ロシア、東欧、アフリカの一部で数十億ドル規模の石油コングロマリットを展開しており、中国の石油王、葉簡明氏が設立した。昨年、米国上院の報告書でも、バイデン大統領の息子であるハンター・バイデン氏と、葉簡明氏を含む中国人との間で「疑わしい取引」があったことが報告されている。
報告書は、中国が影響力を及ぼす別の方法として、国家プロパガンダを挙げている。中国共産党政府が主管する記事が報道機関を通して世界に拡散されていることを指摘している。2020年5月、ブリュッセルに本拠を置く国際ジャーナリスト連盟は、パンデミックが広がる中、「中国が、偽情報を含むますます独創的な戦術」に対して警告する報告書を発表していた。連盟は、イタリアの国営通信社「ANSA」が、2019年に新華社と覚書を交わした後、中国の国営メディアのコンテンツを報じていることを指摘していた。なお、ロンドンのシンクタンク、欧州外交問題評議会が最近発表した報告書では、ボスニア、ブルガリア、北マケドニア、セルビアといった南東ヨーロッパの国々で、中国メディアの存在感が高まっていることが指摘されていた。
欧州議会の報告書は、中国共産党が資金提供している約200の孔子学院がヨーロッパに存在していることも警告している。「孔子学院は、中国の経済的利益のためのロビー活動や、中国の諜報機関やスパイの勧誘のためのプラットフォームとして機能している」と報告書は述べている。
香港の『サウスチャイナモーニング』 によると、報告書は、昨年、フランスのナント市にある博物館で開催された、13世紀のモンゴル帝国の皇帝、チンギスハンに関する展示会が延期されたことについて触れている。報告書はこの展覧会の主催者が、中国共産党が展覧会の内容を検閲しようとしたと主張していることを指摘している。
しかし、『サウスチャイナモーニング』 は、EUの中国の干渉活動に対する姿勢は、弱腰になる面があると指摘している。昨年の報告書では、中国が報復として医薬品の供給を停止することを恐れて、中国の国家的な情報操作に関する報告書の一部を修正した。この報告書の草案では、中国は新型コロナウイルスの発生に対する責任を回避するために、「公然かつ隠密な戦術」を用いて「世界的な偽情報キャンペーン」を行っていると記述されていた。この部分は、中国政府が介入し、中国に駐在するEUの外交官に不特定多数の影響を与えると警告したため、削除された。
先月、EUと台湾の関係拡大に関する画期的な投票が行われる前に、中国の駐EU大使が欧州議会議長に手紙を送り、投票を左右するために議長の役割を「活用」するよう求めた。ハンガリーの欧州議会議員であるKatalin Cseh氏は、この手紙について「中国が民主主義や民主的プロセスをあからさまに無視していることは懸念すべきことであると改めて認識させられた」と述べた。同月、ドイツの大学にある孔子学院で、習近平国家主席に関する書籍の宣伝を目的とした2つのイベントが、中国当局の圧力により中止されたと地元メディアが報じている。
ニュースサイト『EUオブザーバー』 は、草案はEUの外交機関である欧州対外行動庁(EEAS)が、中国語を話せる人材を採用し、中国による情報操作に対処するための十分な能力を「緊急に」確立することを求めていると報じている。
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フランス国際政治学者、「日本は米国の新しいお気に入り」(2021/10/27)
インド太平洋地域は、中国の台頭によって世界の新たな中心地となっている。こうした中、バイデン政権にとって日本が一番の同盟国に選ばれていると、フランスの著名な国際政治学者が述べている。
フランス国際関係研究所(IFRI)の特別顧問であり国際政治学者のドミニク・モイジ氏が仏
『レゼコー』 紙への寄稿で、中国に対抗する上で、今、日本が米国にとって最も大切な同盟国になっていると主張している。
モイジ氏によると、第二次世界大戦後、長い間英国が米国の最も大切な同盟国であった。ベルリンの壁が崩壊し、冷戦が終結して以降、アメリカにとって最も大切な同盟国は、その時の大統領に応じて変わっていった。...
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フランス国際関係研究所(IFRI)の特別顧問であり国際政治学者のドミニク・モイジ氏が仏
『レゼコー』 紙への寄稿で、中国に対抗する上で、今、日本が米国にとって最も大切な同盟国になっていると主張している。
モイジ氏によると、第二次世界大戦後、長い間英国が米国の最も大切な同盟国であった。ベルリンの壁が崩壊し、冷戦が終結して以降、アメリカにとって最も大切な同盟国は、その時の大統領に応じて変わっていった。オバマ元大統領時代はドイツ、トランプ前大統領時代はイスラエルとサウジアラビアがあげられる。そして今、アメリカには新しい「お気に入り」ができた。
アメリカのある上級外交官は、「世界の中でアメリカにとって最高の同盟国は、もはや日本であることに疑いの余地はない」と述べていた。バイデン大統領の就任後、ホワイトハウスに最初に迎えられた訪問者は日本の首相であり、続いて韓国の大統領であった。これは、アメリカがインド太平洋地域を優先し始めていることを示しているという。
モイジ氏は、アメリカが日本を選んだのは偶然ではないとも主張している。インドは人口比では世界最大の民主主義国家であるが、民主主義の実践面で多くの問題を抱えている。一方、日本は米国にとって好ましい面を沢山備えている。日本は手続きが煩雑で腰が重い面があるものの、安定した民主主義の国である。また、米国、中国に次ぐ世界第3位の経済大国であり、グローバルパワーとして紛れもない地位を確立している。そして何よりも、日本は地理的に、世界にとっての新たな脅威である中国に非常に近く、世界の新しい中心地の最前列にいる。
香港の『サウスチャイナモーニング・ポスト』 は、米国の駐日大使に指名されているラーム・エマニュエル氏が米上院の公聴会で証言し、中国が「分断による征服」を目指す中、日米の二国間関係を強化することを宣言するとともに、東京の防衛費が増加する可能性があることを歓迎したと伝えている。
オバマ元大統領の大統領側近の首席補佐官を務めたエマニュエル氏は、日米のパートナーシップは「自由で開かれたインド太平洋における平和と繁栄の礎となってきた」と述べ、大使として「承認されれば、私の最優先事項はこの結びつきを強化することだ」と述べた。そして、「中国は分裂による征服を目的としている。アメリカの戦略は結束による安全保障である。地域の結束は、日米同盟のうえに築かれている」と付け加えている。
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