トランプ新政権の国防長官のジェームス・マティス氏は、来週日本と韓国を訪問する予定であり、トランプ政権で日本を訪れる最初の閣僚となる。国防長官が政権発足後に最初にアジアを訪問先として選んだのは、アメリカ政府がアジア太平洋地域の安全保障や各国との同盟の重要性を優先していると考えられる。
マティス国防長官は2月2日に安倍首相に電話で挨拶をし、翌日稲田防衛大臣と対談をする予定。
1月25日付
『サウス チャイナ モーニング ポスト』(
『共同通信』配信)、
『メイル オンライン ワイヤーズ』(
『ロイター通信』配信):
日本での対談では「普天間基地移転問題から始まり、北朝鮮の核問題や中国の南シナ海での軍備拡張の脅威、それらを含めたアジア太平洋地域における安全保障や日米同盟の重要性」という点について議論するとみられる。しかし、トランプ大統領が選挙中に訴えていたように「日本の軍事費の負担額を増やす」ことをアメリカ側に要求される可能性がある。
実際、トランプ大統領は日本だけでなく韓国や他の同盟国に軍事費の負担額の増加を要求している。「軍事費の負担ができないのであれば自国の防衛は自国でする」というのがトランプ氏の考え方である。
しかし、日本政府はすでにアメリカ軍隊の駐留費や軍事費に7割もの負担をしているので「すでに十分ではないか」、と考えているとみられる。そのため、稲田防衛大臣は対談中にその事実をアメリカ政府に再認識してもらうよう働きかけるとみられる。
また、マティス国防長官は韓国との対談では、THAADミサイル(終末高高度防衛ミサイル)の韓国国内への配備を要求するとみられる。
マティス国防長官は「アジア地域のミリタリーバランスや安全保障については最重要課題である」と述べており、特に北朝鮮の核については脅威であると強く主張している。
朝鮮戦争以来韓国ではアメリカ軍がそのまま滞在して韓国の軍事的な防衛を担ってきたが、THAADミサイルの配備は中国だけでなく北朝鮮の核へ対抗する役割も果たすと言われている。
しかし、中国政府はこれについて「アジア太平洋地域の軍事バランスを著しく損なう」としアメリカに猛反発している。
しかし、アメリカ政府も「中国は国際法違反国家であり、南シナ海での軍事行動をやめなければ戦争をも辞さない覚悟である」と述べている。
日本も軍事的に拡大し続ける中国には脅威を感じており、安倍首相も「TPPは中国への対抗勢力にもなりえる」と主張してきた。
しかし、トランプ大統領が「アメリカのTPP脱退」を決定したことにより今後アジア地域の勢力図が変わっていくとみられ、そのため中国の行動からは今後も目が離せない。
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1月11日付
『サウス チャイナ モーニング ポスト』(
『AP』配信)によると、
トランプ政権で司法長官に任命されたジェフ・セッションズ氏は以前の人種差別的な言動から、民主党から”市民の公平な権利を守る司法長官が務まるのかどうかを疑問視されているが、火曜日の指名承認公聴会では、「人種差別的な発言をしたことは一切ない」と述べた。セッションズ氏は「トランプ氏を支持しているが、必要な場合は対抗する必要があり、司法長官として法律を犯すような事態になるようなことがあれば辞職する覚悟がある。」と述べている。例えば、「強制的な尋問や自白を強要させるような取り調べは容認される」というトランプ氏の考え方には反対していると主張している。しかし、移民反対の政策についてはおおむね賛成するとしていて、メキシコからの不法移民やイスラム過激派には強硬姿勢を保つべきだとしている。
また、イスラム教徒の完全な入国禁止は支持しないが、オバマ政権が移民の強制的な国外追放を禁止する政策を批判している。
同氏は、「自身の法律事務所内で黒人の弁護士を”ぼうや”と呼んだこと」や「NAACP(全米黒人地位向上協会)を”アメリカ的でない”と述べた」ことについては”事実無言です”と答えている
。
”アフリカ系移民や黒人の方が長い間我が国でひどい人種差別を受けてきて選挙権すらなかった歴史を私はこの目で見てきております。絶対に昔の時代に後戻りしてはなりません。”公聴会でセッションズ氏はこのように述べた。
セッションズ氏は上院の共和党内保守の多数派や保守層の多い州の民主党から支持されているが、オバマ政権下の司法省内では「平等で公正な市民権」を絶対的な政策目標としているため、民主党からは「信頼できるのかどうか」疑問視されている面がある。
実際、大統領選挙のハッキング事件についても表立った法律的な対策は施行せず、オバマ政権下のように”市民権の実態調査”も積極的には行わない方針をほのめかしていて、今後のセッションズ氏の政策からは目が離せない。と報道している。
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