北朝鮮情勢を追う(5月19日)
再び恫喝的言動を取り始めた北朝鮮
シンガポールで6月12日に行われることが決定した史上初の米朝首脳会談まであと約3週間たらずになった。しかしここにきて、予想されていたとは言え、一波乱が起きた。米韓合同軍事演習「マックスサンダー」(11日から開始)が行われたことを口実に、北朝鮮はこれまでの融和ムードを一変させ、南北閣僚級会談を会談当日になって一方的にキャンセルし無期限延期にすると通告してきた。...
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再び恫喝的言動を取り始めた北朝鮮
シンガポールで6月12日に行われることが決定した史上初の米朝首脳会談まであと約3週間たらずになった。しかしここにきて、予想されていたとは言え、一波乱が起きた。米韓合同軍事演習「マックスサンダー」(11日から開始)が行われたことを口実に、北朝鮮はこれまでの融和ムードを一変させ、南北閣僚級会談を会談当日になって一方的にキャンセルし無期限延期にすると通告してきた。また米朝首脳会談についても中止を示唆するなど、再び瀬戸際外交のような恫喝的言動を取り始めた。また北朝鮮は今月23日から25日にかけて核実験場の廃棄場面をメディアに公開するとしていたが、この中から韓国メディアを締め出した。一方で中国とは距離を縮めており、今月8日に行われた習近平国家主席との対談で金正恩委員長は習主席に対し北朝鮮を中国のように(体制はそのままで)経済を改革・開放していきたいと語ったという。北朝鮮の狙いは何なのか。今後どうしていきたいのか。これに対し米国トランプ政権はどのように対処していくのかを探っていきたい。
北朝鮮の思惑は?
米朝首脳会談の中止を示唆した北朝鮮だが、一体何を考えているのか。ある専門家は今回のような北朝鮮の行動はいつものやり方であり、特に驚くべき行動ではないとしている。いつやめてもいいということをちらつかせながら、米朝首脳会談において自国に限りなく有利な条件を米国側から引き出したいと考えている可能性が高い。特に北朝鮮サイドは、核兵器の完全廃棄後に経済制裁を解除するというリビア方式に激しく反発しており、この方式を排除したい思惑があるようだ。この方式をボルトン国務長官は北朝鮮に対し強く要求していて、北朝鮮はボルトン国務長官の存在自体にも強く反発している。北朝鮮は中間選挙を前提に行動しているトランプ大統領の足元を見た上で行動しているようだ。
米国の出方は?
一方、これまでボルトン長官と歩調を合わせてきたかのように見えていたトランプ大統領だが、ここに来て「我々はリビア方式を全く考えていない」と言い始めた。さらに北朝鮮が重視する体制保証についても初めて明確にし、北朝鮮にかなり譲歩する姿勢を見せ始めた。こうしたことでボルトン長官との間に微妙な温度差も見え始めている。その一方でトランプ大統領は「会談が行われないのであれば我々は次のステップに行く」とも述べ、北朝鮮に対し強硬姿勢に転じる可能性にも踏み込んだ。実際問題として今のトランプ政権にはもう北朝鮮に軍事的圧力をかける余裕はないだろう。エルサレムの大使館移転問題で中東にエネルギーと注意力を割かなければいけない状況になってきているからだ。トランプ大統領が弱腰な一番の理由は11月の中間選挙の存在が大きいが、トランプ大統領としては11月の中間選挙の下院で負けてしまうとトランプ大統領の弱体化を招くどころか弾劾裁判に追い込まれる可能性もあるため、絶対に負けるわけにはいかない。北朝鮮との融和は中間選挙対策の大きな目玉であり、今さら取り下げるわけにはいかないとトランプ大統領は焦っている。こうした焦りは北朝鮮に足元を見られることになり、今後北朝鮮の理不尽な要求に振り回されることにもつながりかねず、交渉が長引いたり米国が大幅に譲歩した場合には日本にも影響が出てくるため、日本としては今後の動きを注意深く見ていく必要がある。
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米朝首脳会談は開催されるのか(5月18日)
南北閣僚級会談の中止に続き、米朝首脳会談も拒否する姿勢を北朝鮮が見せた。ボルトン大統領補佐官が重ねて「先核放棄、後補償」のリビア方式を主張したことに対する反発であった。
ただしこの発言が金桂寛第一外務次官であることは注目に値する。北朝鮮の「揺さぶり」に対し、米国がどのように対応するか見たわけである。昨年9月に「太平洋上で水爆を爆破させる」と言ったのも金容浩外相の発言であった。金正恩委員長が語ったのでは実行しなくてはならなくなる。...
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南北閣僚級会談の中止に続き、米朝首脳会談も拒否する姿勢を北朝鮮が見せた。ボルトン大統領補佐官が重ねて「先核放棄、後補償」のリビア方式を主張したことに対する反発であった。
ただしこの発言が金桂寛第一外務次官であることは注目に値する。北朝鮮の「揺さぶり」に対し、米国がどのように対応するか見たわけである。昨年9月に「太平洋上で水爆を爆破させる」と言ったのも金容浩外相の発言であった。金正恩委員長が語ったのでは実行しなくてはならなくなる。国際的な反応をみるには、相応な人物にブラフを語らせてみせるという手段がとられることになる。
金桂寛第一外務次官の発言を受け、トランプ大統領は「リビア方式」はとらない、北朝鮮が非核化するなら、体制を「保護する」と述べ、さらにもし交渉をしなければ「次の局面に移行する」と述べている。
トランプ大統領にすれば、米朝首脳会談の成功により、中間選挙を勝利し、ノーベル賞まで手に入れられるかもしれない、大事な交渉をつぶすわけにはいかない。ただし非核化の手順や核放棄の「完全さ」をどこに求めているのかといった、交渉の核心といった点については、なお米朝の隔たりは大きいと思われる。さらに北朝鮮にしてみれば、非核化と体制の「保証」が「取引」されることに反発を覚えるのではないか。非核化の内容次第で体制が保証されるかわからないことになる。さらにトランプ大統領が「5月に金正恩委員長が、(中国の)習近平主席に会ってから状況が変わった」と述べたことに対しては、中国の庇護が必要ともとられる発言に対し、さらに北朝鮮が反発を募らせることになろう。
もっとも北朝鮮にとっても米朝首脳会談をしないわけにはいかなので、直前まで「揺さぶり」をかけ、なんとか有利な条件をひきだそうとしているのではないか。
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南北対話・再開の条件は・“米韓共同訓練中止”(5月18日)
北朝鮮は南北閣僚級会談を急遽中止したことについて、対話を再開する条件として韓国軍と米国軍が行っている共同訓練の中止を要求した。
北朝鮮祖国平和統一委員会のリソングォン委員長は昨夜、国営メディアを通じて韓国政府を非難する立場を示した。
リソングォン委員長は「会談を中止させた重大事態が解決されないかぎり、南の政権と向き合うことは容易に実現しない」と述べた。
北朝鮮のキムケグァン第一外務次官はおととい、史上初の米朝首脳会談を取りやめる可能性を示唆していた。...
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北朝鮮は南北閣僚級会談を急遽中止したことについて、対話を再開する条件として韓国軍と米国軍が行っている共同訓練の中止を要求した。
北朝鮮祖国平和統一委員会のリソングォン委員長は昨夜、国営メディアを通じて韓国政府を非難する立場を示した。
リソングォン委員長は「会談を中止させた重大事態が解決されないかぎり、南の政権と向き合うことは容易に実現しない」と述べた。
北朝鮮のキムケグァン第一外務次官はおととい、史上初の米朝首脳会談を取りやめる可能性を示唆していた。
北朝鮮としては米朝首脳会談に向け非核化をめぐる駆け引きが激しくなる中、韓国を揺さぶり米国へ牽制する狙いがあるとみられる。
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トランプ大統領・北朝鮮に“あくまで非核化求める”(5月17日)
トランプ大統領は、北朝鮮が来月の米朝首脳会談を取りやめる可能性を示唆したことをめぐり、あくまで非核化を求める立場を示し、今後の出方を見極める考えを強調した。
北朝鮮はきのう、米国との交渉に携わってきたキムケグァン第1外務次官の談話を発表した。
“一方的に核放棄だけを強要しようとするなら米朝首脳会談に応じるか再考せざるを得ない”として、米朝首脳会談を取りやめる可能性を示唆した。
これを受け、トランプ大統領は北朝鮮にあくまで非核化を求める立場を示し、今後の出方を見極める考えを強調した。...
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トランプ大統領は、北朝鮮が来月の米朝首脳会談を取りやめる可能性を示唆したことをめぐり、あくまで非核化を求める立場を示し、今後の出方を見極める考えを強調した。
北朝鮮はきのう、米国との交渉に携わってきたキムケグァン第1外務次官の談話を発表した。
“一方的に核放棄だけを強要しようとするなら米朝首脳会談に応じるか再考せざるを得ない”として、米朝首脳会談を取りやめる可能性を示唆した。
これを受け、トランプ大統領は北朝鮮にあくまで非核化を求める立場を示し、今後の出方を見極める考えを強調した。
ホワイトハウス・サンダース報道官は、米朝首脳会談は“重要な会談だ”とし、準備を進める考えを示した。
その一方で北朝鮮が対話を選ばなければ圧力を強める考えを示しけん制した。
トランプ大統領は「どうなるか見てみなければ」、サンダース報道官は「会いたくないならそれでもいい、その時は最大限の圧力をかけ続けるだけだ」と述べた。
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中国・習主席・北朝鮮代表団に“米朝対話実現を支持”(5月17日)
中国・習近平国家主席は北京で会談した北朝鮮高官の代表団に対し、「南北関係の改善、北朝鮮と米国の対話、朝鮮半島の非核化実現を支持する」と述べ、米朝首脳会談が予定通り開かれることに期待を示した。
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