激変する日本を取り巻く環境(6月16日)
(1.安全保障)
トランプ大統領がFOXニュースのインタビューで「巨額の金がかかる韓国にいる3万2000人の米兵を本土に連れて帰りたい」との衝撃発言を行った。実は韓国駐留米軍の削減・撤退はトランプ大統領の2016年からの選挙公約でもある。TPP協定からの脱退、パリ宣言からの離脱、エルサレムへの大使館移転など、これまでトランプ大統領が、選挙公約をことごとく実行させていることを考えれば、実現する可能性は無いとは言えない。...
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(1.安全保障)
トランプ大統領がFOXニュースのインタビューで「巨額の金がかかる韓国にいる3万2000人の米兵を本土に連れて帰りたい」との衝撃発言を行った。実は韓国駐留米軍の削減・撤退はトランプ大統領の2016年からの選挙公約でもある。TPP協定からの脱退、パリ宣言からの離脱、エルサレムへの大使館移転など、これまでトランプ大統領が、選挙公約をことごとく実行させていることを考えれば、実現する可能性は無いとは言えない。韓国からの撤退は、北朝鮮との交渉の際のカードとして、段階的に実施されるのかもしれないが、これが実現すれば、東アジアの安全保障環境に大きな影響を与えることは間違いなく、日本への影響も大きい。特に在日米軍や自衛隊の負担が増え、思いやり予算や防衛費の増額で国民への負担も大きくなるだろう。更に日本からも米軍を撤退するという話も出てこないとはいえず、その場合には核武装論も浮上してくる可能性さえも考えられる。
(2.貿易摩擦)
貿易が不公正との理由で、米国が中国からの航空・情報通信技術関連・ロボットなどハイテク関連の輸入品1102品目に対して25%の関税措置を段階的に発動すると発表した。日本から中国へは電子部品・プラスチックなどが輸出され、中国の工場で製品化されるなどして、その一部は米国にも輸出されており、中国製品の輸出が減れば、日本の輸出が減る可能性がある。何より恐ろしいのはトランプ政権が日本の基幹産業である自動車も関税措置の対象として視界に入れているという点であり、これが実施された場合には数万人単位の失業者が出て、輸出立国・日本は大きな転換を余儀なくされるとみられる。今のうちに新たな産業構造への根本的転換を図っておくことが日本にとっては重要となる。
(3.金融政策・財政再建)
現実には日銀が日本国債を大量に購入し、日本の財政赤字を支えている。日銀の国債保有量は2013年3月には125兆円だったが、今年3月には450兆円までに膨れ上がった。先進国の中でも突出している日本の財政赤字をこのまま放置したままで、長期金利が上がれば現状の経済政策にも影響を与えかねない。FRBやECBが立て続けに金融緩和の縮小に向かう中で、日銀だけが大規模な金融緩和を続けている。どこかでこの流れを変えないと財政破綻という悪夢も出てくる可能性がある。日銀には出口戦略を示す時が近づいてきているとも言えるのではないか。
(4.対北朝鮮)
米国が北朝鮮との関係をこれまでの圧力路線から融和路線に激変させた。米国が融和と言っている以上、日本も融和的に接する他はなく、北朝鮮の非核化がある程度進んだ場合、IAEAの核査察費用など応分の請求書が日本にまわってくる可能性がある。これとは別に拉致被害者の返還が前提だが、戦後補償の問題や拉致問題の解決のために、経済支援を行う可能性もあり、巨額の費用が必要となってくることも考えられる。
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6/10~6/16
先週は4日のIAEA理事会、7日にワシントンで行われた日米首脳会談や8日にカナダで始まったG7など国際会議が目白押しだったが、今週はいよいよ12日にシンガポールで開催される米朝首脳会談一色になりそうだ。トランプ大統領の中間選挙目当ての政治パフォーマンスになると見方がある一方で、予測のつかない即断即決型のトップ同士による会談のため、何らかのサプライズもあるかもしれないとの期待も一部にはある。金正恩委員長がどのような形でシンガポール入りするのかや、中国が金委員長専用機の護衛に自国の戦闘機編隊を投入するのかなど興味は尽きない。...
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先週は4日のIAEA理事会、7日にワシントンで行われた日米首脳会談や8日にカナダで始まったG7など国際会議が目白押しだったが、今週はいよいよ12日にシンガポールで開催される米朝首脳会談一色になりそうだ。トランプ大統領の中間選挙目当ての政治パフォーマンスになると見方がある一方で、予測のつかない即断即決型のトップ同士による会談のため、何らかのサプライズもあるかもしれないとの期待も一部にはある。金正恩委員長がどのような形でシンガポール入りするのかや、中国が金委員長専用機の護衛に自国の戦闘機編隊を投入するのかなど興味は尽きない。歴史的一大イベントになることは間違いない。早速、今週の予測を見ていこう。
12日(火曜日)シンガポール・セントーサ島のホテル「カペラ・シンガポール」で日本時間午前10時に米朝首脳会談が行われる。特に注目されるのは米朝首脳の核廃棄に関わる発言で、「核廃棄の方向で一致した」といったような玉虫色の決着になる可能性が高いが、期限を切った核廃絶の工程表の話や米国への核弾頭の搬出など具体的な話に及ぶ可能性もゼロとはいえず、注視していく必要がある。CVIDについての言及があるのかどうかにも注意したい。また日本にとっては拉致問題の話をトランプ大統領がどのように切り出し、金正恩委員長がこれにどのように反応するのかも注目される。
共同記者会見も注目で、金委員長が人権問題など西側ジャーナリズムの厳しい質問にどのように答えるのかも興味深い。さらには2人のファッションも注目される要素のひとつで金正恩委員長は南北会談の時には党服を着ていたが、今度は資本主義の象徴である背広を着てくるのかどうかも非常に気になるところだ。加えて金委員長がトランプ大統領と会う時に片手で握手するのか、左手を添えて両手で握手するのか、ハグするのかその辺りに見ていくことも興味深い。また2人による散歩はあるのかどうかにも注目が集まっている。個人的にはイバンカや李雪主、金与正による外交にも注目している。
14日(木曜日)河野外相が訪韓しポンペオ国務長官、韓国・カンギョンファ外相と日米韓外相会談を行う。米朝首脳会談の結果を共有し、その後の対応策を話し合う会談となりそうだ。同じ日、日銀金融政策決定会合が15日まで開催される。今回の会合でも現行の金融緩和政策を粘り強く続けていくとみられる。この他、ロシアでサッカーW杯が開幕する。
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6/3~6/10
6月2日(土曜日)になってようやくシンガポールで12日、米朝首脳会談が行われることが決まった。一方、カナダで行われているG7財務大臣中央銀行総裁会議に出席中の麻生副総理兼財務大臣が、米国による輸入制限措置について「WTOへの米国の提訴は今後の流れを見て検討する」との考えを示した。微妙な時期での発言は米国を刺激し、北朝鮮問題、拉致問題にも影響を及ぼしかねないため、細心の注意が必要となり、かなり神経を使うことになるであろう。...
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6月2日(土曜日)になってようやくシンガポールで12日、米朝首脳会談が行われることが決まった。一方、カナダで行われているG7財務大臣中央銀行総裁会議に出席中の麻生副総理兼財務大臣が、米国による輸入制限措置について「WTOへの米国の提訴は今後の流れを見て検討する」との考えを示した。微妙な時期での発言は米国を刺激し、北朝鮮問題、拉致問題にも影響を及ぼしかねないため、細心の注意が必要となり、かなり神経を使うことになるであろう。米朝首脳会談まであと10日。世界の行方を左右するこの日に向かって米中の強烈な駆け引きが展開される可能性があり、全ての物や事が6月12日に向かって一斉に動いていくともいえそうだ。来週の予測を立ててみる。
3日(日曜日)シンガポールで行われていたアジア安全保障会議が閉幕する。声明で南シナ海で強権的な動きを見せる中国に対してどの位の強い文言が盛り込まれるかが注目点となる。
4日(月曜日)は天安門事件から29年となり、米国メディアが人権問題で中国を批判する特集を組む可能性がある。4日(月曜日)から8日(金曜日)まで台湾軍の実弾訓練が行われる。中国にとっては4日は不愉快な日となり台湾および米国に対し反発を強めるかもしれない。
同じく4日(月曜日)から8日(金曜日)までIAEA理事会が行われる。「IAEAは米朝首脳会談が行われることを歓迎し、北朝鮮の非核化が行われる場合にはIAEAは査察などで協力する用意がある」などとする声明も出される可能性もある。
7日(木曜日)日米首脳会談が行われる。トランプ大統領は安倍総理に対し12日の米朝首脳会談でどのような形で拉致問題について話すかを安倍総理に話し、助言を求める可能性がある。一方で貿易摩擦の問題についても意見が交わされる可能性がある。
8日(金曜日)から9日(土曜日)にかけてカナダでG7サミットが開かれる。貿易摩擦問題で米国に注文がつけられる可能性が高い。同時に北朝鮮問題では米国の立場に各国は理解を示すことになりそうである。
9日(土曜日)「上海協力機構」首脳会議が開催される。中国やロシアが米朝首脳会談を前に北朝鮮の段階的削減を支持する声明を発表する可能性もある。
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5/27~6/2
今週は米朝首脳会談の開催をめぐり、米国と北朝鮮がめまぐるしい動きを見せている。米朝首脳会談や米中貿易戦争の先行きに再び不透明感が広がっており、この問題は成り行きによっては株や為替など経済にも大きな影響を与えそうだ。北朝鮮がプンゲリにある自国の核実験場爆破の模様をメディアに公開した直後、トランプ大統領は6月12日にシンガポールで行われる予定だった米朝首脳会談の中止を発表した。そのすぐ後に、北朝鮮の第1外務次官の談話が発表されると、今度は態度を急転させ、「もし会談が行われるのであればシンガポールで6月12日になりそうだ」とツイッターに書き込み、と12日の開催について含みを持たせている。...
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今週は米朝首脳会談の開催をめぐり、米国と北朝鮮がめまぐるしい動きを見せている。米朝首脳会談や米中貿易戦争の先行きに再び不透明感が広がっており、この問題は成り行きによっては株や為替など経済にも大きな影響を与えそうだ。北朝鮮がプンゲリにある自国の核実験場爆破の模様をメディアに公開した直後、トランプ大統領は6月12日にシンガポールで行われる予定だった米朝首脳会談の中止を発表した。そのすぐ後に、北朝鮮の第1外務次官の談話が発表されると、今度は態度を急転させ、「もし会談が行われるのであればシンガポールで6月12日になりそうだ」とツイッターに書き込み、と12日の開催について含みを持たせている。このため米朝首脳会談は当初の予定通りにシンガポールで開催される可能性も残されている。スピーディに動く世界の動きを少しでもキャッチアップしていくために来週の動きを見ていきたい。
27日(日曜日)安倍・プーチンのサンクトペテルブルクでの日ロ首脳会談が行われる。プーチン大統領はエネルギー、医療などでの日本との経済協力の具体化に重点を置いているとみられ、どのような内容になるのかに大きな注目が集まる。北朝鮮問題においてやや影がうすい日ロがどのようなスタンスをこの問題で見せるのかにも注目したい。
28日(月曜日)衆参予算委員会で安倍総理も出席し集中審議が行われる。加計学園、森友学園の疑惑にからみ安倍総理をどこまで野党が追及できるのかに注目が集まっている。今後の政府、自民党の総裁選挙に向けての流れを大筋で形作るとも言える重要な審議となりそうだ。
30日(水曜日)には党首討論が行われる。二大政党制を想定して行われてきた党首討論だが、民主党の失速で党首討論そのものの存在が疑われるような状況になっている。その存在意義を問われる党首討論となりそうだ。
31日(木曜日)にはカナダでG7先進7か国財務相中央銀行総裁会議が開かれる。貿易摩擦問題や保護主義について意見が交わされそうだ。
6月1日(金曜日)から3日までアジア安全保障会議がシンガポールで開催される。貿易摩擦、台湾問題、南シナ海問題で対立する米中の激しいつばぜり合いが浮き彫りになるとみられる。この会議で中国がどこまで自己主張するのか注視が集まる。一方、鉄鋼・アルミ輸入関税適用問題で米国は今のところ欧州連合(EU)を適用外としているが、この日に猶予期限が切れる。エルサレム移転問題やイラン核合意問題で米国と立ち位置が異なるEUだが、この問題における米国の動きが注目される。
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5/20~5/26
今週は国内では新潟女児殺害事件犯人逮捕と日大アメフト反則問題一色に染まり、国外では死者が60人以上に及んだ在イスラエル米国大使館エルサレム移転問題で揺れた1週間だった。
そんな中、北朝鮮は南北閣僚級会談を一方的に中止し、米朝首脳会談の開催の中止もちらつかせ、その開催が危ぶまれている。来週もまた北朝鮮に絡んだ動きが数多く出てきそうだ。
さっそく来週の動きを見ていこう。
17日から2日間の日程で始まった米中通商協議。...
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今週は国内では新潟女児殺害事件犯人逮捕と日大アメフト反則問題一色に染まり、国外では死者が60人以上に及んだ在イスラエル米国大使館エルサレム移転問題で揺れた1週間だった。
そんな中、北朝鮮は南北閣僚級会談を一方的に中止し、米朝首脳会談の開催の中止もちらつかせ、その開催が危ぶまれている。来週もまた北朝鮮に絡んだ動きが数多く出てきそうだ。
さっそく来週の動きを見ていこう。
17日から2日間の日程で始まった米中通商協議。ホワイトハウスは19日、米中両国の共同声明を発表し、米国の貿易赤字を大幅に削減するため、中国向けの農作物やエネルギーの輸出を増やすことで一致したことを明らかにした。米国が問題視している“知的財産侵害”を巡っては、中国が「特許関連を含め、法律や規制の修正を進める」と明記し、関連の法律や規制の改正を進めるとしている。米国側が求めてきた対米貿易黒字2000億ドルの削減を含め、具体的な数値は一切盛り込まれておらず、、両国は具体策の協議を続けるとしている。
22日(火曜日)にはワシントンで米韓首脳会談が行われる。文大統領の就任後、トランプ大統領との首脳会談はこれで4回目になるが、通訳以外の同席者無しに会談を行うのは今回が初めて。北朝鮮の完全な非核化と朝鮮半島の恒久的な平和定着に向けた具体的な履行方法を集中的に協議するものとみられ、米韓合同軍事演習についての話し合いも持たれる可能性がある。韓国大統領府は米韓首脳会談で米国と北朝鮮当局の間の溝をできるだけ埋めたいと考えているようだ。この会談に対する北朝鮮の反応も注目される。
23日(水曜日)から25日(金曜日)にかけて北朝鮮が北東部にあるブンゲリ核実験場の廃棄を行い、この様子を中国・ロシア・米国・英国のメディアに公開するとしている。あらゆる行動をカードととらえている北朝鮮だけに、この廃棄が予定通り行われる保証はどこにもない。北朝鮮は中間選挙を念頭に焦りを見せ始めているトランプ大統領の足元をよく見ている。
24日(木曜日)から26日(土曜日)までロシア最大級の経済会議「サンクトペテルブルグ国際経済フォーラム」が開催される。26日に安倍首相はプーチン大統領との日ロ首脳会談を行い、北朝鮮問題のほか、日ロが共同で進める経済協力や、平和条約締結に向けた北方四島の帰属の問題についても話し合われる予定だ。また、今年は「ロシアにおける日本年」でもあり文化交流についての話も加速するものとみられる。五輪フィギュアスケート女子の金メダリスト・ザギトワ選手への秋田犬の贈呈式もこの期間中に行われ安倍首相も出席する。
25日(金曜日)にはAPEC貿易相会議がパプアニューギニアで開催される。公正で質の高い貿易ルールの整備がどこまで進むかに注目したい。
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