冷え込む日韓関係・韓国の視線は北朝鮮に(12月29日)
(日韓関係はレーダー照射問題で最悪の状況に)
米中首脳会談や2020年東京五輪を控え、隣国として連携が強化されるべき韓国との関係が、韓国海軍駆逐艦の海上自衛隊P1哨戒機へのレーダー照射問題で最悪の状況に陥っている。ここのところ徴用工問題や慰安婦財団の解散など、立て続けに日韓関係にマイナスの出来事が起きてはいたが、特にレーダー照射問題は日韓軍事衝突につながりかねない危険な動きだった。防衛省は、レーダー照射について意図的なものではなかったと否定する韓国に抗議するために、現場で撮影した映像を公開したが。...
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(日韓関係はレーダー照射問題で最悪の状況に)
米中首脳会談や2020年東京五輪を控え、隣国として連携が強化されるべき韓国との関係が、韓国海軍駆逐艦の海上自衛隊P1哨戒機へのレーダー照射問題で最悪の状況に陥っている。ここのところ徴用工問題や慰安婦財団の解散など、立て続けに日韓関係にマイナスの出来事が起きてはいたが、特にレーダー照射問題は日韓軍事衝突につながりかねない危険な動きだった。防衛省は、レーダー照射について意図的なものではなかったと否定する韓国に抗議するために、現場で撮影した映像を公開したが。韓国国防省は日本が映像を公開したことに遺憾の意を表明した上で「一方的な内容を盛り込んだ映像で、射撃管制用レーダーが照射されたという客観的な証拠になっていない」と反論、日本の主張と韓国の主張は真っ向から食い違っている。
(韓国の信用失墜は決定的・日本の次の手は)
北朝鮮の非核化が進まない中、文政権は北朝鮮との関係を推し進め、米国の反対を押し切り、既に南北間の鉄道・道路を連結する事業の着工式にまでこぎつけている。このまま南北関係を放置すれば南北が連携して日本に対し数々の要求を突き付けてくる日本対南北という構図が鮮明になってくるかもしれない。なにより不気味な動きは文大統領自体が、北朝鮮にも反日姿勢をたきつけて3月1日の独立運動100周年記念行事を南北共同で開催しようとしていることである。日本としては南北の東京五輪ボイコットなどあらゆるシナリオを想定し毅然とした対応を取っていく必要がある。
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韓国・文在寅大統領・日本との関係悪化を望まない(12月3日)
G20サミットに出席した韓国・文在寅大統領は、アルゼンチンから次の外遊先に向かう特別機の中で1日、韓国メディアと懇談した。この中で文大統領は日本との関係について、「歴史問題によって韓国、日本の間で未来志向的に発展させるべき協力関係が損なわれてはならない」にと述べ、太平洋戦争中の徴用を巡る裁判や慰安婦問題による関係の悪化を望まない考えを示した。
文大統領が日韓関係について言及するのは徴用を巡る裁判でことし10月に韓国の最高裁判所が日本企業に賠償を命じてから初めて。...
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G20サミットに出席した韓国・文在寅大統領は、アルゼンチンから次の外遊先に向かう特別機の中で1日、韓国メディアと懇談した。この中で文大統領は日本との関係について、「歴史問題によって韓国、日本の間で未来志向的に発展させるべき協力関係が損なわれてはならない」にと述べ、太平洋戦争中の徴用を巡る裁判や慰安婦問題による関係の悪化を望まない考えを示した。
文大統領が日韓関係について言及するのは徴用を巡る裁判でことし10月に韓国の最高裁判所が日本企業に賠償を命じてから初めて。またアルゼンチンで米国・トランプ大統領と首脳会談を行った際、北朝鮮・金正恩朝鮮労働党委員長へのメッセージを託されたことも明らかにした。
この中身について文大統領は、「トランプ大統領から金委員長が好きだ。残るすべての合意を履行することを期待する。金委員長の望みは私が成し遂げる」というメッセージを伝えてほしいと要請されたと述べ、韓国政府が年内に実現したいとしている金委員長のソウル訪問をトランプ大統領も支持していると強調した。
文大統領が徴用を巡る裁判の判決が確定してから初めて日本との関係に言及したことについて、菅官房長官は「政府としてコメントすることは控えたい。日韓関係は非常に厳しい状況にあるが、旧朝鮮半島出身労働者問題にかかる(韓国の)大法院判決や慰安婦問題など様々な問題について、一貫した立場に基づき、韓国側に適切な対応を求めていきたい」と述べた。
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外国人労働者受け入れ問題で岐路に立つ日本(12月1日)
(外国人労働者受け入れ問題で岐路に立つ日本)
安倍政権が今国会の最重要法案と位置づけている出入国管理法改正案は、衆議院を通過し、論戦の舞台は参議院に移った。政府与党は今国会中の通過を目指しているが、審議時間が少なすぎるとして野党からは猛批判を浴びている。しかし今、日本も世界も大きく変わり、外国人労働者の受け入れなしでは経済が立ち行かなくなっている状況にある。現在、政府は約60万人の労働者が足りないとしている。...
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(外国人労働者受け入れ問題で岐路に立つ日本)
安倍政権が今国会の最重要法案と位置づけている出入国管理法改正案は、衆議院を通過し、論戦の舞台は参議院に移った。政府与党は今国会中の通過を目指しているが、審議時間が少なすぎるとして野党からは猛批判を浴びている。しかし今、日本も世界も大きく変わり、外国人労働者の受け入れなしでは経済が立ち行かなくなっている状況にある。現在、政府は約60万人の労働者が足りないとしている。外国人労働者受け入れをめぐり、日本が岐路に立たされていることだけは確かなようだ。
(労働者が足りない・日本の近代化が遅れている)
これは素朴な疑問であるが、日本の人口の半分である英国は6600万人でも十分に国家がまわっていけているのに、なぜ日本では60万人もの労働者が足りなくなるのであろうか。結論から言えば、実は日本は人が足りないのではなく、日本の古い産業構造に縛られて近代化が遅れていることがその要因とも考えられる。これまで人を安く使うことができていた日本は、この古い産業システムを維持し続けることによって、最低賃金を大幅に変えることなしに少子高齢化によって足りなくなる労働者を外国人労働者で賄おうとしている。結果としてIT化も大して進まないと言う悪循環が続くことになる。また介護業界は、これまでの制度を維持し、介護保険料を大幅に上げずに賃金を抑えてきたという経緯がある。更に、建設業界では大手とその下請け、孫請け企業が事業を存続させるために、広く薄く利益を分け合うという前近代的システムによって賃金が低く抑え込まれてきた。こうした古い産業システムには大ナタを振るう必要があるだろうが、日本はそういう部分で立ち遅れてきてしまった。問題は既存の産業構造から要請される低水準の労働条件ではもはや人が集まらなくなってきているということである。日本が今後も発展して行くためには、この辺で大きな改革が必要になることは、多くの日本人が認識している。
(日本の国際化が遅れている)
アジアでは中国の影響力が増しているので、日本が魅力的な受け入れ先にならないと今後、高度な人材が日本に寄り付かなくなる可能性もある。EPA(経済連携協定)で入ってくる介護士などでは優秀な人ほど8~10年間経つと日本にずっと居られるようになるにも関わらず自国に帰ってしまうのだという。先進国としてもアジアのその他の国と比べても日本は国際化が遅れているようだ。今後、日本としてできることは移民政策で高い評価を受けているオーストラリアのように最終的には在留資格が永住権などの他の資格に代っていくようなチェックポイント方式を採用するのもひとつの方法だと考える。この他、送り出し機関というブローカーが実費以上の金を取り、来日する労働者が借金漬けになっているという問題がある。暗躍するブローカーを排除せず、野放しにしているのは受入国としてはとんでもないことである。例えば韓国は国と国が協定を結び、ブローカーが一切関与できない形でやっているが、日本はブローカーの規制を相手国にかけてブローカーを排除してやっていくべきだろう。
(日本における労働観の変革が急務)
今の日本では市場経済化が進行し、働くことと経済が分かち難く結びついてきている。従来の日本のようなシンプルな生活は難しくなってきているのかもしれない。一方で、日本の女性は仕事をやめて子供や家事に専念するという選択をしがちであるが、それは日本社会に働くことによる喜びが少なすぎるからで、こうしたことは長期的に考えると日本を不幸にしかねないという可能性がある。最低賃金を引き上げ、女性にもっと付加価値のある仕事に従事してもらうことで労働市場を活性化させていくべきだろう。日本は労働力が非常に安いので逆に無駄が多いことも事実である。外国人労働者を入れるのであれば、一方で最低賃金を上げ、あらゆる合理的な工夫をした上でのことではないか。もう一度これからの「日本の在り方」を良く考える機会がやってきたとも言える。
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激動する世界の思惑(11月24日)
(北極海航路をめぐる中国、ロシアの思惑)
世界にあるそれぞれの国はより自国に有利になるように思惑をめぐらしながら日々動きを進めている。例えば、中国は北極圏沿岸国でないにも関わらず、アイスランドやフィンランドなど北欧5か国と北極圏の科学研究協力をめぐって次々と合意を成立させている。この背景には温暖化現象で氷が解けた北極圏航路を確保することによって、エネルギーや貨物の輸送日数を短縮したり、資源確保や安全保障面を自国に有利に展開させていきたいという中国の思惑がある。...
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(北極海航路をめぐる中国、ロシアの思惑)
世界にあるそれぞれの国はより自国に有利になるように思惑をめぐらしながら日々動きを進めている。例えば、中国は北極圏沿岸国でないにも関わらず、アイスランドやフィンランドなど北欧5か国と北極圏の科学研究協力をめぐって次々と合意を成立させている。この背景には温暖化現象で氷が解けた北極圏航路を確保することによって、エネルギーや貨物の輸送日数を短縮したり、資源確保や安全保障面を自国に有利に展開させていきたいという中国の思惑がある。スエズ運河ルートとそれよりさらに短い航路である北極海ルートを合わせて使うことによってユーラシア大陸を円を描くように取り囲むことができる。この北極海航路では日本の北方領土周辺も通り道となっており重要なポジションを担っている。北極海を自国の影響圏とみなしているロシアにとっては、同地域で中国の影響力が強まることをかなり警戒しており、北方領土問題を梃子に日本との関係修復を図ることで中国をけん制するとともに中国の北極海航路開拓に縛りをかけていきたい側面も感じられる。日本も自らの置かれている現状をよく踏まえ、各国の思惑を推しはかりながらよく考えられた行動が求められる時代になってきている。そういう意味で今、日本外交に求められているのはまさに地球規模の戦略なのかもしれない。
(カルロスゴーン解任劇と日仏政府の思惑)
また、カルロスゴーン解任をめぐる、これから展開される日産とルノーの駆け引きや更にその背後にある、ルノーの筆頭株主であるフランス政府の日産自動車を傘下におさめたい思惑に関して、マクロン大統領はゴーンの任期延長と引き換えに日産自動車を傘下に収めるよう指令を出していたと言われていることも併せて考える必要がある。自動車販売台数や利益は日産自動車がルノーを上回るにも関わらず、株保有率はルノーが日産自動車を上回り、日産の議決権の半分以上をルノーが抑えていた状況であり、経営統合は差し迫っていた。ルノーを経由したフランス政府による日産の合併圧力に警戒心を強めていた日産自動車・西川廣人社長は6月から解禁となった司法取引をうまく援用しゴーンを追い落とすことで今のところ日産をルノーから守ることを可能としている。今後もこうした高度な動きを積極的に外交にも取り入れていくことで日本のプレゼンスを世界に発揮する事を期待したい。
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激変する日本を取り巻く環境(6月23日)
(同盟の本質が劇的に変化)
トランプ大統領の登場によって日本を取り巻く環境が今後、激変しそうだ。6月12日の米朝首脳会談は世界と日本にとって、大きな衝撃を与えたと後世で評価されるような会談だった。この会談で同盟の本質が劇的に変化したと言っても過言ではない。これまでのG7などの自由主義陣営は価値観に基づいた同盟だったが、今後は取り引きに基づく同盟に変化していくとみられる。今回、そんな傾向が見てとれたのは、米朝会談後に行われたトランプ氏の会見で、「とてつもない金がかかる」との理由で「米韓合同軍事演習の中止」を突然表明し、「燃料費が非常に高い」という理由で「グアム駐留のB52戦略爆撃機の飛行に強い不満を表明」した。...
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(同盟の本質が劇的に変化)
トランプ大統領の登場によって日本を取り巻く環境が今後、激変しそうだ。6月12日の米朝首脳会談は世界と日本にとって、大きな衝撃を与えたと後世で評価されるような会談だった。この会談で同盟の本質が劇的に変化したと言っても過言ではない。これまでのG7などの自由主義陣営は価値観に基づいた同盟だったが、今後は取り引きに基づく同盟に変化していくとみられる。今回、そんな傾向が見てとれたのは、米朝会談後に行われたトランプ氏の会見で、「とてつもない金がかかる」との理由で「米韓合同軍事演習の中止」を突然表明し、「燃料費が非常に高い」という理由で「グアム駐留のB52戦略爆撃機の飛行に強い不満を表明」した。さらに驚いたことには、韓国、中国のど真ん中にある北朝鮮はもっと観光に力を入れるべきだ」として「ミサイル基地のあるウォンサンを観光開発した方が良い」という発言であった。
(東アジア全体が戦後最大の危機に)
この会見は日本にとっても衝撃的な内容だった。戦後、日米同盟が平和・安全・繁栄・独立を支えてきたが、これを変えうる可能性についてもトランプ氏は言及した。具体的には在韓米軍の将来の撤退についてであり、今のところは削減しないが、再選されれば、6年半の任期中に在韓米軍の縮小・削減に踏み切ることが予測される。仮に在韓米軍が朝鮮半島から撤退すれば、日本を含む東アジア全体は戦後最大の危機に直面することになり、ここを突破口にして北朝鮮・金正恩委員長が朝鮮半島の再統一に向けて駒を進めてくる可能性がある。さらに中国の影響力が格段に上がる一方で、米国の影響力は下がってくることも予想される。北緯38度線の防衛ラインは釜山と対馬を結ぶ海峡に下りてくる。戦後日本の安全保障・外交のあらゆる戦略と政策を見直さないと、日本の立場は危うくなる可能性がある。日本としては段階的に防衛力を増強していく可能性も出てきている。今年に入ってからも安倍総理はイージスアショアやステルス戦闘機など8000億円~1兆円に相当する武器を米国から購入する予定にしているが、米国は軍事産業も重要な産業であり、日本は将来的にも米国から大量の兵器を購入していくことになるだろう。こうした日本の将来の図式を念頭に置いた戦略の再構築を急がなければならない状況にある。
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