5/12~6/12
6月12日にシンガポールで行われる米朝首脳会談まで残すところあと1か月となった。それまでに様々な国際会議、首脳会談が控えている。どんなものがあるか見ていく。
中東のエルサレムをイスラエルの首都と認定した、米国トランプ政権は14日、イスラエル建国70年に合わせ、大使館をエルサレムに移転する。これに対しパレスチナは抗議デモを呼びかけており、イスラエル軍と激しい衝突が起きることも予想される。大使館移転は、エルサレムにある総領事館を大使館に格上げする形で行われる。...
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6月12日にシンガポールで行われる米朝首脳会談まで残すところあと1か月となった。それまでに様々な国際会議、首脳会談が控えている。どんなものがあるか見ていく。
中東のエルサレムをイスラエルの首都と認定した、米国トランプ政権は14日、イスラエル建国70年に合わせ、大使館をエルサレムに移転する。これに対しパレスチナは抗議デモを呼びかけており、イスラエル軍と激しい衝突が起きることも予想される。大使館移転は、エルサレムにある総領事館を大使館に格上げする形で行われる。記念式典には、トランプ大統領の娘のイバンカや娘婿のクシュナー上級顧問、それにムニューシン財務長官が出席予定である。ただ、エルサレムは、パレスチナ側も将来樹立する国家の首都と位置づけていて、その帰属は米国が仲介する交渉で決定する。このためトランプ政権の対応にパレスチナ側は失望するとともに反発を強めて各地で抗議デモを続けている。イスラエルの建国にともなって故郷を追われたパレスチナの人たちにとっては難民となってから70年という節目にあたり抗議デモが拡大してイスラエル軍と激しい衝突が起きることも予想される。
5月22日(火曜日)米韓首脳会談が行われる。米朝和解を進めたいトランプ大統領に対して、南北和解を進めたい韓国の文大統領。両国の綱引きが注目される会談となるだろう。
5月25日(金曜日)、安倍首相は、ロシア・サンクトペテルブルクで行われる経済フォーラムにプーチン大統領やマクロン仏大統領とともに参加し、そのまま26日(土曜日)にモスクワに移動し、プーチン大統領との日ロ首脳会談を行う。この会談で安倍首相は日本人拉致問題の重要性をロシア側に改めて説明し、理解を求めるものとみられる。また米国や日本が提唱するCVID(※1)にプーチン大統領がどのように反応するのかも見ものである。米国は当初、北朝鮮に対しPVID(※2)を要求していたが、CVIDに要求のハードルを下げた経緯がある。
6月1日(金曜日)から3日までシンガポールでアジア地域の課題や防衛協力などを話し合うIISSアジア安全保障会議「シャングリラ対話」が行われる。この会議には日本や米国、韓国、中国も参加し、しばしば南シナ海などをめぐり、米国・日本と中国が対立することが多い会議だ。米朝首脳会談を控え、北朝鮮問題がメインに話し合われることになるが各国の微妙な温度差が気になるところだ。
翌週は6月8日(金曜日)から9日までカナダ・シャルルボワでG7・主要7か国首脳サミットが開かれる。米朝首脳会談を目前に控えたトランプ大統領は、米朝会談の意義を説明し、CVIDの重要性について主要国の理解と支持を集め、共同声明に盛り込まれるかもしれない。ただ、イラン核協定を抜けた米国とドイツ・フランス・英国との関係は微妙なものとなっており、その橋渡し役を安倍首相が引き受ける部分も出てくるかもしれない。安倍首相は各国首脳に対し、拉致問題についての理解を求めるものとみられる。
(※1)CVIDとは「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」を意味している。
(※2)PVIDは「大量破壊兵器開発計画の恒久的かつ検証可能で不可逆的な廃棄」を意味しCVIDが核兵器だけにしぼっているのに対し、PVIDは生物・化学兵器を含む全ての大量破壊兵器をカバーしている点が異なる。言葉として使われ始めるようになったのはPVIDの方が後。
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5/6~5/12
5月末から6月頭にかけて行われるとみられる米朝首脳会談に向け、動きが目まぐるしくなってきている。中国・王毅外相が北朝鮮を訪問し、5月2日(水曜日)に韓国が北朝鮮向け宣伝放送のスピーカーを取り外し、北朝鮮は韓国と時差を同一時間に戻すことを決定した。中国・王毅外相は訪朝し李容浩外相に会い、翌3日(木曜日)には金正恩委員長と会ったという。3者ではなく4者会談にするよう圧力をかけにいったのではないかとの予測もある。...
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5月末から6月頭にかけて行われるとみられる米朝首脳会談に向け、動きが目まぐるしくなってきている。中国・王毅外相が北朝鮮を訪問し、5月2日(水曜日)に韓国が北朝鮮向け宣伝放送のスピーカーを取り外し、北朝鮮は韓国と時差を同一時間に戻すことを決定した。中国・王毅外相は訪朝し李容浩外相に会い、翌3日(木曜日)には金正恩委員長と会ったという。3者ではなく4者会談にするよう圧力をかけにいったのではないかとの予測もある。5月4日(金曜日)安倍首相と習近平国家主席による初めての日中首脳電話会談が行われ南北首脳会談での「板門店宣言」を評価することで一致した。また「日中関係を次なる段階に引き上げること」でも一致した。スポーツでも南北融和の動きがみられた。スウェーデンで行われている卓球世界選手権で、急遽結成された南北合同チームが銅メダルを獲得した。この日、イチローがマリナーズの球団特別アドバイザーに就任し、今季の残りの試合に出場しない事が発表された。また、スウェーデンアカデミーはセクハラや情報漏洩などが発覚しアカデミーの信頼が失墜したとの理由で、今年のノーベル文学賞の発表を見送り、来年まとめて発表すると発表した。それでは、7日以降の動きを予測してみる。
5月7日(月曜日)モスクワでプーチン大統領の就任式が行われる。南北問題では存在感をなかなか発揮できていないロシアだが、プーチン大統領が南北関係に絡んでどのような発言をするのかが注目される。
5月9日(水曜日)に東京で日中韓サミットが行われる。中国からは李克強首相、韓国から文大統領が参加する。3者会談との文言をめぐって北朝鮮との関係がやや微妙になっている中国はここのところ日本に急接近している。日韓関係も改善の兆しを見せている。文大統領が安倍首相に北朝鮮との間の橋渡しをしてもいいと申し出たり、ソウルの日本大使館前では徴用工の像設置を阻止するなど、経済や米朝首脳会談からみで建設的な議論が期待できる。
5月10日(木曜日)韓国・文大統領就任から1年の演説を行う。公約だった南北融和の実現について語る歴史的会見になるとみられる。
12日(土曜日)は米国・イラン核合意離脱の是非の判断期限となる。合意を守ろうと英国、ドイツ、フランスはギリギリまでトランプ大統領の説得にあたっているが、トランプ大統領がイラン核合意を維持するかどうかは不透明。中東の核開発ドミノのリスクを抑えているこの合意が崩壊すれば地域の緊張が一気に高まることにつながりかねない。
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4/29~5/5
24日(火曜日)38ノースが北朝鮮の核実験場の廃棄に向けた動きが確認できると発表した。同日、北朝鮮・金正恩委員長は中国人観光客36人が死亡した事故を受けて平壌の中国大使館を訪問し哀悼の意を表したが、これは中国を意識した行動ともいえそうだ。又、25日(水曜日)にはハリス前太平洋軍司令官が韓国大使に検討されていると報道された。27日(金曜日)は11年ぶりに行われた南北首脳会談で韓国・文大統領と韓国に初めて足を踏み入れた北朝鮮・金委員長が「一切の敵対行為を全面的に中止する」などと書かれた「板門店宣言」を発表し、世界の注目を集めた。...
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24日(火曜日)38ノースが北朝鮮の核実験場の廃棄に向けた動きが確認できると発表した。同日、北朝鮮・金正恩委員長は中国人観光客36人が死亡した事故を受けて平壌の中国大使館を訪問し哀悼の意を表したが、これは中国を意識した行動ともいえそうだ。又、25日(水曜日)にはハリス前太平洋軍司令官が韓国大使に検討されていると報道された。27日(金曜日)は11年ぶりに行われた南北首脳会談で韓国・文大統領と韓国に初めて足を踏み入れた北朝鮮・金委員長が「一切の敵対行為を全面的に中止する」などと書かれた「板門店宣言」を発表し、世界の注目を集めた。そしてこの模様は世界に同時生中継された。また金融・経済面ではこの日、日銀は大規模な金融緩和の継続を決定し、これまで2019年頃としてきた2%の物価目標から達成時期を削除した。
27日の南北会談を経て、いよいよ6月の歴史的な米朝会談に向けて様々な思惑が交錯することになるが、その具体的な開催地や日時、会談内容などをめぐる動きが出てくることも、予想される。更に融和姿勢を見せる北朝鮮に対し、必要以上に譲歩する国際的な動きが表面化する可能性もあるかもしれない。このところ北朝鮮に急接近している中国の動きが気がかりである。
4月29日(日曜日)から5月3日(木曜日)まで安倍首相は中東(アラブ首長国連邦、ヨルダン、イスラエル、パレスチナ)を歴訪する。当初、安倍総理は親日国イランへの訪問も検討していたが、イランがシリア・アサド政権を支援しているとされているため、今回は見送った。米国・トランプ政権の思惑にも配慮したものとみられる。エネルギー安全保障の観点から中東を重視している安倍首相だが、今回の中東歴訪の背景には経済、安全保障、最先端技術など多岐にわたる分野で中東諸国と重層的な関係強化を図り、日本のプレゼンスを上げたい考えが背景にある。又、シリアやイランへの対応を安倍首相が問われる可能性もある。
5月1日(火曜日)から2日(水曜日)にかけて米国でFOMCが開催される。今回は金融政策の据え置きが予想され、声明文で6月の利上げに向けた地ならしがどのように表現されているかに注目が集まっている。この日はEU及び韓国など6カ国の鉄鋼とアルミニウム輸入制限の除外最終日となり、その行方にも大きな注目が集まる。
3日(木曜日)には米国・ムニューシン財務長官とライトハイザーUSTR代表が訪中する。米国は中国が知的財産権侵害や貿易不均衡の是正につながる対応策を示せば、制裁措置の発動を見送る考えも示しているが、両国の対立点が多く、協議は難航するとみられている。
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国内外に大きな動きが予測される 4/23~4/29
18日はセクハラ問題で批判の渦中にあった財務省・福田事務次官が辞任し、安倍首相が訪米で不在の中、安倍政権に激震が走った。辞任した今も福田氏はセクハラ行為があったこと自体を完全否定し、徹底抗戦の構えで、この騒動は未だ収まる気配がない。日を追うごとに麻生副総理の辞任を求める声も強まってきている。
一方、加計学園問題に絡み、柳瀬唯夫元首相秘書官の参考人招致をめぐって21日、自民、公明両党が月曜日に行われる予定だった参考人招致を見送ることを決定した。...
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18日はセクハラ問題で批判の渦中にあった財務省・福田事務次官が辞任し、安倍首相が訪米で不在の中、安倍政権に激震が走った。辞任した今も福田氏はセクハラ行為があったこと自体を完全否定し、徹底抗戦の構えで、この騒動は未だ収まる気配がない。日を追うごとに麻生副総理の辞任を求める声も強まってきている。
一方、加計学園問題に絡み、柳瀬唯夫元首相秘書官の参考人招致をめぐって21日、自民、公明両党が月曜日に行われる予定だった参考人招致を見送ることを決定した。野党が欠席する中で招致を強行した場合、政権へのダメージを今以上に与える可能性があるためだ。
こうしたことを踏まえゴールデンウィークを目前に控えた来週はどのような動きになるのか、予想していきたい。
22日の週は安倍内閣に試練となる重要な週となるかもしれない。
佐川国税庁長官の辞任、財務省・福田事務次官のセクハラ行為での辞任により、財務省の2つの大きなポストが空席となり、セクハラ騒動も広がりを見せ始めている。国会は空転し、麻生財務大臣の任命責任が厳しく問われている。政府与党も何らかの決断をしなければならないかもしれない。
27日(金曜日)は板門店平和の家で歴史的な南北首脳会談が行われる。韓国に初めて北朝鮮・金正恩党委員長が足を踏み入れる瞬間は全世界に生中継される。おそらく文大統領と握手、またはハグをする瞬間が世界中の人たちが目にする瞬間となることだろう。米朝首脳会談も含めこの1か月で今後の世界の行方を左右する大きな国際政治イベントになるかもしれない。
この日、国内では1月-3月期の実質GDPの速報値が発表される。悪天候や、例年よりも所得税還付が遅れたことなどにより消費は弱めであり、前期と比べると鈍化する可能性が高い。
さらに26日(木曜日)から27日(金曜日)にかけて日銀金融政策決定会合が開催され、経済・物価情勢の展望(展望レポート)が公表される。円高が進み、先行きの物価に下押し圧力がかかる可能性がある中、消費者物価の予想が下方修正されるのかどうかに注目が集まっている。今回の会合では積極的な金融緩和論者である若田部副総裁の見解が注目される。現状維持の姿勢を貫き、金融緩和は継続するとともに、物価目標の達成時期が先送りされる可能性は高い。
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4/16~4/22
今週は強権化を進める中国の動きやトランプ大統領のシリア攻撃の決断に注目が集まった。
12日、南シナ海で中国史上最大規模の観艦式が行われ、中国初の空母「遼寧」を含む48隻の艦艇や76機の航空機、約1万人の将兵が参加した。また同日、人民解放軍は実弾射撃演習を行うためとの理由で台湾海峡で同海峡の一部を航行禁止にした。
これに対し13日、台湾軍も軍事演習を行い、海上作戦を空軍や陸上の部隊とも連携して行えることをアピールした。...
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今週は強権化を進める中国の動きやトランプ大統領のシリア攻撃の決断に注目が集まった。
12日、南シナ海で中国史上最大規模の観艦式が行われ、中国初の空母「遼寧」を含む48隻の艦艇や76機の航空機、約1万人の将兵が参加した。また同日、人民解放軍は実弾射撃演習を行うためとの理由で台湾海峡で同海峡の一部を航行禁止にした。
これに対し13日、台湾軍も軍事演習を行い、海上作戦を空軍や陸上の部隊とも連携して行えることをアピールした。
14日、トランプ大統領がアサド政権が化学兵器を使用した疑いがあるとの理由で英仏と共同でシリアの化学兵器関連施設などを爆撃した。来週はこれらの動きを受けてより世界情勢が流動化するとみられる。
それでは来週の動きを予測してみる。
16日(月曜日)、加計学園問題にからみ野党が要求していた元首相秘書官・柳瀬氏の証人喚問と、衆院予算委員会での集中審議の開催について自民党が回答する。米国で行われる日米首脳会談で柳瀬氏は安倍首相に同行する予定になっているが、このタイミングでの訪米は下手をすれば内閣の支持率低下にもつながりかねず、政府としてはシリア問題や北東アジア情勢など問題が山積する中で、一連の政府不祥事問題を一刻も早く処理したいと焦りの色を濃くしている。
17日(火曜日)、18日(水曜日)フロリダ州マールアラーゴのトランプ大統領の別荘でゴルフ会談も交えながら日米首脳会談が行われる。米ロの本格的な対立にもつながりかねないシリア問題を中心に台湾海峡で中国の軍事演習、北朝鮮問題、経済摩擦問題、TPP11などについて議論がかわされそうだ。安倍首相はアルミ・鉄鋼輸入制限の対象国から日本をはずすことや米朝首脳会談での議題に拉致問題をいれてもらうことなどを要請するとみられるが、一方のトランプ大統領はFTAやTPPで自国が有利な形で日本と絡みたい思惑もあり、決して友好ムード一辺倒というわけにはいかなそうだ。
18日(水曜日)台湾海峡で中国の軍事演習が行われる。実弾射撃を伴う訓練でこれにトランプ政権や台湾がどのような反応をするのかに注目が集まっている。
19日(木曜日)日ロ戦略対話(モスクワ)が行われる。シリア問題やスパイ暗殺未遂事件で国際社会のロシアへの風当たりが強まる中、日本がロシアとどう絡んでいくのか注目したい。
20日(金曜日)米国でマティス国防長官と小野寺防衛大臣による日米防衛相会談が行われる。シリアへの軍事攻撃や台湾海峡での中国の軍事演習などが議題となるとみられ、中国の強権的な動きに日米でどう対処していくかに注目が集まる。
22日(日曜日)カナダ・トロントで先進7カ国(G7)外相会合が(24日まで)開催される。先進7カ国の中で、日本のみがロシアとの外交的距離が近く、米英仏との対応が課題となりそうである。
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