バイデン政権の直近の対中姿勢(4月10日)
急激に勢力を拡大している中国に対し、バイデン政権は4つの圧力を加え中国の勢いを削ごうとしている。
1つ目はハイテクへの圧力である。バイデン政権は中国企業が「極超音速兵器」などのハイテク兵器開発に関与したとして、7つのスーパーコンピューター関連企業と団体をエンティティリストに加えた。対象となった組織は米国政府の許可なく米国企業から部品などを買えなくなる。こうしたエンティティリストへの追加はトランプ前政権を引き継いだ形であり、バイデン政権になってハイテクに対する規制が緩むと期待していた中国にとっては大きな打撃となった。...
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急激に勢力を拡大している中国に対し、バイデン政権は4つの圧力を加え中国の勢いを削ごうとしている。
1つ目はハイテクへの圧力である。バイデン政権は中国企業が「極超音速兵器」などのハイテク兵器開発に関与したとして、7つのスーパーコンピューター関連企業と団体をエンティティリストに加えた。対象となった組織は米国政府の許可なく米国企業から部品などを買えなくなる。こうしたエンティティリストへの追加はトランプ前政権を引き継いだ形であり、バイデン政権になってハイテクに対する規制が緩むと期待していた中国にとっては大きな打撃となった。
2つ目は人権問題での圧力である。米国務省は3月30日に「2020年世界各国の人権状況に関する報告書」を発表し、中国当局がウイグル族を大量虐殺したほか、他の少数民族に対する拘禁、拷問、強制断種、迫害などが行われているとして、中国を批判した。こうした流れを受けて4月6日、米国国務省のネッドプライス報道官が(その後取り消したが)、北京五輪ボイコットの可能性を示唆し、中国に対する大きな圧力となっている。新彊ウイグル自治区の人権侵害に対しては、EU、英国、カナダも米国に同調し、中国に行動変容を迫っている。
3つ目は台湾問題での圧力である。太平洋地域で影響力の拡大を図る中国にとって3月30日は忘れられない屈辱の日となった。太平洋島嶼国の要であるパラオの大統領が駐パラオ米国大使を帯同し、台湾・蔡英文総統を訪問したのである。中国は、2019年に太平洋地域での開発援助を拡大させ、台湾と国交を結んでいたソロモン諸島とキリバスに台湾との関係を断たせるなどして、太平洋島嶼国をまるごと親中国化する矢先の出来事であった。
4つ目は日本との関係である。バイデン政権はホワイトハウスで会談する最初の外国首脳に日本の菅総理を選んだ。これについても中国は相当ナーバスになっている。特に神経を尖らせているのは16日の日米首脳会談後の共同文書に「台湾海峡の平和と安定が欠かせない」との文言が入るかどうかということである。入った合には尖閣周辺海域などで中国が日本に対し、何らかの報復的な行動をとる可能性もある。
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米軍“駆逐艦が台湾海峡通過”(4月8日)
米国海軍第7艦隊は台湾周辺で活動を活発化させる中国軍の動向に警戒を強める中、海軍の駆逐艦・ジョンマケインがきのう台湾海峡を通過したことを発表した。
「自由で開かれたインド太平洋」への米国の貢献を示すための行動だとしている。また米国海軍は今月4日、空母・セオドアルーズベルトなどが南シナ海に入ったことも明らかにしている。
米国・国防総省・カービー報道官は、今後も国際法が許す範囲で海軍の艦艇を航行させる方針を示した。
台湾周辺では台湾の国防部が今月5日に「最近、中国の空母・遼寧の部隊が訓練を実施した」と発表したほか、きのうも「防空識別圏に中国軍の戦闘機などが進入した」と発表している。
半導体をめぐる米中覇権争い(4月3日)
米中対立の地政学リスクが半導体産業にも及んでいる。経済・軍事両面に影響を及ぼす戦略物資・半導体をめぐって米中の対立が次々と表面化してきている。
中国が承認しなかったために、米国の半導体製造装置メーカー「アプライドマテリアルズ」による日本企業「KOKUSAI ELECTRONICS」の買収は失敗に終わった。
一方、米国・マイクロンテクノロジーやウエスタンデジタルが日本のキオクシアホールディングス(旧東芝メモリホールディングス)買収の可能性について探り始めている。...
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米中対立の地政学リスクが半導体産業にも及んでいる。経済・軍事両面に影響を及ぼす戦略物資・半導体をめぐって米中の対立が次々と表面化してきている。
中国が承認しなかったために、米国の半導体製造装置メーカー「アプライドマテリアルズ」による日本企業「KOKUSAI ELECTRONICS」の買収は失敗に終わった。
一方、米国・マイクロンテクノロジーやウエスタンデジタルが日本のキオクシアホールディングス(旧東芝メモリホールディングス)買収の可能性について探り始めている。
先に半導体戦争を仕掛けたのは米国・トランプ前政権だった。米国から盗んだ先端技術がファーウェイに使用されているとの理由でファーウェイの力を削ぐために台湾・TSMCに輸出規制をかけ、ファーウェイ傘下のハイシリコンが設計した半導体に待ったをかけた。
実はTSMCのような最先端のナノ単位の半導体製造技術が中国にはない。これが中国のアキレス腱となっており、中国政府が資金を投下し起業させても工場停止や倒産が相次ぐなどしてなかなか中国の思うようにはいかない状態である。
2020年にトランプ政権がSMICに制裁をかけ、技術の高度化をできないようにしたことも大きく響いている。
トランプ政権はTSMCをアリゾナに誘致するなどし、ファーウェイからの引きはがしを図った。さらに米国の同盟国・日本もTSMCを招致することを決めた。
米国は日本を半導体のサプライチェーンにしようと目論んでいる模様である。日本にとってもTSMCと技術協力を進めることで半導体業界の復活というメリットがある。
中国は米国の規制がない次世代半導体に照準を合わせ、「第14次5カ年計画」にさりげなく次世代半導体を盛り込み、巻き返しを狙っているようだが、米国の対応がどうなるかが焦点となる。
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パラオ大統領が台湾を訪問・米大使も同行(3月29日)
太平洋の島国・パラオ共和国のウィップス大統領がきのう、台湾を公式訪問した。米国の大使も同行していて、「一つの中国」の原則を掲げる中国政府の反発が予想される。
パラオ共和国・ウィップス大統領の今回の訪問には、台湾との外交関係を重視する姿勢を内外に示す狙いがあり、駐パラオの米国大使も同行している。滞在中には台湾の蔡英文総統とも会談する予定である。
中国は「一つの中国」の原則から、台湾が他国と外交関係を結ぶことに反対し外交攻勢をかけていて、2019年にはソロモン諸島とキリバスが相次いで台湾と断交し、中国と国交を樹立している。...
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太平洋の島国・パラオ共和国のウィップス大統領がきのう、台湾を公式訪問した。米国の大使も同行していて、「一つの中国」の原則を掲げる中国政府の反発が予想される。
パラオ共和国・ウィップス大統領の今回の訪問には、台湾との外交関係を重視する姿勢を内外に示す狙いがあり、駐パラオの米国大使も同行している。滞在中には台湾の蔡英文総統とも会談する予定である。
中国は「一つの中国」の原則から、台湾が他国と外交関係を結ぶことに反対し外交攻勢をかけていて、2019年にはソロモン諸島とキリバスが相次いで台湾と断交し、中国と国交を樹立している。
現在、台湾と外交関係のある国はパラオを含め15か国となっている。パラオのウィップス大統領は到着後のスピーチで、「今回の訪問は米国の支援で実現した」「台湾との関係を深めていきたい」と述べている。
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中国による米国へのサイバーアタック(3月20日)
中国政府が支援するハッカー集団「ハフニウム」によるものとみられるマイクロソフトへのサイバー攻撃が拡大している。
1月にセキュリティー企業の研究者が発見し、マイクロソフトに報告していたもので、被害は少なくとも米国のサプライチェーン3万の組織や団体に及び、米国以外にも及んでいる可能性がある。
これまでに確認された被害者の中には一見関連のない銀行や電力供給者、老人ホーム、アイスクリーム会社なども含まれている。...
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中国政府が支援するハッカー集団「ハフニウム」によるものとみられるマイクロソフトへのサイバー攻撃が拡大している。
1月にセキュリティー企業の研究者が発見し、マイクロソフトに報告していたもので、被害は少なくとも米国のサプライチェーン3万の組織や団体に及び、米国以外にも及んでいる可能性がある。
これまでに確認された被害者の中には一見関連のない銀行や電力供給者、老人ホーム、アイスクリーム会社なども含まれている。
セキュリティホールを突いた「ハフニウム」による攻撃は3つのステップから成る。
まずパスワードを盗み出し、本人になりすまし、遠隔操作ができるような状態に機器をコントロールし、最終的にデータを盗み出すという流れである。複数ユーザーのメールボックスの全体を盗み出したとの報告も出ている。
こうしたハッカー攻撃をマイクロソフトが公表したのは8回目であり、これまでも米国大統領選挙を標的にしたケース、コロナ関連の保健組織を標的にしたケース、大規模な政策決定会合の参加者を標的にしたケースなどが確認されており、まるで中国政府がバイデン政権のデジタル対応能力を試しているようにも見える。
彼らは極めてスキルが高く何を求めているのかは明らかになっていないという。
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