先行き不透明な在日米軍駐留経費負担問題(10月24日)
在日米軍の来年度以降の日本側負担(思いやり予算)の交渉が11月にも始まる見通しである。今回は、トランプ大統領が日本に負担の大幅な増額を求めているとされることや、大統領選挙で交渉相手が代わる可能性がある点で異例の交渉となる。
トランプ大統領は在日米軍の日本側負担を現在の4倍にあたる80億ドル(日本円で約8400億円)に引き上げたい意向を持っており、これができない場合は米軍を日本から引き上げるとしている。...
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在日米軍の来年度以降の日本側負担(思いやり予算)の交渉が11月にも始まる見通しである。今回は、トランプ大統領が日本に負担の大幅な増額を求めているとされることや、大統領選挙で交渉相手が代わる可能性がある点で異例の交渉となる。
トランプ大統領は在日米軍の日本側負担を現在の4倍にあたる80億ドル(日本円で約8400億円)に引き上げたい意向を持っており、これができない場合は米軍を日本から引き上げるとしている。そうなると日本が安全保障上の危機に立たされることは間違いない。
日米地位協定では、米軍の維持に伴う全ての経費は米国側が負担するものと定められているが、日本は、1991年から米国の要求を受け入れる形で負担を増大させ、今年度は1933億円を支出した。米国からの安全保障上の貢献の要求に日本側が応じられない度に新しい負担項目が加わってきている。
米国が支出している日本への駐留経費の9割以上は米軍兵士の給与や作戦維持費で占められていて、その部分まで日本が負担すれことになれば、米軍兵士を日本政府が雇い入れるのと同じことになってしまう。
そもそも、日本が負担を上乗せする財政的余裕は、ほとんどないのが実情である。
政府は、財政状況が米国より厳しいこと、安全保障関連法の整備を受けて米軍の艦船や航空機などを警護する活動を行っていること、米国のインド太平洋戦略に貢献することを念頭に、自衛隊の艦船の活動範囲を南シナ海やインド洋にまで広げていくことを説明しつつ、駐留経費の負担を現状維持で合意したい考えである。
気になるのは米国大統領選挙の行方である。政府関係者の中には、同盟関係を重視する姿勢を示しているバイデン前副大統領が勝利すれば、4年前まで政権を担当していただけに大枠を変えることなく合意できるのではないかと楽観視する見方もある。
問題はトランプ大統領が再選された場合であり、この場合、政府関係者は、交渉の行方は全く読めないとしている。
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米国国防長官“同盟国は防衛費の増額を”(10月21日)
米国・エスパー国防長官は20日の講演で、NATO(北大西洋条約機構)の加盟国のうちGDP(国内総生産)の2%以上を国防予算に費やしている国が米国の働きかけによって5か国から9か国に増えたと強調した。
そのうえで、NATOに限らずすべての同盟国に「最低でもGDPの2%を防衛に投じることを期待している」と述べ、日本などの同盟国に防衛費の増額を求めた。
トランプ政権は同盟国に国防予算や米軍の駐留経費の増額を求めている。...
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米国・エスパー国防長官は20日の講演で、NATO(北大西洋条約機構)の加盟国のうちGDP(国内総生産)の2%以上を国防予算に費やしている国が米国の働きかけによって5か国から9か国に増えたと強調した。
そのうえで、NATOに限らずすべての同盟国に「最低でもGDPの2%を防衛に投じることを期待している」と述べ、日本などの同盟国に防衛費の増額を求めた。
トランプ政権は同盟国に国防予算や米軍の駐留経費の増額を求めている。
今月から日米両政府は在日米軍の駐留経費の来年度以降の日本側負担について実務者の協議を始め、来月の大統領選挙のあと交渉が本格化する見通しで、選挙の結果しだいでは交渉の行方に影響が出る可能性がある。
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中国の甘い罠にはまった日本(10月17日)
安い労働力を求めて日本企業が世界の工場と呼ばれた中国に進出してから30年が経つ。パナソニックやトヨタ自動車はサプライチェーンや工場をいくつも持ち、現在、中国でビジネス展開する企業は3万社を超える。
2019年の日本の貿易相手国(輸出入総額)は中国が1位で21.3%(2位の米国は15.4%)と、もはや日本にとって、中国とは経済において切っても切り離せない関係になっている。
ここに来て安全保障関連、ハイテク関連、香港・台湾・ウイグル問題など、様々なリスクが次々と表面化し、日本にとっては厳しい状況になってきている。...
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安い労働力を求めて日本企業が世界の工場と呼ばれた中国に進出してから30年が経つ。パナソニックやトヨタ自動車はサプライチェーンや工場をいくつも持ち、現在、中国でビジネス展開する企業は3万社を超える。
2019年の日本の貿易相手国(輸出入総額)は中国が1位で21.3%(2位の米国は15.4%)と、もはや日本にとって、中国とは経済において切っても切り離せない関係になっている。
ここに来て安全保障関連、ハイテク関連、香港・台湾・ウイグル問題など、様々なリスクが次々と表面化し、日本にとっては厳しい状況になってきている。あたかも中国の罠にはまってしまったかのように日本は中国から抜けようにも抜けられなくなってしまっている。
中国への関与政策をやめた米国からは「クリーンネットワーク」に加わるようプレッシャーに曝されているが、米国に中国との関係を断てと、突然言われても日本にとってはそう簡単に飲める話ではない状況である。
厳しい状況にある日本の立場を米国に丁寧に伝え、段階的に中国とのビジネス関係を希薄化し、東南アジア、豪州、インド、英国、EUなどとの関係を強化していく方向性を示し、米国の理解を得ていくしか、今のところ日本のとるべき方法は残っていない。
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米国の打ち出すクリーンネットワーク計画(10月17日)
米国・トランプ政権の提唱する「クリーンネットワーク計画」は事実上、米中の通信版デカップリングともいえる性格のもので、ファーウェイやZTEなどの通信機器排除を皮切りに通信ネットワークなど、データに関わるありとあらゆる局面で中国を一掃する計画である。
ターゲットになっているのはティックトックなどの「アプリ」、アリババなどに代表される「クラウド」、華為海洋などに代表される「海底ケーブル」、「通信会社」、「米国のアプリを中国のスマホに搭載させない」という5分野である。...
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米国・トランプ政権の提唱する「クリーンネットワーク計画」は事実上、米中の通信版デカップリングともいえる性格のもので、ファーウェイやZTEなどの通信機器排除を皮切りに通信ネットワークなど、データに関わるありとあらゆる局面で中国を一掃する計画である。
ターゲットになっているのはティックトックなどの「アプリ」、アリババなどに代表される「クラウド」、華為海洋などに代表される「海底ケーブル」、「通信会社」、「米国のアプリを中国のスマホに搭載させない」という5分野である。
「クリーンネットワーク計画」の動機となっているのは、ハイテク分野で力をつけた中国が、サービスを通じて米国や同盟国の情報を抜き取り、中国共産党に流しているのではないかという中国に対する根強い不信感である。専門家によれば中国の諜報活動はその多くが通信ネットワークで発生しているという。
米国は機密漏洩を防ぐためとの理由で、日本や韓国などの同盟国にクリーンネットワーク計画に対する協調を呼びかけている。10月6日、来日したポンペオ国務長官は茂木外相との外相会談で同計画に触れ、茂木外相もその場では協調姿勢を示したものの、交渉過程で日本側は「特定の国を排除する枠組みには参加できない」として計画への参加は現段階では難しいとする日本の立場を伝えたというが、この先米国がどのような動きをしてくるか、予断を許さない。
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日米・在日米軍“思いやり予算”実務者が事前協議(10月17日)
在日米国軍駐留経費の日本負担分、いわゆる“おもいやり予算”は日本政府が在日米軍基地で働く従業員の給与・光熱費の一部などを負担しているもので5年ごとに結ぶ「特別協定」が来年3月に期限を迎える。
こうした中、来年度以降の日本側負担をめぐり日米・外務・防衛当局の実務者がおとといからテレビ会議方式で事前協議を行った。
北朝鮮によるミサイル開発や中国の海洋進出など東アジアの安全保障環境が不安定化する中、アジア太平洋地域の平和と安定に向けた日米同盟の重要性を改めて確認し両国が担っている具体的な役割について認識の共有を図った。...
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在日米国軍駐留経費の日本負担分、いわゆる“おもいやり予算”は日本政府が在日米軍基地で働く従業員の給与・光熱費の一部などを負担しているもので5年ごとに結ぶ「特別協定」が来年3月に期限を迎える。
こうした中、来年度以降の日本側負担をめぐり日米・外務・防衛当局の実務者がおとといからテレビ会議方式で事前協議を行った。
北朝鮮によるミサイル開発や中国の海洋進出など東アジアの安全保障環境が不安定化する中、アジア太平洋地域の平和と安定に向けた日米同盟の重要性を改めて確認し両国が担っている具体的な役割について認識の共有を図った。
その中で日本側負担などをめぐる正式交渉に向けて引き続き日程・進め方を調整していくことを確認した。
両政府の交渉は来月の米国大統領選挙の結果を見極めながら本格化する見通しである。
日本政府は来年度予算案の編成作業などを考慮し12月上旬までの合意を目指して交渉を急ぎたい考えである。
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