7月15日付Globali「南シナ海仲裁裁定から1年、中国による裁定無効化が実現?-フィリピン・インドネシアの細やかな抵抗」の中で、“インドネシア政府は、南シナ海で自国の排他的経済水域(EEZ)と主張する海域を、新たに「北ナトゥーナ海(マレー半島東沖)」と命名した”と報じた。これまで中国との領有権争いに加わっていなかったインドネシアが新たな行動を起こした訳だが、8月1日付「習主席、中国固有の領土・領有権は“1ミリたりとも”譲らないと決意表明」どおり、東・南シナ海ほぼ全域での覇権を目論む中国との衝突は避けられないとみられる。
9月10日付
『ニューヨーク・タイムズ』紙:「インドネシア、中国との領有権争いに本格参戦」
インドネシアはこれまで数十年間、近隣のブルネイ・マレーシア・フィリピン・ベトナムと違って、南シナ海における中国との領有権争いに加わらないとの方針であった。
しかし、昨年、インドネシアのEEZ内であるナトゥーナ諸島(ボルネオ島北西)において、中国側漁船等と3度も小競り合いを起こした。その際、中国外交部(省に相当)は、インドネシアがEEZ内と主張するナトゥーナ諸島海域は、中国の領有権である九段線の中にある“伝統的な漁場”だとする声明を発表した。...
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9月10日付
『ニューヨーク・タイムズ』紙:「インドネシア、中国との領有権争いに本格参戦」
インドネシアはこれまで数十年間、近隣のブルネイ・マレーシア・フィリピン・ベトナムと違って、南シナ海における中国との領有権争いに加わらないとの方針であった。
しかし、昨年、インドネシアのEEZ内であるナトゥーナ諸島(ボルネオ島北西)において、中国側漁船等と3度も小競り合いを起こした。その際、中国外交部(省に相当)は、インドネシアがEEZ内と主張するナトゥーナ諸島海域は、中国の領有権である九段線の中にある“伝統的な漁場”だとする声明を発表した。
一方、ジョコ・ウィドド大統領は2014年10月に就任以来、インドネシアの海軍力増強に注力してきたこともあって、中国漁船含めて、インドネシアEEZ内違法操業船舶を数百隻拿捕する行動に出ている。なお、ジョコ大統領は2015年に訪日した際、中国主張の九段線は何ら国際法に基づいたものではないと主張していた。
そしてインドネシアの海事・漁業省は7月14日、2015年にシンガポールとフィリピンとの間で合意した領海を含め、ナトゥーナ諸島海域を北ナトゥーナ海とする公式地図を発表した。更にインドネシアは、ナトゥーナ諸島中心地のラナイの港湾増強計画を進めている。なお、ナトゥーナ諸島海域は、豊富な水産資源だけでなく、石油・天然ガスも賦存している。
また、9月12日付『ザ・ディプロマット』オンラインニュース:「米国・インドネシア両国が合同海上訓練実施」
米国とインドネシアは9月7日、第23回協力海上即応訓練(CARAT)を開始した。同訓練は9月17日まで続けられる。
CARATは1995年、ビル・クリントン大統領(第42代、1993~2001年)政権下で始められたが、イスラム過激派イスラミック・ステートの台頭や中国による南シナ海覇権問題から、両国間の連携が増々強化される一環となっている。
米国防総省によれば、CARAT 2017には300人以上の軍人、重巡洋艦“フォールリバー”、P-3C海上偵察機、第3海兵遠征軍(司令部は沖縄県うるま市)が参加するという。
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