7月19日付
『ロイター通信』、20日付シンガポール
『ザ・ストレーツ・タイムズ』紙は、シンガポール港沖で大型タンカー2隻の衝突事故が発生したと詳報している。
シンガポール港は、アジア最大の原油積揚げ港であると同時に世界最大のバンカーリング港(燃料補給)である。
同港では、今年に入ってからコンテナ船を含む多くの貨物船の異常滞船が発生している。
そうした中、先月の浚渫船とタンカー衝突事故に続いて、またしても7月19日早朝、大型タンカー2隻の衝突事故が発生した。...
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7月19日付
『ロイター通信』、20日付シンガポール
『ザ・ストレーツ・タイムズ』紙は、シンガポール港沖で大型タンカー2隻の衝突事故が発生したと詳報している。
シンガポール港は、アジア最大の原油積揚げ港であると同時に世界最大のバンカーリング港(燃料補給)である。
同港では、今年に入ってからコンテナ船を含む多くの貨物船の異常滞船が発生している。
そうした中、先月の浚渫船とタンカー衝突事故に続いて、またしても7月19日早朝、大型タンカー2隻の衝突事故が発生した。
シンガポール海事港湾庁(MPA、1996年設立)発表によると、衝突したのはシンガポール船籍“ハフニア・ナイル号(2017年建造)”とアフリカ大陸ギニア沖サントメ・プリンシペ船籍“ケレスI(2001年建造、船主は中国企業)”で、衝突場所はシンガポール領のペドラ・ブランカ島55キロメートル(34マイル)東沖の海上であるという。
また、前船の乗組員22人及び後船の40人のうちの14人は、MPA及びシンガポール海軍によって救出され、後船の26人は現在も本船消火に当たっているという。
前船は、総積載量7万4千トンで30万バレル(約4万7,700キロリットル)のナフサ(粗製ガソリン)を積載しており、後船は総積載量30万トンの超大型船だが積み荷は不詳である。
但し、“ケレスI”は、船舶追跡データによると今年3~4月にはイラン産原油を運送していた。
イラン産原油については、米国が昨年11月から強化した制裁下にあって、輸送に関わった船舶や関係企業が制裁対象になっている。
船舶追跡データを扱うLSEG(2007年設立)によると、“ケレスI”はイラン原油の他、同じく米国制裁対象となっているベネズエラ産原油をここ数年中国向けに輸送しているという。
更に、同社データでは、本船は7月11日以降、今回衝突したペドラ・ブランカ島沖に停泊したままとなっていた。
船舶情報全般データ提供会社ロイド・リスト・インテリジェンス(2017年設立、本拠英国)のミシェル・ワイズ・ボックマン首席アナリストは、“彼の地(ペドラ・ブランカ島沖)は、以前から米国制裁対象のイラン産原油を密かに輸送する船団が集まる場所と知られている”とした上で、“ケレスIは、イラン産原油をしばしば輸送していて、明らかに米国制裁破りをしていた”とコメントした。
また、同じく船舶追跡データを扱うKpler(2014年設立)のマット・スタンレー市場担当責任者も、“ケレスIは、イラン産原油を中国向けに輸送していることが分かっている”と追認している。
なお、船舶情報データ専門家情報によれば、米国の制裁対象となっているイラン・ベネズエラ産原油に加えて、欧米の制裁対象のロシア産原油を密かに輸送する闇の船団は850隻にも上るという。
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