7月8日付
『CNNニュース』は、オーバーツーリズムに嫌気したバルセロナ市民がデモの一環で訪問観光客に水鉄砲の実力行使に出ていると報じた。
スペイン南東端のバルセロナ市で7月6日、3千人近い市民によるオーバーツーリズム非難デモが繰り広げられた。
デモ隊の中には、訪問観光客に水鉄砲を浴びせ、“観光客は家に帰れ”とか“バルセロナはバーゲンセールの街ではない”等の横断幕を掲げて行進している。...
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7月8日付
『CNNニュース』は、オーバーツーリズムに嫌気したバルセロナ市民がデモの一環で訪問観光客に水鉄砲の実力行使に出ていると報じた。
スペイン南東端のバルセロナ市で7月6日、3千人近い市民によるオーバーツーリズム非難デモが繰り広げられた。
デモ隊の中には、訪問観光客に水鉄砲を浴びせ、“観光客は家に帰れ”とか“バルセロナはバーゲンセールの街ではない”等の横断幕を掲げて行進している。
主催したのは、100以上の地元グループで結成された「脱観光推進近隣住民団体(NATD)」である。
同市議会によると、2,800人余りが市中心街を練り歩いたという。
公式統計では、2023年に2,600万人もの旅行者が同市を宿泊訪問し、計127億5千万ユーロ(138億ドル、約2兆2,080億円)もお金を落としているという。
しかし、NATDは、オーバーツーリズムによって物価が高騰し、公共サービスが圧迫される一方で、観光産業の収益は一部によって享受されているだけで社会的不平等が拡大していると主張している。
この動きに対して、ジャウメ・コルボーニ市長(54歳、2023年就任)は6月下旬、市中アパート賃料上昇抑制策の一環で、短期賃貸が許容されている1万101棟のアパートについて、2028年11月までにその許可を廃止すると宣言している。
その上で同市長は7月6日、オーバーツーリズム問題対応のために同市訪問客への観光税を4ユーロ(4.3ドル、約690円)に上げることや、クルーズ船による訪問客数を制限する等の施策を改めて強調した。
これに対して市民団体は、同市長の施策は冗長で効果が薄いだけでなく、以下の政策は反ってオーバーツーリズムを助長するだけだとして非難している。
・5月に、世界的ファッションブランドのルイ・ヴィトン(1854年設立)のファッションショーを、スペイン著名建築家アントニ・ガウディ(1852~1926年)作品群のひとつであるグエル公園(世界遺産)で開催することを許可。
・8から10月にかけて開催の、国際ヨットレースである第37回アメリカズカップ(1851年開始)を誘致。
なお、バルセロナで高まる不満は、スペインの他観光地でも同様で、カナリア諸島(アフリカ大陸北西沿岸)では今年4月、オーバーツーリズムによる地元物価高騰や環境破壊に抗議して大規模デモが起こっている。
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