7月7日付英
『Global NEWS』:「大気汚染で体外授精成功率が約40%減少との研究」:
最新研究によると、大気状態の良好な地域においても、大気汚染の原因微粒子が、不妊治療に影響を及ぼすことが分かった。
「欧州ヒト生殖医学会」が7日に発表したオーストラリアの研究によると、体外受精前の採卵に至る段階での汚染状況により、出生成功確率は40%ほど下がるのだという。
研究の筆頭著者であるセバスチャン・レザーシック博士は、「気候変動と汚染は、人類の健康にとって最大の脅威であり、人のリプロダクションはこれに影響を受けないとはいえない。...
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7月7日付英
『Global NEWS』:「大気汚染で体外授精成功率が約40%減少との研究」:
最新研究によると、大気状態の良好な地域においても、大気汚染の原因微粒子が、不妊治療に影響を及ぼすことが分かった。
「欧州ヒト生殖医学会」が7日に発表したオーストラリアの研究によると、体外受精前の採卵に至る段階での汚染状況により、出生成功確率は40%ほど下がるのだという。
研究の筆頭著者であるセバスチャン・レザーシック博士は、「気候変動と汚染は、人類の健康にとって最大の脅威であり、人のリプロダクションはこれに影響を受けないとはいえない。卵子移植の時期の汚染レベルに関係なく、採卵前の数週間や数ヶ月での汚染粒子(PM2.5やPM10)への暴露が、出生率低下に関連があることが確認された」としている。
2022年のWHO報告書によると、健康に対する大きな環境リスクの一つである室外の大気汚染で、世界で年間400万人が死亡していると推計されている。また、カナダ保健省の調べでは、カナダ国内で年に15万3千人が大気汚染が原因で死亡、更に多くが喘息や急性呼吸器症候群に苦しんでいるという。
大気汚染と不妊治療についての研究はこれまで殆ど行われてこなかった。今回の研究が初の研究となった。レザーシック博士は、「不妊治療でより多くの女性が凍結卵子移植を行っていることから、採卵後の数ヶ月から数年経た卵子が使用される現状をふまえ、採卵時期の汚染レベルと移植時の汚染レベルに注目した」とする。
また、「(汚染を)完全に避けることが不可能なら、不妊治療中の人は、汚染レベルが高い日には室内に滞在したり空気清浄機を使用する、或いは渋滞時に車の窓を閉める」よう勧めるが、「根本的には政府や産業レベルでの早急な対策が必要」だと指摘している。
同日付英『Guardian』:「大気汚染により体外受精後の出生成功確率が38%減少」:
大気汚染が健康に及ぼす影響が深刻であることを示す研究によると、大気汚染は不妊治療後の出生のチャンスを減らすという。
汚染物質にさらされ、微粒子が血管を通って卵巣や胎盤に運ばれることで、流産や早産の確率が高まる可能性については知られていたが、今回の研究では、汚染の影響は採卵の段階から起きる点が指摘されている。
大気汚染は人間の健康への主な脅威の一つ。WHOによると、2019年670万人が死亡している。微小な粒子が、肺から血管に入り、各臓器に送られることが分かっており、心臓病、胃がん、認知症などを引き起こす。大気汚染は知性の低下にも関係があるとされている。
研究では、8年にわたり、オーストラリアのパースで不妊治療を分析。3600個超の冷凍卵子が1800人超の患者から採取され、PM10と呼ばれる微粒子レベルとの関係結果を追跡。
全体では、1移植あたり28%が出生に成功。しかし、成功率は採卵までの2週間の汚染レベルに影響をうけていたことがわかった。4つのレベル区分のうち最低区分と比べ、最高区分では、出生率は38%減少していた。
オーストラリアは2023年のWHOの大気質ガイドラインを満たしている7カ国のひとつ。この研究は、比較的低い汚染レベルであっても害を及ぼすという証拠を示す最新の研究となっている。
体外受精の専門家ギータ・ナルグンド教授は、「世界的な少子化危機に直面している今、大気などの環境ファクターと不妊治療結果の関係性は重要な意味を持ってくるだろう」と述べている。
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