タリバン政権は、国際社会から追放された状況にあるが、鉄道建設で孤立状態から抜け出す活路を見出したいと考えている。北の大都市マザリ・シャリフとウズベキスタン国境に近いハイラタンを結ぶ75㎞の鉄道区間は、現状、改修工事中であるが、これが終了すれば6月末には運行が可能になる。風の吹きすさぶ砂漠の平原を、ドライフルーツや絨毯で満載にした貨車が、中央アジアに向けて運行され、その帰り便には穀物、小麦粉などの食糧や建設資材を積載する計画である。さらに、2023年3月に、ウズベキスタン、アフガニスタン、パキスタンの3国間で75kmからの鉄道区間延長(首都カブールを経由してパキスタンに至る760㎞区間)に関するフィージビリティ・スタディを開始する同意を行っている。
ウズベキスタン政府によると、このプロジェクト完成により、現状の輸送ルートに比べ、5日間の輸送期間短縮と、輸送費を約40%削減できるという。タシケントにベースを置くコンサルティング会社の専門家によると、「ウズベキスタンなどの中央アジア諸国は、世界の他の国々と貿易するため、パキスタンの港湾設備インフラを必要としている。その中には戦略的に重要とされるグウォーダル港も含まれている。この港は、中国領土に陸路でつなげる目的で建設されたが、同時に中東や南アジアへの海の玄関ともなっている。
アフガニスタン鉄道のカーデム総裁は、「アフガニスタンは、アジアの中心に位置している好条件にある。とりわけ、アフガニスタンの西部の大都市ヘラットは、イランのカーフと鉄道でつながることになっているが、この区間の工事はすでに5月末に、トルコとロシアの技術支援で開始されている。この鉄道区間が完成すれば、アフガニスタンをイラン経由でトルコや欧州につなげることができる。」と豪語した。
一方、アフガニスタンの起伏の多い、切り立った崖の多い地形に鉄道を通すのは技術的にも、ロジステイック的にも困難が予想される。さらに、タリバン政権以降、鉄道省は、技術者の海外流出による鉄道建設の人材不足に悩んでいる。
閉じる