生活水準の向上と相まって、中国の肥満度が急速に進み、現在では米国に次ぐ世界第二位の肥満大国になっていると言われる。そうした中、中国人民解放軍が、所属する兵士に体重制限を新たに設けることとしたと米メディアが伝えた。
2月13日付
『ニューヨーク・タイムズ』紙は、「中国兵士、体重制限が求められる」と題して、「中国の
『人民解放軍日報』が2月13日に報じたところによると、人民解放軍は昨年、士官候補生に最近の若者にみられる豊満さによって差別されることはないとの志願兵採用基準を設けていたが、この程導入されたガイドラインによれば、兵士にある程度の体重制限が求められ、今後の昇進にも影響することになるという。同ガイドラインは、人民解放軍参謀本部、総政治部、総後勤部、総装備部によってまとめられたが、具体的な体重リミットまでは言及されていない。...
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2月13日付
『ニューヨーク・タイムズ』紙は、「中国兵士、体重制限が求められる」と題して、「中国の
『人民解放軍日報』が2月13日に報じたところによると、人民解放軍は昨年、士官候補生に最近の若者にみられる豊満さによって差別されることはないとの志願兵採用基準を設けていたが、この程導入されたガイドラインによれば、兵士にある程度の体重制限が求められ、今後の昇進にも影響することになるという。同ガイドラインは、人民解放軍参謀本部、総政治部、総後勤部、総装備部によってまとめられたが、具体的な体重リミットまでは言及されていない。この背景には、2010年に毛沢東の孫の毛新宇(45歳)が、当時40歳で最年少の少将に昇進したときの逸話があると言われる。すなわち、明らかに体重オーバーで、非常にきつめとなった制服を身にまとった毛新宇の姿が、様々なメディアで報道されるに従い、(彼の昇進は)縁故主義との非難の声が挙がった。しかも、中国最大のミニブログサイト新浪微博(シナ・ウェイボー)に、“(人民解放軍では)太れば太る程、毛新宇のように昇進できる”との皮肉まで掲載された。」と報じた。
米ワシントン大学の保健指標評価研究所が昨年行った調査によると、中国の過体重・肥満の人口は3億人に達し、米国に次いで世界第二位になっているという。すなわち、肥満度の目安となるBMI指数(注後記)で算出した中国の肥満人口は4,600万人で、過体重も含めると3億人に上る。中国の成年男性の28%、成年女性の27%が過体重または肥満であった。更に、20歳以下の男性の23%、女性の14%が既に過体重または肥満だという。中国人の子供の高い肥満率について、一人っ子政策によって両親・祖父母などが過保護に走り過ぎていること、また、本人自身の運動不足と不健康な食事が原因とされる。
なお、日本人の過体重・肥満度は25%(肥満だけだと僅か4%)と、OECD(経済協力開発機構)加盟34ヵ国中34位である。因みに、1位の米国は68%(同34%)、2位メキシコ65%(同30%)、3位チリ64.5%(同25%)である(中国は、OECD非加盟国)。
(注)BMI指数(ボディ・マス・インデックス):体重と身長の関係から算出される、人間の肥満度を表す体格指数。“体重÷身長の2乗”で求められる。25以上が過体重、30以上が肥満。
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