先週報告どおり、主要7ヵ国・地域首脳会議(G7サミット)において、一部に意見の食い違いはあったものの、総論として世界経済対策に一致して当っていくことが合意された。この先進国サミットに呼ばれていない、新興国代表のロシア、中国も、それぞれ「ユーラシア経済連合(EAEU、注1後記)」及び「一帯一路(B&R、注2後記)」政策を掲げて、G7サミット参加国以外の国々との経済圏確立に奔走しているが、世界経済が米国を除いて景気後退の最中にある状況下、中々容易ではない模様である。
5月28日付ロシア
『スプートニク』国際オンラインニュースの報道記事「対ロシア圧力激化:これがロシアのASEAN諸国との連携強化の背景」:
「・西欧は対ロシア経済制裁を継続しているため、ロシアとしては東方へ舵を切り、特に東南アジア諸国連合(ASEAN)と経済連携強化策を追及。
・5月19~20日、ロシア主導でソチにおいて“ロシア・ASEANサミット”を開催。
・1996年7月開始のロシア・ASEANパートナーシップ20周年を記念するもので、同サミット及び個別会談でプーチン大統領は、貿易取引、エネルギー及び武器供給、宇宙開発技術、観光業について積極的に協議。...
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5月28日付ロシア
『スプートニク』国際オンラインニュースの報道記事「対ロシア圧力激化:これがロシアのASEAN諸国との連携強化の背景」:
「・西欧は対ロシア経済制裁を継続しているため、ロシアとしては東方へ舵を切り、特に東南アジア諸国連合(ASEAN)と経済連携強化策を追及。
・5月19~20日、ロシア主導でソチにおいて“ロシア・ASEANサミット”を開催。
・1996年7月開始のロシア・ASEANパートナーシップ20周年を記念するもので、同サミット及び個別会談でプーチン大統領は、貿易取引、エネルギー及び武器供給、宇宙開発技術、観光業について積極的に協議。
・ロシアとASEAN間の貿易高は2015年も低調(2013年5億4千万ドルが2014年に僅か3千万ドルに激減)だが、ASEAN側としては、ロシア主導で進められているEAEUとの連携を模索。
・なお、EAEUは既に2015年5月、ベトナムと自由貿易協定を締結し、また、シンガポールとも同様の協定締結に向けて交渉中。」
5月27日付ロシア
『ロシア・ビヨンド・ザ・ヘッドラインズ』多言語ニュースの報道記事「ロジスティクス問題と相互不信がユーラシア大陸へのシルクロード政策の妨げ」:
「・2015年5月、プーチン大統領と習近平(シー・チンピン)主席は、EAEUとB&R構想のうちの“シルクロード経済ベルト(SREB)”を連携させることで合意。
・当初、欧州連合(EU)からの経済制裁に喘ぐロシアは中国の資金力に期待し、また、中国はEAEU主導国のロシアとの提携がSREB構想実現に資すると判断。
・しかし合意後1年経った現在、新敷設鉄道ルートの経済性及び中ロ間の不信感のために停滞。
・例えば、中国は新敷設鉄道を欧州までノン・ストップで走らせたいが、ロシアやカザフスタンはEAEU内で貨物の荷揚げ・荷卸しを要求しているため、その鉄道ルートの絞込みで未だ不合意。
・また、ロシアは中央アジアに影響力を留めるため安全保障面での関心が高くEAEU一体として交渉する立場を取っているが、中国のSREBは究極的に中央アジアを中国資本傘下に収める構想であるためか、EAEU内各国との個別交渉を強く主張しており、これが相互不信を増長。」
一方、5月26日付トルコ
『トルコ・ウィークリィ』誌の報道記事「B&R政策はシルクロー
ド沿い諸国に新たな機会」:
「・5月25~26日にアスタナ(カザフスタン)で開催された“アスタナ経済フォーラム(AEF、注3後記)”において、カザフスタン、シンガポール、エストニア、ラトビア、タジキスタン高官は異口同音に、B&R政策はシルクロード沿いの諸国にとって、提携強化・共同開発を遂行するまたとない機会だと演説。
・カザフスタンのザシリコフ経済副大臣は、B&RとEEAUの連携によって、シルクロード沿いの経済開発が発展することに期待すると発言。」
(注1)EAEU:2014年5月にカザフスタンのアスタナで創設条約を調印、ユーラシア経済共同体(2000年10月組成)を発展的解消して2015年1月に発足した国際経済同盟。加盟国は、ロシア、アルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス。総人口1億7千万人、国内総生産(GDP)合計額は4兆ドル(約440兆円)と日本の次だが、EU比較ではその4分の1に過ぎない。
(注2)B&R:2014年11月に中国で開催されたアジア太平洋経済協力首脳会議で、習主席が提唱した経済圏構想。中国西部から中央アジアを経由して欧州につながる「シルクロード経済ベルト」(「一帯」の意味)と、中国沿岸部から東南アジア、スリランカ、アラビア半島の沿岸部、アフリカ東岸を結ぶ「21世紀海上シルクロード」(「一路」の意味)の二つの地域で、インフラストラクチャー整備、貿易促進、資金の往来を促進しようとするもの。
(注3)AEF:ユーラシア経済科学協会とカザフスタン政府によって2008年に設立された国際的な地域組織。本部はアスタナで、毎年100ヵ国余りからの参加者を集めて年次総会開催。
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