フランス上院の社会問題委員会は6日、社会党が提出した新型コロナワクチンの義務化の法案を否決した。この法案は、BCGなどのワクチンと同様に、新型コロナの予防接種を一般国民にも義務化することを目的としていた。
仏
『デルニエール・ヌーベル・ダルザス』紙によると、この法案は、社会党が8月下旬に提出したもので、公衆衛生法を改正し、新型コロナをジフテリア、破傷風、ポリオ、百日咳、麻疹風疹など、予防接種が義務付けられている病気のリストに含めることを求めている。
法案を作成したカネール議員とジョミエ議員は、強制予防接種は、感染拡大予防政策からの脱却を可能にし、安定した公衆衛生政策に切り替えるための唯一の方法であると主張している。そして、コロナパスに代表される「隠れた義務化」よりも、全員に強制的に接種させるという「はっきりした」義務化の意義を強調している。また、政府の人権擁護担当のクレール・エドン氏が7月に、コロナパスが日常生活のあらゆる側面にまで拡大されることで、「社会的監視の一般化への移行」の可能性があることに対して警告したことを指摘している。さらには、過去1年間に収集されたワクチンに関するデータを強調し、「強制接種は1902年にフランスで初めて導入され、多くの病気を根絶することを可能にした」と主張している。
この法案では、ワクチンを接種しなかった場合、135ユーロ(約1万7千円)の罰金が科し、再犯の場合は1500ユーロ(約19万円)まで引き上げられることになっている。この法案が採用された場合、罰金は2022年1月1日から有効となる。
仏『ウエストフランス』紙によると、ジョミエ議員は、ワクチン接種だけが十分な集団免疫を実現させ、新型コロナをインフルエンザレベルに引き下げる唯一の方法だと主張している。一方、現在ワクチン対象者のうち900万人が未接種であると推定され、夏以降ワクチン接種が停滞していると指摘しており、強制的なワクチン接種は「結果を出すためのツール」と断言している。パスツール研究所によるとデルタ株の場合、集団免疫を達成するためには人口の90~95%という高いワクチン接種率が必要になる。
この法案は社会問題委員会で否決されたが、10月13日の議員総会にそのまま提出される予定となっている。共和党と中道派の議員のほとんどが、この法案に反対の立場をとっているため、上院議会でも否決される見通しとなっている。反対派の議員らは、頑固な接種拒否者に対しては強制力を行使するよりも説得する方が望ましいと述べている。
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