台湾の防空識別圏に中国軍機のべ27機(11月27日)
台湾の国防部によると、台湾南西沖に設定している防空識別圏に中国軍の戦闘機や爆撃機などのべ27機が進入した。
半数以上はフィリピンとの間のバシー海峡上空を通過し台湾南東沖まで回り込み、ほぼ同じ経路を引き返したという。この中には新型の空中給油機「運油20」1機も含まれていた。
「運油20」が台湾の防空識別圏に入ったことを国防部が確認するのは初めてとみられる。
国防部のシンクタンクのオウシャクフ研究員がことし4月に発表した分析によると、「運油20」は中国軍の従来の主力給油機と比べて給油できる量が3倍に増えているという。...
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台湾の国防部によると、台湾南西沖に設定している防空識別圏に中国軍の戦闘機や爆撃機などのべ27機が進入した。
半数以上はフィリピンとの間のバシー海峡上空を通過し台湾南東沖まで回り込み、ほぼ同じ経路を引き返したという。この中には新型の空中給油機「運油20」1機も含まれていた。
「運油20」が台湾の防空識別圏に入ったことを国防部が確認するのは初めてとみられる。
国防部のシンクタンクのオウシャクフ研究員がことし4月に発表した分析によると、「運油20」は中国軍の従来の主力給油機と比べて給油できる量が3倍に増えているという。
台湾の主要メディアは中国軍の動向に詳しい専門家のケイチュウの話として「今後運油20が多数就役すれば中国空軍は正真正銘の遠征型空軍となる。
台湾の南沖や南東沖での訓練がさらに頻繁に行われ、台湾の防空への圧力が大幅に増すおそれがある」と伝えている。
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中国とアジアの歴史・そこから見える中国とアジアのこれから(11月27日)
22日、中国とASEANはオンライン会議を開催し、議長を務めた中国・習近平国家主席は「域内諸国を抑圧し覇権を追求することはない」などと表明し、ASEAN取り込みに躍起になっている。
それというのもASEANが中国が支援するミャンマー軍トップのミンアウンフライン総司令官を(欧米に忖度して)排除したり、G7がリバプールで行われる外相会談にASEANを招待するなど、欧米が政治、軍事両面でASEANに関与していく動きを察知したからと見られている。...
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22日、中国とASEANはオンライン会議を開催し、議長を務めた中国・習近平国家主席は「域内諸国を抑圧し覇権を追求することはない」などと表明し、ASEAN取り込みに躍起になっている。
それというのもASEANが中国が支援するミャンマー軍トップのミンアウンフライン総司令官を(欧米に忖度して)排除したり、G7がリバプールで行われる外相会談にASEANを招待するなど、欧米が政治、軍事両面でASEANに関与していく動きを察知したからと見られている。
ASEAN構成国はインドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ブルネイ、ベトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジアだが、現在のミャンマーは排除されている。
ASEANは2000年代に入って大きく中国寄りに舵を切った。中国にとって、ASEANは自国製品の売り込み先であると同時に、「一帯一路」構想における投資対象地域であり、安価な労働力の調達先であり、資源・エネルギーの確保先であり、物流ルートの確保先であり、絶対に手放すことのできない地域であったし、これからもそれは変わらない。
しかし、ここへ来てASEANは中国の専制国家的な動きに反応して中国とも一定の距離を保つようになっている。
一方、中国はASEANの取り込みを図る以外にも、例えばカンボジアにおける「ダラサコーロングベイプロジェクト」への援助に見られるように一つ一つの国と個別に関係を築いていきながら自陣営に取り込もうとしている。
中国が「一帯一路」に力を入れるのは欧米、特にかつて香港を割譲させられた英国に対する軋轢という要素も大きい。その英国が音頭をとるG7外相会議がASEANを取り込もうとしている動きは中国にとっては脅威であり、許せない動きでもある。
ASEANの中で中国寄りの国はインドネシア、カンボジア、タイ、ラオスで、中立の国はシンガポール、どちらかというとアンチ中国の国はフィリピン、ベトナムと言われているが、いずれの国も中国との間に、歴史的な関係があり、日本が考えるほど単純ではなく複雑である。今後の動きを予測するのであればそうした視点を取り入れつつ見ていく必要があると思われる。
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中国が獲得した「スリランカ」の次の権益(11月27日)
24日、スリランカ政府は、日本とインドの参画で一時合意していた最大都市・コロンボの港湾開発事業について、「入札の結果、中国企業が行うことが決まり、工事などの発注を閣議決定で承認した」と発表した。
スリランカは2019年5月にコロンボ港の東コンテナターミナルを日本とインドが共同で開発する覚書を交わしていたにも関わらず、今年2月、合意内容を一方的に変更、これに対し日本政府が遺憾の意を伝えていた。...
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24日、スリランカ政府は、日本とインドの参画で一時合意していた最大都市・コロンボの港湾開発事業について、「入札の結果、中国企業が行うことが決まり、工事などの発注を閣議決定で承認した」と発表した。
スリランカは2019年5月にコロンボ港の東コンテナターミナルを日本とインドが共同で開発する覚書を交わしていたにも関わらず、今年2月、合意内容を一方的に変更、これに対し日本政府が遺憾の意を伝えていた。巨大経済圏構想「一帯一路」を推進する中国がスリランカへの関与を強める中、親中派と目される現政権の意向が働いた可能性が高いと言われている。
スリランカでは南部のハンバントタ港でも中国が開発を手掛けていた。ところが途中でローンの返済が滞り、港湾の運営権が99年間にわたって中国側に譲渡されるという事態になってしまったという経緯がある。またスリランカは同じことを繰り返そうとしている。中国はローンを払えそうもない相手国に近づき、開発をもちかけて最終的には自分のものにしてしまう。このやり口は「債務のわな」と言われよく知られている。この典型例としてハンバントタ港の事例は引き合いに出される。
カンボジアも開発を名目に中国に侵食されつつある。「ダラサコーロングベイプロジェクト」という名称の巨大観光プロジェクトの開発で支援を受ける見返りにカンボジアは国家の生命線ともいえる海岸線の20%を中国に差し出してしまった。 中国はこれまでもカンボジアに対し、スタジアムの建設など5年間で約1兆円を超す投資を行ってきた。カンボジア人労働者に安い携帯電話をあてがい管理し、トイレもない劣悪な環境で働かせている。
中国はミャンマーにも支援を行い、天然資源を送るパイプラインを確保している。さらにアフガニスタンのタリバン政権にも支援を行いEVの生命線ともいえるリチウムなどの資源の採掘に着手するなど、札束を使ってアジア各国を中国の「一帯一路」に適した形に作り替え、利用しようとしている。
米国などからは中国を権威主義ではなく、全体主義と見る分析も出てきた。EUも中国ではなく東南アジア諸国連合やインドなどとの価値観を共有する国々との関係を深める方向に動き出すなど、中国を見る世界の目が厳しくなっている中で中国離れが進んでいることも確かであるが、「21世紀半ばにあらゆる分野で世界の先頭に立つ」という習近平国家主席の思惑通りに世界は動いているようにも見える。
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北京五輪の憂鬱(11月27日)
中国が主催する「北京五輪を外交的にボイコットしよう」という動きが強まってきている。
中国は、女子テニス選手の党幹部のセクハラ疑惑・人権侵害事件、台湾への軍事的圧力行動、ウイグルやチベットに対する人権問題、香港での民主化勢力への弾圧問題など国際規範に反しているように見える。
外交的ボイコットは国として開催への祝意を示さないメッセージになる他、北京五輪開催に総力を賭ける習近平国家主席の面子を潰すことにもなる為、経済的に中国との関係が深い国々にとっては難しい選択となる。...
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中国が主催する「北京五輪を外交的にボイコットしよう」という動きが強まってきている。
中国は、女子テニス選手の党幹部のセクハラ疑惑・人権侵害事件、台湾への軍事的圧力行動、ウイグルやチベットに対する人権問題、香港での民主化勢力への弾圧問題など国際規範に反しているように見える。
外交的ボイコットは国として開催への祝意を示さないメッセージになる他、北京五輪開催に総力を賭ける習近平国家主席の面子を潰すことにもなる為、経済的に中国との関係が深い国々にとっては難しい選択となる。
現段階でボイコットの意向を示している国は米国、英国、豪州、ニュージーランド、カナダの5か国である。この5か国はファイブアイズと呼ばれるアングロサクソン系諜報グループのメンバー国でもある。中でもカナダは中国に対して最も厳しい態度で、フルボイコットを呼び掛けている。
このような状況にあり、経済面で中国と関係の深い日本がどういう対応を取るのかが注目されている。
中国・王毅外相が林新外相を北京に招待し、日中外相会談を行うことを提案しており、林外相はこれに応じるかどうか検討している。自民党内部からはこの誘いに応じないよう佐藤議員などが声を挙げている。なぜ佐藤議員が反対しているのかと言えば、この外相会談の本当の狙いは、北京五輪であり、外相会談が行われた場合には完全に中国のペースはまり、日本は北京五輪に政治的代表者を派遣せざるを得なくなるからである。
佐藤議員の頭の中には、1989年の天安門事件の後、国際的に中国ボイコットの機運が高まっていた中で、日本は独自のスタンスで天皇を訪中させる等、中国に対して融和路線を取ったことが、結果的に今のように中国が独裁的強国になってゆく状況を招いてしまったということを連想させているのではないだろうか。
基本に立ち返って考えれば、日本にとっては自国の国益を第一に考えて行動することが基本線となる。欧米と足並みをそろえることが必ずしも日本にとってのメリットとなるわけではないが、間違ったメッセージを送ってしまうことがないように最大限の注意を払いつつ現段階において最も適切な判断していくことが求められる。
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コロンボ港・中国企業が開発へ(11月25日)
スリランカ政府は主要な港のひとつ「コロンボ港」の東コンテナターミナルの開発について、入札の結果中国の企業が行うことが決まり、工事などの発注を閣議決定で承認したと発表した。
「コロンボ港」をめぐってスリランカ政府は日本やインドと協力し開発を進めるとする覚書に署名したが、ことし2月に合意内容を一方的に変更し事実上破棄していた。
スリランカでは中国の存在感が増していて、南部のハンバントタ港はローン返済が滞ったことを理由に運営権が99年間にわたり中国側に譲渡され、いわゆる「債務の罠」の典型例とされている。...
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スリランカ政府は主要な港のひとつ「コロンボ港」の東コンテナターミナルの開発について、入札の結果中国の企業が行うことが決まり、工事などの発注を閣議決定で承認したと発表した。
「コロンボ港」をめぐってスリランカ政府は日本やインドと協力し開発を進めるとする覚書に署名したが、ことし2月に合意内容を一方的に変更し事実上破棄していた。
スリランカでは中国の存在感が増していて、南部のハンバントタ港はローン返済が滞ったことを理由に運営権が99年間にわたり中国側に譲渡され、いわゆる「債務の罠」の典型例とされている。
スリランカは米国や日本などが提唱する「自由で開かれたインド太平洋」と中国に巨大経済圏構想「一帯一路」が重なる地域にあり、中国に対する各国の警戒がいっそう高まると懸念が強まっている。
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