ミャンマー旅行記2018(その3 ザガイン)
マンダレーから車で南西方向に1時間。...
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マンダレーから車で南西方向に1時間。小さな町・ザガインに行ってきた。この町は観光客があまり来ないようで、英語を話せる現地住民はほとんどいなかった。旅行ガイドブック「地球の歩き方」を見ても2ページしか割かれてない。有名な観光スポットも無い。しかしそれは逆に考えると、観光地化されてない純粋な市民生活が垣間見れる町とも言える。僕はマンダレーの宿屋でタクシーを手配し、未舗装の道路を疾走しながら向かった。2月のミャンマーは乾季で、地面もカラカラに乾く。それゆえ砂埃が舞う。タクシー代は往復20ドル。安い。地球の歩き方に「ザガイン入域料は3000チャット(約300円)」と書かれていた。しかし今回は支払う事はなかった。タクシー運転手の兄ちゃんが検問所のような詰所で紙幣を手渡していたけど、あれがそうだったのか?詳細は不明。
最初の目的地はザガインヒル。この町のシンボルである寺院だ。その名の通り小高い丘の上に建てられている。僕を乗せたタクシーは急斜面を器用に登っていく。寺の正門前には観光客向けのお土産屋が軒を連ねている。しかし店員たちは執拗に声をかけてこなかった。「あまり擦れてないんだな」と好印象。入口で靴を脱ぎ、中を巡回する。黄金に輝くバゴダ(寺の意)と仏像が鎮座していた。熱心な仏教徒と少しの外国人観光客がいた。館内撮影料は1000チャット(約100円)。この時けちって払わなかったが、今振り返れば払ったほうがよかった。せめて寺の外側からの景色を撮った。山のあちこちにいにしえの寺が点在している。あまりの美しさにしばし言葉を失った。天竺ってこう言う場所なんだろう。ザガインヒルの近くに日本人パゴダがあった。先の戦争でこの町も戦場になったとのこと。石碑の他、観音様や戦没者名の一覧もあった。
次に向かった場所は市場。この町のメインストリートに面したこの場所は、地元住民の生活ぶりが垣間見れる。色鮮やかなビニールシートが雨除けとして天井に張り巡らされている。野菜や果物などの生産者本人が店番を務め、各種食材を売っていた。他にも肉、魚、タナカ(ミャンマーの伝統的な化粧品)、菓子、生活雑貨などなんでも揃う。上野のアメ横と似た雰囲気がある。のどかながらも活気があり、店番の女性たちは皆おしゃべりをしている。
スケジュールの都合上、ザガインの滞在時間はわずか4時間。タクシーに乗り、夕暮れに染まるザガインの町を見ながらマンダレーへ戻る。次回来る時はもう少し腰を据えて散策したい。のどかなこの国でせわしなく動くのは野暮な気がした。
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ミャンマー旅行記2018(その2 マンダレー)
・マンダレー
マンダレーは国土のほぼ中央に位置するミャンマー第2の都市だ。...
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・マンダレー
マンダレーは国土のほぼ中央に位置するミャンマー第2の都市だ。ヤンゴンに首都が移転する前の王朝があった場所であり、それゆえ「あらゆる文化の本場」と呼ばれている。食、衣服、音楽など全てに関して。マンダレーとヤンゴンの文化的関係性は、日本の上方文化と江戸文化のそれと近しい。
今回ヤンゴンからマンダレーへの移動は飛行機を使った。現在この路線を就航している航空会社は複数あり、片道100ドルが平均価格だ。より節約する場合は夜行バスもあるが、悪路なのでなかなか寝付けず、車内は冷房地獄なので(東南アジアでは冷房を常時つけるのがサービス)飛行機を勧めたい。ヤンゴンからマンダレーへは1時間強で着く。空港に着いた瞬間、直射日光が肌を刺す。日焼け止めは必須だ。
マンダレーの町並みはヤンゴンとやや異なる。ヤンゴンはバイクの乗り入れが禁止だが、マンダレーはOK。通勤ラッシュ時はバイクの大群が走っているため、道路を横断する時は注意が必要だ。写真はマンダレー中央駅。バイクの方が勝手がいいので市民の足としてあまり使われていないが、雑然とした構内には旅情を掻き立てられた。
マンダレー南部にあるマハムニ寺院は仏教徒にとって重要な場所であり、旅行ガイドブックに載るほどの観光地になっている。寺院の中央には巨大な仏像が鎮座しており、金箔を貼る仏教徒の姿がモニターで常時映されている。と言うのも金箔を貼れるのは男性のみだからだ。
受付カウンターに金箔寄付所がある。6枚入りで2000チャット(約200円)。偶然隣にいたミャンマー人に貼り方を教えてもらった。スクラッチくじのように、仏像の上に金箔を軽く貼り、上からこする。これで上手く貼ることができた。
朝の散歩コースにも寺院があった。午前8時前から敬虔なる仏教徒たちがお参りをし、鐘を鳴らしていた。かすかに床に残った穀物を雀がついばみ、通りすがりのラジオからは名も知らぬミャンマー民謡が聞こえて来る。日の光を浴びて、金色の寺院はより輝かしさを増す。
散歩の帰り道で朝市を見つけた。野菜など食材を売る個人商店が軒を連ねる中、屋台を見つけた。店主や先客は外国人に対してウェルカムで、英語の話せない店主に代わって僕と店主の会話を通訳してくれた。ミャンマーの人は基本的に優しい。「モヒンガー(ミャンマーの朝食の定番の麺料理。お粥のような存在)を食べたい」とリクエストしたがそれは無く、「代わりにこれならある」と写真の麺料理(名前失念)を作ってくれた。カレーに味の素ををふりかけたような不思議な味。素朴だけどクセになる。スープ付きで500チャット(約50円)。朝の喧騒の中食べれたのは特別な思い出だ。
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ミャンマー旅行記2018(その1 ヤンゴン)
今年の2月14日から23日にかけてミャンマーへ行ってきた。2月とは言え気温は毎日30度越え。まとわりつく熱風を振り払いながら街を歩く。今回は大都市の他に新たに田舎町にも行ってみた。それぞれの町の記憶をプレイバックしてみる。
・ヤンゴン
民主化の波を受けて、ダウンタウンの中心部は相変わらず建設ラッシュだった。...
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今年の2月14日から23日にかけてミャンマーへ行ってきた。2月とは言え気温は毎日30度越え。まとわりつく熱風を振り払いながら街を歩く。今回は大都市の他に新たに田舎町にも行ってみた。それぞれの町の記憶をプレイバックしてみる。
・ヤンゴン
民主化の波を受けて、ダウンタウンの中心部は相変わらず建設ラッシュだった。特に外国人観光客に人気の市場「ボージョー・アウンサン・マーケット」からヤンゴン中央駅にかけてのエリアはそれが顕著で、かつて行った喫茶店は姿を消し、豪華絢爛なショッピングモールが鎮座していた。工事の金属音が響き渡り、砂埃が宙を舞う。ミャンマーがいかに今過渡期か、肌で感じた瞬間だ。
その波を受けてか、ダウンタウンを走るバスも一新されていた。かつては日本の払い下げバスが使われており、その古びた車体が旅情を掻き立てた。また、ミャンマーは右側通行なのでバスの右車体に無理やり昇降口が作られていたのも見どころだった。しかしそれが今、どのバスもピカピカ。車体正面部に路線番号が表示され、乗客向けの無料アプリも配信されている。
今回バスを何度か利用したが、コツさえつかめば積極的に利用するのを推奨したい。なにせ運賃が10~20円と圧倒的に安い。同じ距離でタクシーを使った場合250~300円かかる。しかもヤンゴンのダウンタウンは渋滞がひどく、バスもタクシーもさほど速度は変わらない。
また、タクシー配車アプリ「Grab」もおすすめ。自分のいる場所と目的地を指定すると、今自分の近くを走るGrabのアカウントを持っているタクシーが一覧で表示される。その中から1台選ぶと、自分のいる場所まで迎えに来てくれるサービスだ。目的地を入力した時点で運賃がスマホ上に表示される仕組みが嬉しい。これだといちいちドライバーと値段交渉しなくて済むし、基本的に値段交渉より安い運賃が表示される。Grabは他の東南アジアの国でも使われている。渡航先にGrabがあるか、出国前にチェックするのも良いだろう。
ダウンタウンの中心にある寺、スーレーパヤーは夜になるとライトアップされる。光をあてると元来の金色が輪をかけてきらびやかに映える。夜になっても仏教徒が多数訪れ、祈りを捧げている。寺は土足厳禁で靴下もNG。いっそ現地で安いサンダルを買ったほうが気が楽だ。
ヤンゴン滞在中、ダウンタウンにあるチャイナタウンでちょうど旧正月の祭りをやっていた。道路は歩行者天国となり、屋台が軒を連ねていた。赤いぼんぼりや空気で膨らました狛犬が可愛い。まさかミャンマーで中国気分を味わえるとは思わなかった。こういうトピックスに偶然出会えるのが旅の良いところだ。
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ミャンマー旅行記2017(その3)
・バガン
バガンはマンダレーの南150キロほどに位置する街だ。...
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・バガン
バガンはマンダレーの南150キロほどに位置する街だ。かつて王朝が開かれた街で、至る所に仏塔遺跡が残っている。仏塔は大小様々で、色合いも茶色いもの/白いものと様々。以前は住民が暮らす村が遺跡群に混じって存在していたが、敷地内保護の為強制的に追い出されてしまったそうだ。遺跡のあるエリアをオールドバガンと言い、その南部にある彼らの新たな村はニューバガンと呼ばれている。
バガンには数件のホテルがあるだけで、広大な敷地には仏塔が点在のみ。風が吹くと砂煙が舞い、じりじりと直射日光が肌を刺す。2月のミャンマーは気温30度ほどで、水分補給は重要だ。
大きな仏塔の周りには土産物屋があり、少数民族が出稼ぎに来ていた。価格は基本外国人向けで高価。仏塔もヤンゴンのパヤーと同じく裸足になるのが必須。日中の遊歩道はかなり熱く、注意が必要だ。
バガンの移動はeバイクか馬車の2択だ。eバイクは充電式のバイクで、宿に頼めば近所の専門店から手配してもらえる。1日のレンタル料は8000チャット(約800円)。バイクとは言え扱いは自転車で、最高時速も30キロ強程度。広大な大地を風を切りながら走るのは気持ちが良い。バガンでちらほら見かける馬車は観光客向けの移動手段で、日本で言うところの人力車だ。揺れる荷台に乗りながら仏塔郡を巡るのは風情がある。
バガンの敷地内にはあまり街灯が無く、日が沈むとeバイクの運転は少々怖い。しかも夜風はなかなか寒く、昼との寒暖差はかなり大きい。夜中の移動はある程度気合を入れたほうがベターだ。
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ミャンマー旅行記2017(その2)
・マンダレー
マンダレーはミャンマー第2の都市と言われており、ヤンゴンから北へ550キロほどに位置する。...
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・マンダレー
マンダレーはミャンマー第2の都市と言われており、ヤンゴンから北へ550キロほどに位置する。ミャンマー人に聞いたところ「マンダレーはあらゆる文化で本場。ヤンゴンに比べて食も音楽もマンダレーの方が本場」だそうだ。日本で例えると、江戸文化と上方文化の関係に相当する。
第2の都市と言うからにはそこそこ大きいのでは?しかし予想に反してマンダレーはそこまで賑わっていなかった。市内の中心に巨大な王宮があるのだが、その周辺、言わば街の一等地にシャッターを閉めた店舗がある。だからと言って「魅力に乏しい街」というわけではない。ヤンゴンでは見ることができなかった人形芝居小屋があったり、街の中心部に朝市があったりする。大都市ではないからこそ、地元住民にとって重要な場所が半径数キロ以内に集約している。
朝7時くらいに朝市に行ってみた。活気が凄い。野菜や肉などの食料品を中心に、様々な品が所狭しと売られている。朝市の中の通路はどこも狭く、徐行したバイクやリヤカーがクラクションを鳴らしながら進んでいく。幾重にも重なる売り手と買い手の喧騒を聞きながら、屋台で朝食のモヒンガーを食べる。モヒンガーは米粉の麺を使ったミャンマーの国民食。そうめんのような食感で、パクチーやその他トッピングがふんだんにまぶしてある。麺料理と中華粥のいいとこ取りといった趣きだ。
市内の移動手段も、ヤンゴンと大きく異なる。ヤンゴンは車社会だが、ここマンダレーはバイクが主流だ。出勤時間になるとメインストリートはバイクで溢れかえる。2人乗りはもちろん、中には家族4人で同乗する姿も目撃した。なのでマンダレーでは車のタクシーはなかなか捕まらない。代わりにバイクタクシーが主流だ。
街の中心にある王宮は本当に大きい。正方形型の敷地で、その1辺を歩くのに20~25分はかかる。散歩するにも気合がいる大きさだ。王宮を取り囲む歩道には体操用の遊具があり、早朝は地元住民がこれを使い体を鍛えている。市民の憩いの場所なのだろう。
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